2025/04/05 -愛知・名古屋市昭和スポーツセンター- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級8回戦】
長谷川 烈(KG大和) vs 武藤 涼太(松田)
前足をぐっと遠くまで出し、壁を作るように構える長谷川。
もう見慣れた長谷川の広いスタンス、懐が深くなかなか入りづらい。
サウスポーに構える武藤、お互いに顔面は遠く時折ボディを突き刺し合う展開。
中盤以降、スイッチしながら踏み込むタイミングを増やした長谷川。
そこを迎え撃つように武藤が強烈に左ストレートを叩きこむ。
長谷川が踏み込むタイミングを増やし、武藤を捉える場面が増える。
さらに、踏み込んだ先の至近距離で左右フックを撃ち込む長谷川。
しかし、中盤以降、撃ち合いとなると、距離のないところから鋭く重たく武藤がショートで捉える。
3R、前半は変則的に飛び込んで長谷川がヒットをさらう場面を多く作る。
中盤以降の撃ち合いでは至近距離での武藤の強打が襲う。
長谷川が体で押し込み、普通ならクリンチになりそうな場面で武藤が痛烈なヒットを浴びせる。
しかり、ラウンド終了間際での打ち合いでは、長谷川が武藤の強打をいなしながら
痛烈なアッパーを浴びせる場面を作る。
4R、意表をついて飛び込みヒットを重ねる長谷川だが
密着した場面のコンビネーションで武藤が痛烈なヒットを奪い返す展開。
終盤、コーナーに詰まった長谷川に武藤の強烈な左ボディが刺さる。
5R、足を止めた長谷川。
撃ち合いとなる中で、武藤は上を小さく鋭く、ボディを強烈にたたく。
長谷川のパンチを被弾する場面もあるが、お構いなしに攻め込んでいく。
長谷川が放つ予測不能のタイミングのパンチは、迫力こそないが、
効かせて試合展開を変えてしまう可能性をはらむ。
6R、ボディで動きを止めた長谷川に一気に攻め込む武藤。
下がりながらカウンターを狙う長谷川。
武藤は無理攻めせず次のラウンドへ。
長谷川がうまくごまかして生き延びた印象は、よりクセモノ感を強くする。
7R、ロープに詰めて攻め込む場面を増やす武藤。
攻め込まれる長谷川だが、相変わらずおかしなタイミングの拳で武藤の顔面を跳ね上げる場面を作る。
終盤、ボディを重厚に攻め立てた武藤。
長谷川、時折パンチを返しながら、なんとか耐えて最終ラウンドへ。
8R、頭をつけて撃ち合う二人。
回転でも力強さでも勝る武藤だが、長谷川は最後まで耐えながら、
タイミングのいい強打で対抗し、試合終了のゴング。
マイジャッジ 80-72 武藤
公式ジャッジ
78-74 ×2
79-73
3-0 勝者:武藤
78-74はスイングラウンドを考えれば充分納得の範囲。
武藤が唯一敗れた試合では、上位ランカーにボディで弱らされ、
ズルズルに削られて、試合終了のゴングを聞いた。
自分がやられたことを、相手にやって見せた。
苦しみは自分がよくわかっているはず。
負けた経験を強さに変えた…それがはっきりとわかる展開。
難敵を完全攻略し、ワンランク上の選手になったことを証明したように思えた。
はっきりと削られながらも、うまくごまかし、
そして最後まで意表を突く拳は脅威だった。
難敵長谷川ここにありの試合でもあった。
はっきりと、ランカークラスと言える選手。
武藤が倒せなかったわけじゃない、長谷川が倒れなかった。
「一筋縄じゃ行かないA級戦線」
僕がよく言うこの言葉は、長谷川のような選手がいるから使える言葉。
これで中日本3戦目、この地方のボクシングを見てきた人たちのいつかの酒の肴になる選手。
長谷川にはまだまだ、僕たちにいろんな思い出を残してほしい。
また、中日本の会場で待っていたい。
長谷川 烈 12戦8勝(3KO)4敗
武藤 涼太 10戦8勝(5KO)1敗1分
【フライ級8回戦】
坂井 涼(畑中) vs 中山 祐太(一力)
鋭くジャブを刺し合う立ち上がり。お互いに時折ボディを叩き合う。
ジャブの中に、ガードをまわりこむような左フックを交える坂井。
中山が右アッパーを突き刺したところでラウンド終了のゴング。
2R、至近距離のアッパーで坂井の頭を跳ね上げる中山。
強烈に入っているようには見えなくても見栄えはいい。
坂井はガードの上から迫力ある右ストレートを叩きつけると、
高回転のコンビネーションでボディから襲っていく。
中山もそれにひるまずボディを返す場面を作る。
3R、足を使うわけではなくとも、しっかりとミドルレンジを維持する坂井。
先に手を出す場面は坂井の方が多く、さらに撃ち合いになれば、
的確かつ高速なコンビネーションで中山を上回る。
ずば抜けたスタミナと手数を誇る中山が、
その武器の出しどころを失っているように見える。
4R、頭をつけての撃ち合に坂井が応じる。
坂井はボディから上へ叩きながら、至近距離でのディフェンスも堅い。
攻めどころをボディに絞られた中山だが、自分の土俵とも言える展開にがむしゃらに攻める。
そんな中、カウンターで入った坂井の右ボディ。
完全に効いた中山に、坂井が釣る瓶打ちで攻め立てると、
一方的に顔面を捉えられる状況にレフリーが割って入る。
そのまま中山はリングに崩れ落ちた。
TKOタイムは4R 1分33秒
聖地後楽園ホールで戦う数多くのA級選手が苦労した中山の手数を封じ込め、
さらに撃ち合っても中山以上の手数で撃ち勝ち、
そしてしっかりとKOで試合を決めた。
これ以上の勝ち方があるのか…といった勝ちっぷり。
難敵と言うに相応しい相手を全く寄せ付けず。
坂井 涼…ここまで強かったか。
ただ勝ったわけじゃない、「あの」中山 祐太を寄せ付けなかった。
相手が中山だったからこそ、はっきりと実力を示したように思える。
数多くのホープたちがタイトルを睨む位置に迫る中…
坂井に「いよいよ」のにおいが立ち込め始めた。
坂井 涼 10戦9勝(5KO)1敗
中山 祐太 19戦8勝(5KO)8敗3分
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