2018/11/25 -刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/11/25 -刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

両国の国家が流れるタイトルマッチ。
フワフワと浮ついた思いでリングを眺めた。
信じられない…森にはタイトルマッチを戦う実力はある…それでも、信じられない。

僕が唯一「負けちまえ」とぼやいた男。
デビュー戦の癖に、先輩ボクサーを差し置いて、
ガウンを羽織ってセミファイナルのリングに現れた生意気そうなクソガキ。
鮮烈なKO劇でデビューを飾った森に、内心面白くない思いを抱えていた。

その後、森は連戦連勝で全日本新人王を獲得。
一気に世界ランカー挑戦にまで駆け上ってきた。

その間、森の様々な面が見えて来る。
幼少期から、誰もが舌を巻く練習量…再起不能と言われた怪我からの復活。
この類の話は、プロモーション用に造られた話も多く、真正面からは信じないことにしているが…。
森にまつわるエピソードが本当だったことを知っていく。

テレビでしかボクシングを見ないファンが、ボクサーにこじつける幻想の類…。
それをそのまま具現化したような選手であることを知る。

気が付けば…森 武蔵に手に汗握っている自分がいる。
アラン・バレスピン(比)戦で際どい判定をモノにした森にどれだけ安堵したことか…。
 

押しも押されぬメインイベンターとして入場してくる森武蔵。
名実ともにアジアの王者に挑む男、もうガウンは似合い過ぎるくらいに似合っている。
どこか現実味のない感覚でリングを見つめる中、試合開始のゴングが鳴り響く。
 

■WBOアジア太平洋フェザー級タイトルマッチ
【フェザー級12回戦】
リチャード・プミクピック(比) vs 森 武蔵(薬師寺)

WBOアジア太平洋フェザー級王者/WBO世界フェザー級8位/OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級3位
リチャード・プミクピック 31戦21勝(6KO)8敗2分

WBOアジア太平洋フェザー級10位/OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級8位/日本スーパーフェザー級11位
森 武蔵 7戦7勝(5KO) サウスポー
 

離れた距離からお互いに距離を測り、踏み込むタイミングを探る。
静かな立ち上がり…踏み込み勝負となるか。

お互いに腹を叩き合いながら、最初の明確な顔面へのヒットは森の左に合わせたプミクピックの左フック。
踏み込んだその近い距離で、森の顔面に右拳をぶつけて距離を取るプミクピック…巧い。

中盤、いきなりの右で武蔵の顔面を捉えるプミクピックだが、
森はもらいながら右フックをひっかけ、さらに強烈に左ボディを叩く。
そして追撃に左ストレート…森が互角に戦えることを示す。

しかし、ラウンドが進むにつれ、プミクピックが飛び込みながら撃つ右ストレートが森を捉え始める。
さらに飛び込んだ後、密着した状態でのクリンチワークでも巧さを見せる。
 

2R、右を撃ちながら飛び込んでくるプミクピックに左フックを撃ち込む森。
プミクピックの右が当たる場面では森の顔面が派手に跳ね上がる。
ラウンド終盤にはプミクピックが右オーバーハンドからの左アッパーを撃ち込む。
 

3R、このラウンドもプミクピックは飛び込んだ後の密着した場面で巧さを見せる。
離れ際に右フックを撃ち込み、さらには右ボディを撃った拳をそのままアゴへアッパーで突き上げる。

絡み合った状態でガンガン撃ち込んでくるプミクピックに対し、森も負けずに応戦。
ラウンド中盤、起死回生とも思える左ボディが炸裂する。
以降、組みつく場面がより増えたプミクピックに対し、片腕を抑え合った状態で
森が左を強引にボディに突き刺していく。
 

4R、開始直後から激しく撃ち合った二人、凄まじいスピードの中で展開される攻防の中、
右アッパーから左フック、もう一度右アッパーと3連打をヒットさせるプミクピック。
クリンチ際では強引に離れようとした森に右フックを炸裂させる。
しかし、この場面、相打ち気味に森もしっかりボディを入れる。
密着した状態でお互いにボディを叩くが…明らかにボディを嫌がるプミクピック…。
組みつく時間が長いままラウンドが終了。
 

5R、近い距離で撃ち合う二人…しかし突然のアクシデント。
両者の頭の衝突でプミクピックが大量に出血。
ドクターチェックのあと、試合は再開。

直後の撃ち合いでは森がプミクピックの顔面をアッパーで跳ね上げる。
明らかに森に流れが傾く…が、二度目のドクターチェックが入り、負傷判定へ…。
 

マイジャッジ 48-47 プミクピック。

両者が手を上げて自身の勝利をアピール。
ダメージを獲るか、ヒットや手数を獲るか…。

3Rからボディを効かされたプミクピック。
ダメージを重くとれば、武蔵の勝ちもあり、逆にヒットや手数をとれば、
1R~4Rがプミクピックに流れる可能性もある。
 

判定が発表される
 
 

48-47 森
48-47 プミクピック
 

最後のジャッジは…
 
 

49-47 森
 
 
 

WBOアジアパシフィック王座、日本人史上最年少王者が誕生。
歓喜に湧く刈谷あいおいホール。

これまで感情を表に出してこなかった森がリング上で感情を露にする。
腰に巻かれるチャンピオンベルト…。

森が…刈谷でベルトを巻いてくれた。
若すぎて似合わないんじゃないかと思ったベルトだったが…良く似合う。
昼の刈谷興行、差し込む日光がスモークのようになって、幻想的に森の姿をぼやけさせる。
 
 

この1年、拳の怪我と付き合い続けた森。
激痛に耐えながら練習に励み、勝ち続けた。
誰もが認める森の努力と根性…報われた。

そんな安堵に胸をなでおろし、デビューから見てきた選手がチャンピオンになった姿に
夢を見ているような感覚に…。
 

森のインタビューが終わると、ジャッジ1名の採点が訂正され、48-47が49-46に。
さらに、薬師寺会長がリングに上がり、負傷判定で半端に終わってしまった試合の再戦を示唆。
 

どちらが勝っていてもおかしくなかった試合。
開いた控室の扉の奥で、抗議するプミクピックの姿が見える。

決着戦はきっと激しいものになるだろう。
そして、アジアの王者となり、狙わる立場となった森。
強豪選手たちは大勢いる。

しばらくの休息を経て、森のドラマが激動と化していく。
そんな予感に包まれる…そう、これで終わりじゃない。

きっと森の第2章は、第1章の100倍は面白い。
 
 

 
 

【試合動画】
森武蔵vsリチャードプミクピックWBO-APフェザー級タイトルマッチ 第1R
森武蔵vsリチャードプミクピックWBO-APフェザー級タイトルマッチ 第2R
森武蔵vsリチャードプミクピックWBO-APフェザー級タイトルマッチ 第3R
森武蔵vsリチャードプミクピックWBO-APフェザー級タイトルマッチ第4R
森武蔵vsリチャードプミクピックWBO-APフェザー級タイトルマッチ第5R
 
 

 

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