2020/11/29 -刈谷・あいおいホール[一部]- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【バンタム級６回戦】
高井 一憲(中日) vs 松浦 克貴(岡崎)
高井 一憲 15戦6勝(3KO)6敗3分 サウスポー
松浦 克貴 9戦5勝(1KO)3敗1分
1R、どっしりと構える松浦に対し、サークリングする高井。
遠いところから距離を測るように前の手の右を出す高井に対し、
松浦は高井が射程に入るのを待ち受けるようにダイレクトの右を叩きつける。
終盤に入ると、お互いに踏み込む場面が出始める。
高井は左ボディストレートを、松浦は左フックを…
両者手数は少なく、ピンと張りつめたような展開だったが、
ラウンド終了直前には撃ち合ってこのラウンドが終了。
有効打では松浦が上回ったか…。
2R、このラウンドもお互いにフェイントをかけ合う立ち上がり。
隙あらばダイレクトの大砲をぶつけ合う。
手が出るのは高井の方だが、松浦が距離で外すシーンが目立つ。
捉える数は松浦の方だが、無駄撃ちしない分手数は少ない。
ラウンド中盤、踏み込んだ高井の右フックが強烈にヒット。
そこで下がらず逆に前に出た松浦は右ストレートを強烈にヒット。
ここから激しく撃ち合う場面が訪れる…外しながら有効打を上げていく松浦。
しかし、全弾躱すのは不可能…高井の硬質な拳がヒットする場面もあり、背筋が凍る。
3R、高井の攻撃を外しながら、待ち受けての右ストレートを撃ち込む松浦。
当たるタイミングでのみ出していく…完全にタイミングを掴んだか、
出せば当たる状態の中、高井がより深く踏み込んで来た場面では左フックも追加。
中盤、ようやく高井の左フックがはっきりとヒット。
しかし、この場面も松浦は逆に攻めに出て、左フックをやり返す。
さらに体を入れ替えながらの右ストレートが強烈に刺さると、
手ごたえがあったか、一気に攻めてかかる。
高井の左ストレートが刺さり、ヒヤリとする場面があるものの、
ここでも後退せず、貰えば必ずやり返す形で主導権を渡さない。
4R、待ちで後の先を取り続ける松浦に対し、ジャブの数を増やす高井。
これまで有効打では松浦が一方的に上回っていたが、
高井の大きなパンチが減った分、松浦の手数がより減少。
有効打でも互角に…こうなると手が出ている分、
高井の方にポイントが流れるか…。
しかし、ラウンド終盤、高井が左ストレートを狙うと、松浦が有効打を増やす。
ポイントでは厳しい展開の中、大きいパンチを出せば逆に相手に流れが行ってしまう。
高井にとっては苦しい展開…ただ、まったく当たらないわけではない高井の左。
これまで何度も一撃で試合を終わらせてきたその左は、どんな状況でもスリルを産む。
5R、中盤からこれまでより距離が詰まる。
頭を振りながら高井の攻撃をかわして右ストレートを撃ち込んで行く松浦だが
少し低めに入ったボディに、ローブローをアピール…レフリーの反応はない。
ここから手数の増えた高井…しかし、その分、
後の先を取る松浦の右が刺さる場面が増えていく。
展開は一方的になるかと思えたが、高井は被弾構わずに松浦をロープに詰めて
パンチを纏める場面を創り出す。
さらに終盤、左ボディを強烈に突き刺すと、後退した松浦のボディに猛然と狙いかかる。
サウスポーとオーソドックスでありがちな頭が当たる場面もあるが、意に介さず、
多少ラフにではあるが、一気に見せ場を手繰り寄せる。
6R、逆ワンツー、ダイレクトの右ストレートを強烈にヒットさせる松浦。
ボディを効かせてロープに押し込み、上まで強烈に捉える高井。
両者とも譲らぬ中で、試合終了のゴング。
マイジャッジ 58-56 松浦
59-55×2
60-54
3-0
勝者 松浦
手を出せば被弾する…完全に後の先を奪われてしまった展開の中で、
ボディに活路を見出した高井。
5R以降はそのボディが有効に作用したが、時間が足らず…。
それでも、展開を変える一撃を持つ高井の戦いぶりは、やはり最後まで目を離せなかった。
上体を振りながら、高井の攻撃をかわし続け、有効打で上回り続けた松浦。
何よりも、そのやり取りを楽しむ戦いぶりが伝わって来た。
後半、ボディに苦しむ場面もあったが、貰えばやり返す…。
ダイレクトの右を終始突き刺し続けてハッキリと主導権を渡すことはなかった。
一度引退していた松浦、今後についてはわからないと口にしている。
ライバル対決は、松浦の勝利で幕を閉じた…。
しかし、仮にこれが8Rだったらどうだったんだろうか。
チャンスを掴みかけていた高井…この先が見たい思いを消すことができない。
両者が戦いの一つグレードを上げて、もう一度交わる…。
そんな未来が、あってもいいように感じた。
試合動画はこちら
これでこの日の一部興行が終了。
観客の入れ替えが行われ、一度客席は退場。
ここから僅かに時間を置いて、二部興行が開始される。
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