2021/06/27 -名古屋・名古屋国際会議場- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【バンタム級4回戦】
小川 椋也(天熊丸木) vs 岡田 篤憲(尾張水野)
小川 椋也 デビュー戦
岡田 篤憲 デビュー戦
1R、基本に忠実に、ジャブ、ワンツーを飛ばしていく岡田。
小川はガードをしっかりと固め、距離が近付いたところで
左フックから右アッパーで岡田の顔面を突き上げる。
一発一発、力のこもったパンチを繰り出していく小川。
強烈な炸裂音と共に岡田を捉える場面が目立つ。
対して岡田、下がりながらもジャブを中心にしっかりと手を出していく。
2R、開始直後から、細かく細かく撃ち込み始める岡田。
回転で上回りにかかるが、小川はガードを固めながら、
強烈な右アッパーを撃ち込んで、岡田が前のめりに手を着くダウン。
立ち上がった岡田は、自分から手を出していく…細かく、細かく。
しかし、小川の力のこもったボディや左フックを貰う場面が目立つ。
3R、出入りを意識し始めたか、岡田が細かい手数に加えて、撃っては離れを繰り返す。
しかし、小川がしっかりと踏み込んで左フックをヒットさせる。
相手が変えて来ても、どっしりとガードを固め、パンチの隙間に強烈な一撃を撃ち込んで行く小川。
中盤、右ストレートをテンプルにヒットさせ、岡田が棒立ちに…。
後続の右アッパーが撃ち込まれると、レフリーが試合をストップ。
TKOタイムは3R 2分20秒。
入門から短期間でのプロテスト合格、そしてデビュー戦。
アマ実績もない選手なだけに、まさかの戦いぶりだった。
相手の頭が下がった場面で撃ち込んだ奥の手のアッパー…
撃ち込む場面も、その威力もしっかりしたもの。
叩き上げを育てることに定評のある天熊丸木ジム。
会長が息子に受け継がれても、その手腕は健在と感じる。
この日は数自体少なかった「丸木仕込みのジャブ」を使いこなすようになれば…
まだまだ伸び代だらけの中、しっかりとした武器がある。
今後をかなり期待できるように感じた。
対して、岡田は強烈に被弾する中でも、ジャブを突き続け、小さく小さく撃ち続けた。
基本に忠実に…生真面目さを感じる戦いぶり。
苦いデビュー戦だったが、きっと次につながってくれると思っている。
報われて欲しいと感じさせてくれるボクシング。
初勝利の時を心待ちにしたいと思った。
【スーパーバンタム級4回戦】
安西 蓮(岡崎) vs 時弘 将志(とよはし)
安西 蓮 9戦4勝(2KO)4敗1分
時弘 将志 3戦1勝(1KO)1敗1分
お互いしょっぱなから頭を着けた接近戦。
両者ともしっかりとガードを固め、ボディから顔面へ繋げていく。
押し込むのは時弘の方だが、回転では安西が勝る。
2R、距離を潰して戦う時弘、時折下がって撃ち込む距離を作る安西。
中盤、時弘が強烈な左フックを撃ち込み、
安西は猛烈な手数でコンビネーションを撃ち込む。
両者譲らず。
3R、両者至近距離での撃ち合いの中、強烈なボディブローが目をひく。
展開は変わらず、延々と撃ち合いが続く、死闘じみたファイト。
4R、最終ラウンドはガードを固めて腹の削り合いからスタート。
隙あらば顔面にコンビネーションを撃ち込み合う。
安西の番、時弘の番…交互にお互いの拳を噛み締め合う。
試合はそのまま試合終了のゴングへ。
マイジャッジ 39-37 安西
公式ジャッジ
39-37 安西
39-37 時弘
39-37 安西
2-1で安西の勝利。
とよはしジムの選手はボディの削り合いには強い印象がある。
耐えて回転で上回った安西、戦績は綺麗ではないが、
はっきりと実力者だと再証明したように思える。
試合自体は紙一重、押し込み続けた時弘にポイントが流れてもおかしくなかったと思う。
戦績的に3倍の経験を持つ相手に対し、この内容は期待を込めるにおいて充分なもの。
勝利を手にした安西も現在の力を最初から持っていたわけではない。
頭を着けての12分間のTHEインファイト。
この死闘を踏んだ二人の今後が、楽しみで仕方なくなった。
【56.6kg契約4回戦】
木附 大己(緑) vs 太田 彩千耶(中日)
木附 大己 デビュー戦
太田 彩千耶 デビュー戦 サウスポー
ジワジワ詰める木附に対し、距離を取る太田。
静かに進むかと思ったところ、木附がボディを撃ち込むと、
一気に荒々しく振り回して襲い掛かる。
強烈な被弾を連続で浴びた太田だったが、クリンチでカット。
思い切りよく飛び掛かるように撃ち込む木附に対し、
サウスポー太田は左ストレートで迎え撃つ展開。
終盤、木附の強烈な右フックが連続で太田の顔面を捉えるが、
太田も撃たれながら左ストレートを撃ち込んで捉える。
一発一発の印象は木附の方が強烈か。
2R、撃ち込みながら詰め、思い切り振り回して強烈なヒットを奪う木附。
木附が飛び込んでビッグヒット、太田がクリンチ…の流れ。
イケイケな攻めだが、無防備さにコーナーからは「ガード!」の怒鳴り声。
太田も反撃の左を強烈に撃ち込むが、木附はなりふり構わず。
3R、展開変わらずの中のラウンド後半、
太田が連打を撃ち込むと、ことごとく木附の顔面を捉える。
クリンチに逃れる木附…効いたか、試合は一進一退へ。
4R、ビッグヒットの応酬となった試合。
中盤、木附の右で太田がロープへ吹き飛ぶシーンも。
撃ち合うシーンではお互いに顔面を弾き飛ばし合う。
そのまま、試合は終了のゴング。
マイジャッジ 39-37 木附。
公式ジャッジも三者ともに木附。
下がりながらの戦いとなった太田だが、
強烈な被弾の中、思い切りよく攻めて来る相手に対して、
飲み込まれることなく、左ストレートで強烈に捉えて反撃した。
大きなフレームは武器になる。
深い懐を活かせれば、力強い左ストレートもより活きるはず。
強さを増す要素の多い選手、今後の戦いぶりを注視したい。
対して、身体能力の高さを見せつけた木附。
相手を殴りつけに飛び込んで行くスタイルは
「ボクシング」を積み上げた選手にはない爽快さを感じる。
人気ボクサーになれる選手、足りないモノも多くある選手だが
必要なものは沢山持ち合わせている選手でもあると感じた。
「ボクシングは殴り合い」
そんな核心を戦いぶりで再認識させてくれた。
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