2017/6/11 刈谷あいおいホール-中日本スーパーバンタム級新人王決勝(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/6/11 刈谷あいおいホール-中日本スーパーバンタム級新人王決勝(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

■中日本スーパーバンタム級新人王決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
豊島 竜樹(伊豆) vs 干場 悟(タイガー)

・豊島 竜樹 1戦1分
・干場 悟 4戦2勝(1KO)2敗

本来、第4試合だった試合がこの位置まで繰り下げられての試合開始。
新人王準決勝だったカードが、対抗ブロックの決勝進出者である山本 大貴(市野)の
新人王棄権が決まり、このカードが決勝戦になったことからセミセミへ格上げされたよう。

※近くで話していた人の話を盗み聞きした内容の為、確証は特になし…間違ってたらごめんなさい。
 

この階級の優勝予想には加賀 聖也(タキザワ)を推していたけれど、
いつの間にかトーナメント表からその名前が消えていた。
…棄権ということだとは思うんだけど、詳細は実はよくわかっていない。
 

撃ち合いもできる、カウンターも獲れる、そして最後まで落ちない豊富なスタミナ。
デビュー戦となった準々決勝(当時)で、引分の勝者扱いで勝ちぬけた豊島だが、僕の中での豊島評はかなり高い。

相手の干場はとにかく撃ち合いに強い。
ショートレンジの攻防になれば抜群の強さを発揮する。

平均値で言えば豊島が上回るが、干場が自分の土俵に持ち込めば…そんな予想をしていた。
 

試合開始のゴングが鳴ると、二人はいきなり撃ち合いに…。
干場のショートレンジはやはりかなり強い…旺盛な手数。
しかし、豊島は目まぐるしい攻防の中で、クロスを合わせ、ボディに左フックを合わせ…。
抜群のセンスを撒き散らしながら、干場の回転力に対抗していく。
 

2R、拮抗した撃ち合い、こうなると両者の頭が衝突する頻度も増える。
豊島が上回ったかと思えば、前がかりになった瞬間を逃さず、干場が連打を叩き込む。
双方、応援の数が多く、客席は「竜樹コール」と「悟コール」で真っ二つ。
声援に後押しされるように、二人の撃ち合いは激しさを増していく。
 

3R、干場がここから回転のギアを一段上げる。
自分の土俵での真っ向勝負に、干場の実力が引き出されていくようにも見える。
稀に、拮抗した試合の中で、選手が奇跡のように急激に力を伸ばしていくように見えることがある。

本来はあり得ないことなのかもしれない。
見ている側の勘違いなのかもしれない。
元々これだけの戦いを見せつける力を持っていたのだろう…。

しかし、そんな現実的なところは置いておいて…
干場の姿は、そんな奇跡の瞬間を見せつけているように感じさせてくれる。
 

4R、どちらの血かはよくわからないが、二人のグローブのテーピングが真っ赤に染まる。
豊島はバックステップで距離を作って、右ストレートを叩き込む。
このチャレンジは試合中盤から行っていたが、干場の突進力に作った距離を潰されていた。
しかし、試合終盤に入ってのわずかな干場の疲弊が、このチャレンジを成功させる。

痛烈な豊島の右が干場を捉える…しかし、干場はもらってもひるまない。
12分間続いた二人の拮抗した撃ち合いは、試合終了のゴングで終焉する。
 
 

39-38、39-37、38-38
勝者:干場 悟
 
 

マイジャッジは…39-37、豊島。
 

12分間攻め続けた干場に軍配。

1R、2Rは拮抗しながらも、干場の手数を豊島がガードで防いでいたように思えた。
3Rははっきりと干場につくラウンド。
4R、若干の疲弊を見せた干場に対し、変わらず攻めた豊島が獲ったように…。

しかし、1R、2Rはどちらについてもおかしくない試合だっただけに、納得の範囲。
 

干場…やはり接近戦は異常に強い。
シャープなショートパンチの回転はハイレベル。
距離を取る相手も、生半可な戦い方なら飲み込んでしまうように思える。

まずは、西部日本新人王との対抗戦…。
対戦相手はよくわからないが、その魅力を存分に放って来て欲しい。
負け越し戦績からスタートした新人王戦…干場のシンデレラストーリーに期待する。
 

豊島は…これで2戦1敗1分。
これほどの選手が、未勝利で中日本新人王敗退。
どうして…これもボクシング。
 

なぜ豊島は干場の土俵で戦ったのか…。
付き合ってしまったのか、付き合わされたのか、ただ噛み合ったというだけなのか、
あえてそうしたのか、そうしなければならなかったのか…。

その真偽は本人や陣営しか解らないのかもしれないけれど…
溢れるカウンターセンスを思うと、別の選択肢があったような気もする。
ボクシングで「負けてよかった」なんてあるはずがない。
いくら干場がいいボクサーだったとは言え、豊島を持ってすれば勝てる試合だったのでは…

そんなことを考えているもう一人の自分を説き伏せてやりたい。
 

干場というボクサーの最も得意と思われる土俵で、拮抗した試合を演じた。
ボクサーが行くと言う選択をし、そして向かって行った…。
負けてしまった以上、間違いだったと言われるかもしれない。
だけど…その選択をした豊島の今後はどうなのか…。

僕はきっと、豊島はさらに強くなると思う。
勝ちへの執着をさらに強くするのか、撃ち合いをさらに磨きあげるのか…
そこにも色々な選択はあると思う。

どの選択をするにせよ、次に豊島を見るとき、きっと豊島は格段に強くなっているハズ。
僕はそう信じる。

この負けにへこたれるようならきっとそれまで。
いつか、さらに強い強い相手に勝つために今日負けた。

センスがある奴はいくらでもいるが、実際に結果を出すのは限られた人間。
結果を出せるかどうかの境目は、負けや苦戦を血肉にできるかどうか。
僕はこの試合で、豊島というボクサーに対して、さらに期待を深めた。

ダメージが抜けたら、強くなってリングに帰って来て欲しい。
ここまで書いておいて、豊島が腑抜けて帰ってきたら…僕はきっと笑い物になってしまう。
 
 

…と、今日は1試合だけだけれど、思い入れが強く、長くなってしまったのでここまで。
セミファイナル以降はまた次回。
 
 

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