2017/9/3 刈谷あいおいホール-3試合目、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【54.5㎏契約】
田中 裕士(畑中) vs ブライアン・カパンパンガン(比)
・田中 裕士 25戦20勝(14KO)2敗3分
WBOアジア太平洋バンタム級8位
日本バンタム級8位
元WBCバンタム級ユース王者
・ブライアン・カパンパンガン 16戦12勝(9KO)3敗1分
日本初登場のフィリピン人に、実力の程を測りかねた戦前。
蓋を開けてみると…かなり危険な相手。
1R開始直後、速いジャブの交換で始まった試合。
そこそこにカパンパンガンが的確で速いコンビネーションで田中を捉えていく…。
ラウンド終盤には強烈な左フックをヒットさせる。
そこからさらに2発、3発…。
大きいが鋭く、そして速い…このフィリピン人、メチャクチャ強い。
とにかく左フックが的確。
2R、田中はとにかくジャブを突き始める。
刺し勝っているジャブで、相手の突進を止め、とにかくジャブ、ジャブ、ジャブ…。
速射砲で相手の顔面を跳ね上げるシーンも作り、流れを取り戻す。
しかし、合間にはやはり強烈なカパンパンガンの左フックをもらってしまう。
3R、フットワークのギアを上げ、ジャブの数を増やした田中。
素早く出入りしてショートのパンチを浴びせるシーンも作り…。
カパンパンガンはついてこれず…。
ジャブを突いて動く…基本的に忠実な動きに、カパンパンガンは振り回される。
4R、展開は一方的に。
田中のスピードにパンチを当てれなくなってしまったカパンパンガン。
しかし、パンチの鋭さは失われておらず…このままポイントアウトなら安心して見ていられるが…
田中が色気を出せば危険にも思える。
5Rもまた、同じ展開。
膠着した中…このまま冷静に勝ちに徹するか、攻めて出るか…。
6R、両者の距離が一気に詰まる。
撃ち合いにいった田中、カパンパンガンは水を得た魚のように強さを発揮。
終盤近く、カパンパンガンのアッパーが田中を捉える。
踏ん張りが利かなくなったか田中は揉み合いでよろけてスリップダウン。
このシーンで、右手の上に乗り上がるような形になる。
全体重が右手にかかったような形…。
再開直後、カパンパンガンの強烈なボディをもらう田中。
そして、右が出ない田中…まさか…。
一気に窮地に追いやられる。
7Rもまた撃ち合いの中に身を置いた田中。
右腕は大丈夫そう…後から解ったことだが、6Rからボディを効かされていたとのこと。
前半は持って行かれるものの、中盤から盛り返しての終盤…
左フックに合わせた左フックをアゴ先に撃ち抜き、カパンパンガンをぐらつかせる。
両者ヒッティングでのカットを負う。
8R、カパンパンガンも疲れを見せる中、両者は撃ち合い。
そのままタイムアップし、勝負は判定へ…
マイジャッジは77-75で田中。
正式なジャッジは78-75、78-75、78-74。
6Rのスリップは、個人的には”ない”とも思えるが、場合によってはダウンと取られる可能性もあった場面。
かなりの接戦を切り抜けたと言っていいと思う。
決して楽ではなかったけれど、打開したのはジャブ。
威力もあり、相手を止めるには充分なもの。
基本的なパンチが見事…まだまだ登っていって欲しい。
一つ言うなら、6R、撃ち合いに行ったように見えた田中…それは果たして必要だったのか。
カパンパンガンは撃ち合いには滅法強かったが、
田中がジャブを撃って動いていた時間、そのスピードについてこれてはいなかった。
相手のパンチはまだまだ生きていた状態。
相手が弱っていたのなら…行くのは当然だと思う。
あの時点…そうだっただろうか。
勝った者が全ての世界で、リスクの高過ぎる選択をした…結果、勝った。
僕はあの選択を手放しで褒める気にはなれない。
これは勘ぐりだが…外野の声を気にしたのであれば、それは心の弱さにも思える。
勝負どころは…正しかった?
そもそも行ったわけではないかもしれないし、
行った結果ああなったんだとしても、理由は別のところにあるのかもしれない。
ただ…もし、フィリピン人だから倒さなければならないという頭があったのなら…という仮定で言うなら、
勝ちにこだわらずに勝ち続けられるような…そんな世界だろうか。
相手も強かった。
田中も強かった。
…でも。
タイトルを期待される選手だからこそ…。
【58.0kg契約8回戦】
林 翔太(畑中) vs マークイル・サルバーニャ(比)
・林 翔太 36戦29勝(17KO)6敗1分
日本フェザー級8位
元日本フェザー級王者
・マークイル・サルバーニャ 16戦13勝(7KO)3敗
1Rは静かな展開。
お互い様子見が続く。
L字ガードで構えるサルバーニャ。
試合は3分間で動かず。
このラウンド終了後、サルバーニャは集中を切りたくないのか
椅子にも座らず、ロープにつかまることもせず。
2R、ボディに狙いを定めた林は、いくつもいくつもサルバーニャの腹をえぐる。
さらに右ストレートを強烈にヒットさせる場面も。
このラウンド、バッティングで林は右目をカット。
このラウンド終了後はサルバーニャは椅子に座る。
3R、サルバーニャは体の強さを発揮し、体を預けるようにロープへ押し込んでいく。
振りほどこうとする林だが、サルバーニャはびくともしない。
フィジカルの強さはかなり際立つ。
しかし…林は密着した距離でも巧く隙間を作ってボディを撃ち込んでいく。
そのせいか、サルバーニャは押し込んでもパンチが出せない。
サルバーニャはラウンド終了後、椅子に座り…今度は次のラウンドの開始に応じるのが遅れる。
最初は座りさえしなかったが…ボディが効いてきたか。
コーナーで「アァ!アァ!」と声をあげながら深呼吸を繰り返す。
4R、このラウンドもまた、押し込むサルバーニャにボディを中心に撃ち込んでいく林。
必死に前に押し込んでくるサルバーニャだったが…。
さらにボディから上に捉え続ける林。
このラウンド終了後…再開に応じれなかったサルバーニャ。
腹を押さえて、もう無理…とギブアップをアピール。
4R棄権…終わり方はすっきりとはしなかったが、完璧に相手をねじ伏せた林。
やりにくい相手…一言で言えばそういう相手。
密着した距離で戦えない選手であれば、ズルズルとサルバーニャのペースに引き込まれたかもしれない。
気になったのはカット…王座陥落もカットから勝負を急いでのものである。
癖になってしまってはいないだろうか…。
遠目でカットした個所がよく解らなかった為、なんとも言えないが…。
カットを繰り返すうちに、触れれば切れるような状況になってしまうボクサーもいる。
もし、癖の兆候があるのであれば、しっかりと療養してほしい。
ここで、一旦興行は間をあけ、田中 恒成(畑中)がリングに登場。
飯田 覚士(緑)と二人で次の世界戦を盛り上げるべくトークを展開。
内容は、”現地観戦したファンだけに…”ということなので掲載は控えるが…一文だけ。
「畑中 建人(畑中)はメキシコに染まってしまった。」
…と言い残し、リングを降りた。
この後、この日のファイナル。
プリンスこと、畑中Jr.が登場する。
【カテゴリ別】
2017年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2017年9月に戻る
【記事一覧】2017年に戻る
【記事一覧】に戻る
各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
コメント