2024/6/23 -静岡・ツインメッセ静岡- 第5試合~第7試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2024/6/23 -静岡・ツインメッセ静岡- 第5試合~第7試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■2024年度中日本フェザー級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
青柳 冴亮(浜松堀内) vs 鈴木 蒼平(とよはし)

ゴングと共に攻め込んだ青柳に対し、
ロープ際で体を入れ替えてサウスポーの鈴木が左を叩きつけたのがオープニング。
積極的に前に出てパンチを出して行く青柳だが、
鈴木が下がって捌きながら、巧く距離を作って強打を浴びせて行く。
終盤、鈴木から入っていく場面では左ボディが強烈に刺さる。

2R、手の届く距離にいながら、前の手を叩き合ってタイミングを測る二人。
青柳の手数が減った場面、鈴木が左ボディから左ストレートを二連続で叩き込み、
左の三連打でダウンを奪取。
立ち上がった青柳だが、鈴木が的確にパンチを纏めてTKOを呼び込んだ。


TKOタイムは2R 2分55秒


青柳にとっては何年もブランクを空けての試合。
積極的に攻めて行ったが、なかなかパンチを当てさせてもらえず苦しい戦いになった。
ただ、それでも自分からの姿勢は崩さず、攻め込む中での敗戦。
久々に見た青柳の魅力は、変わらずそこにあったように思う。


積極的に攻め込んでいたのは青柳の方だったが、
出て来る手数を巧く外しながら、撃ち終わりに強打を入れることで
五月蠅い青柳の手数を黙らせたようにも見えた。

さらにタイミングの測り合いとなった場面で、
左ボディを強烈に突き刺し、一瞬、動きが止まった青柳の顔面を左ストレートで貫き、
さらに追撃を撃ち込んでリングに沈めた。

残り5秒の短時間しか残されていない状態で仕留め切った戦いぶりも見事。
瞬間瞬間の判断には高いセンスが感じられるように思う。
ボクシングを開始したのが遅く、まだまだギクシャクした部分はあるものの、
積み重なればA級戦線へ勝ち上がっていくような姿も想像できる。

決勝では今年の中日本新人王戦屈指の好カードを
勝ち抜けた木附 大己(LUSH緑)が待ち受ける。


青柳 冴亮 3戦1勝2敗
鈴木 蒼平 1戦1勝(1KO)

 

■2024年度中日本ライト級新人王準決勝
【ライト級4回戦】
田中 友介(西遠) vs 高井 広大(唯心)


序盤から田中のパンチが的確に刺さっていく中、突き刺さった左で高井がグラつく。
早々に鼻血を吹き出した高井もがむしゃらに手を出す中、頭が衝突する場面が複数回。
高井が左目上をカットし、次のバッティングではダメージのあった田中に休息が与えられる。
攻め込む場面では田中が圧倒的にパンチをまとめてはっきりと1Rを制する。


2Rも的確に拳を入れて行く田中だが、高井が被弾恐れずに拳を返していく。
しかし、突き刺すパンチの量は田中が圧倒し、強烈な右に高井がグラつく場面も。
それでもしつこく攻める高井…血しぶきを飛ばしながら抵抗して行く。


3R、一気に田中の運動量が落ちる。
高井の動きももちろん落ちているが、しつこい高井に田中の消耗が激しいようにも見える。
この試合3回目のバッティングによる休憩が与えられ、両者必死に体力の回復を測る。

再開後、動きが激しくなるが、ガードと立ち位置で田中が巧く外しながら
的確にパンチを浴びせる展開は変わらず。


4R、固いガードで高井のパンチを受け止め、反撃を返していく田中。
序盤から鼻血を吹き出していた高井の疲弊は激しく。
一方的になる中、可能性を信じるような高井の右が刺さる。
しかし、逆転には至らず…。


マイジャッジ 40-36 田中

公式ジャッジ
39-37×2
40-36

3-0 勝者:田中


結果一方的にはなったものの、両者ともに苦しい戦いとなった。
ガードを高く上げ、しっかりと受け止めた上で撃ち終わりにまとめて行く。
このガードが下がらないことが、田中の強みにも思えた。

高井は攻めれば攻める程、田中に攻めるタイミングを与えていた。
しかし、それでも攻めることをやめれば勝ちはない。
恐れず、粘り強く攻め続けた高井が、消耗戦の展開を産んだようにも思える。
もっと一方的になっておかしくなかった試合に、チャンスを見出した。

お互いに出し尽くすような消耗戦をはっきりと勝ち抜けた田中。
決勝では強打のバンザイ・リオン(天熊丸木)が待ち受ける。

田中 友介 3戦3勝(2KO)
高井 広大 3戦1勝(1KO)2敗

 

【女子48.0kg契約4回戦】
神成 咲良(changes) vs 谷原 羽奈(ARITOMI)

ゴングと共に攻め込んで行く神成。
デビュー戦の谷原を一気に飲み込まんとする戦いぶりだが、
一回り体格の大きな谷原が被弾しながらも力強くパンチを叩き込んで迎え撃つ。
両者力のこもったパンチの応酬。
体格で下回る神成が、押し合いでも負けずに攻め込んで行く。


2R、足がまわり始めた谷原。
神成が入って来るところを強烈に襲い続ける。
前のめりに崩れかける場面もありながら、果敢に飛び込んで行く神成。


3R、入ろうとすればそこを叩かれ、入らなければ届かない。
神成の選択は、より獰猛に突っ込んで行くこと。
しつこく入ってくる神成に力強くパンチを浴びせながら、
被弾も出て来た谷原だったが、苦しい顔を見せず、満面の笑みを見せて殴り合う。


4R、展開は変わらず、より勇敢に果敢に攻め込む神成。
吹き出した鼻血での体力の消耗もあるだろう中、食らいついていく。
詰めて来る神成に、笑顔で舞うようにリングを跳び。
様々な角度で強打を叩きつける谷原。

両者がその魅力を発散させたまま、試合は終了のゴング。


マイジャッジ 40-36 谷原

公式ジャッジ
39-37×2
40-36

3-0 勝者:谷原


セコンドからの指示は「遊んで来い」の一つだけ。
3Rから谷原は終始笑顔で戦い続けた。
その魅力を爆発させてのデビュー戦だった。

負け越し戦績の神成だが、敗戦した相手は
いずれも無敗のままタイトル戦に辿り着いた選手。
初勝利では LUSH BOMU のリングで大きなインパクトを残した。
これまで熾烈な3戦を戦って来た選手だ。

LUSH BOMU のリングで神成を破ったことに大きな価値があるデビュー戦勝利。
何より満面の笑みでの戦いぶりで、観客の脳裏に谷原の印象をしっかり刻んだようにも思える。

今回は敗戦してしまったものの、勇敢に美しく。
神成の姿はこれまで同様、「北海道のジャン・ヌ・ダルク」に相応しいものだったように思う。
2R、入ることができずに圧倒された場面から…より勇敢に戦う方向へ舵を切った。
リングを降りるときの足元がおぼつかないほど、ダメージを抱えていた。
立ち向かっていく強さ、美しさ…神成もまた、自身の魅力はしっかりと体現していた。

試合後、「気持ちいい試合」だったと口に出た。
それは、両者が両者の魅力を全面で表現した試合だったからのようにも思える。
勝負事の世界…しかし、勝敗だけでは観衆は惹き付けられない。
表現者としてのプロの姿を存分に堪能させてもらった。


神成 咲良 4戦1勝3敗
谷原 羽奈 1戦1勝

 

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