運命のライトクロス 篤 弘將(三津山)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/08/23

運命のライトクロス 篤 弘將(三津山)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/08/23
 
 

 

篤 弘將(三津山)のピックアップ3日目。
前回は篤が三津山ジムへ入門したところまで…。
 
 

 

篤にとって初めてのリングはアマチュア。

ボクシングを始めて4ヵ月のこと。
しかしこの試合は当日検診に引っ掛かり、不戦敗を記録してしまう。
高熱に全く気付かなかいままの検診。
減量の影響か…記念すべき初のリングはお流れに。
 

その2ヵ月後、ようやく初めてのリング。
相手は高校生の大橋 卓也。
「勝った…」と感じた試合だったが、判定で敗北。

「高校生に負けた…」
目標を新人王に定めていた篤にとってはまさかの結末。
篤に期待していた面々の落胆も大きく、ジムに戻った篤を待っていたのはお説教。
 

大橋 卓也が国体準決勝まで勝ち上がるのは、その後のこと。
会長もトレーナーも、慌てて説教を撤回。

「相手が強すぎた…」

もしかすると…静岡のボクサーはトーナメントのクジ運さえ悪いのかもしれないとさえ思えてしまう。
 
 

篤がプロを目指したきっかけ…
実はそんなものは存在しなかったという。

いつの間にか…自然とプロを目指すよう育てられていた。
 

20歳でプロライセンスを取得。
21歳でデビュー戦を迎える。
 

相手は地元選手の鈴木 大介(駿河)。
“戦いのプロ”となって初めてのリング。

キックの経験もある、体も練り上げた。
アマチュアのリングも踏んだ。
ずっと、ずっと強くなる為に努力してきた。

「負けるはずがない」

篤は1RからKOを狙ってコーナーを飛び出す。
一気に倒してしまおうと、力を入れて振りまわす。

不器用で変則的…そして思い切りのいい鈴木。
強く撃った篤のジャブにタイミング良く鈴木のクロスが被さる。

強烈にテンプルを捉えた一撃。
篤の目の前は真っ白になった。
ダウン寸前の中、1R終了のゴングを聞いた篤。
 

このたった一撃が、篤のボクシングロードを決定づけることになる。
 

その後の9分間を盛り返し、際どい判定でデビュー戦勝利を飾った篤。
試合が終わった瞬間、頭の中は“プロボクサーに殴られる”恐怖でいっぱいになっていた。
 

デビュー戦勝利…華々しく聞こえる言葉の響きとは裏腹に、
デビュー戦で味わった鈴木の一撃に対する恐怖。
これが、篤を延々と縛り続ける。

スパーリングでさえ緊張するようになり、楽しかったボクシングが恐怖一色に染まっていく。
撃ち合いが得意だったはずの篤が、試合になると自分のボクシングを出せなくなってしまう。
 

しかし、プロのライセンスを手に入れ、既にどっぷりボクシングに使っていた篤。
ボクシングしか自慢できることがない…ずっと夢見て青春をかけてきたもの。
投げ出すこともできず、体とともに精神までも削ぎ落し始める。

ファンには見えないところで篤は苦しみに翻弄される。
 

篤の2戦目が組まれたのは5ヵ月後。
相手は…またも鈴木 大介。

前戦がかなり際どい判定だったこともあり、駿河ジムから再戦の申し入れがあってのこと。

この試合の1か月前、篤は肋骨を骨折し練習も満足にできない日々が続く。
トレーニングで体重を落とすことができず、食事や水分をメインに落としていく…過酷な減量。

さらにこの試合の前日、祖父が危篤に。
計量後に富士宮へ向かった篤…試合当日の朝、祖父は永眠する。
 

「逃げたり投げたりできないのがプロだし、自分のプライドだったり、会長やトレーナーのために!っていう想い、
 生きて次の日を迎えるという、家族や周りへの想い…色んなものを抱えて試合に、練習に臨むんです。」

篤の言葉がやけに重く感じる。

ファンや選手がたまに口にする…「プロだから当たり前」。
その”当たり前”の壮絶さは、職業の度を超えている。
 
 

この試合、痛みから麻酔を打つことも考慮された最悪のコンディション。
篤はまともな被弾を許さず、ほぼフルマークで鈴木を返り討ちにする。

鈴木が篤に刻印した”恐怖”が、篤に撃たれないボクシングを徹底させることになる。
ある意味、鈴木によって作られた篤に、鈴木は敗れてしまう。
結局、鈴木は篤との2試合でプロのリングを去っていく。

彼は、その後の篤を知っているだろうか…。
松本と篤…二人のボクサーが色濃く記憶を残す激戦は、
2戦2敗の無名ボクサー、鈴木 大介のクロスが産み出した。

そう言えてしまう気がしてならない。
 
 

ちなみに激戦を刻んだもう一人の主役、松本 一也(松田)

篤vs鈴木の2試合の合間にデビュー戦を飾っている。
 

高校のボクシング部でボクシングを始め、憧れた先輩を追いかけて名古屋へ。
プロボクサーになったはいいモノの…モチベーションが全く上がらず…。
負けて田舎に帰ろう…そう思って立ったデビュー戦のリング。

お互いに手数を多く出す4回戦らしい戦いは、
過去のアマチュア時代に積み上げたスタミナで押し切り…
命からがらデビュー戦の判定勝利を手に入れる。

この試合で気を良くして猛烈な練習に励み始め…。
この頃はそんなムラっ気の多い、悪ガキから脱皮しきれない男。

デビュー戦が終わった後、ようやく本当の意味でプロとしての道を歩み始める。
 
 

 

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