2017/6/11 刈谷あいおいホール-小出 大貴引退式(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/6/11 刈谷あいおいホール-小出 大貴引退式(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【小出大貴引退式】

順調に丸木 和也(天熊丸木)が再起を飾ったセミファイナル。
弟の丸木 凌介(天熊丸木)が登場するファイナルの前に、小出 大貴(緑)の引退式が執り行われる。
 
 

元日本ライト級3位/OPBF東洋太平洋ライト級6位
33戦22勝(9KO)9敗2分

日本ランカーとして活躍し、最強後楽園に2度出場。
僕が最後に見た試合は、丸木兄弟と小出の3人が韓国の強豪と対峙した日韓対抗戦。
OPBFランカーのウォン・ウーミン(韓)と対戦し、1Rに強烈な一撃でのKO負け。
ジムの先輩にあたる、オケロ・ピーター(緑)に肩を抱かれながら引き揚げる姿が今でも思い出される。

その後、かつて自身からランクを奪った岡崎 祐也(中内)との2度目の戦い…
リベンジを期した試合に、接戦ながら敗北したのがラストマッチ。
 

2004年にデビューすると2005年の中日本新人王を獲得。
西軍代表決定戦では後にラスベガスで世界挑戦を果たす大沢 宏晋(大星)を6RTKOで退けて全日本新人王に出場。
全日本新人王決定戦では後に世界挑戦で大激闘を演じた荒川 仁人(ワタナベ)に敗れて初黒星。
…この年のライト級新人王戦線は異常にレベルが高かった。

その後、引分けを挟んで8連勝。
その連勝を止めたのが、亀海 喜寛(帝拳)
この夏、日本人史上最大の戦いと言われるミゲール・コット(プエルトリコ)との対戦を迎える男である。

その後は勝ち負けを繰り返すが…
中森 宏(平仲BS)、塚原 信一(HEIWA)、川瀬 昭二(松田)…。
強豪ばかりが並ぶその戦歴。

戦い抜いた男が、ついにテンカウントゴングを聞くことになった。
 

僕は小出の一番いい時期を知らない。
名古屋のボクシングから遠ざかり、遠路はるばる後楽園に通っていた時期に活躍した選手。
それでも、その存在は知っていたし、小出を愛したファンも知っている。

小出引退の報は、少し前から漏れ伝わっていた。
その時、小出を愛したファンから出た言葉…
「いい夢見させてもらったよ」

同じファンだから思う。
ファンにとってボクサーに贈るこれ以上ないほどの賛辞がこの言葉。
 

ファンはボクサーに夢を見る。
応援しているボクサーが勝てば勝つほど贅沢になり…
満たされることはほとんどない。
現地観戦を重ねれば重ねるほど…それを痛感する。

彼らが引退するとき、手に汗握ったこれまでを振り返ってそんな言葉が出る。
応援した思い出は、自分のアルバムと同じ。

小出が新人王を戦った頃、自分はこんなだったとか…
最強後楽園に出た頃、あんなことがあったっけ…とか。

本当に、本当に愛されたボクサー。
 

そんな小出のいい時期を見れなかった後悔と、小出を愛したファンの心中と、
戦い続けた男の最後に…引退式の開始から泣けて泣けてどうしようもない。

ヒゲも剃っていないおっさんが、鼻をグッシュグシュにして泣く姿は
きっととっても汚らしいだろうけど…最後のあいさつで小出が泣き始めるもんだから…
もう、おっさんの汚らしい涙はピークを超える。
 
 

小出 大貴、引退式挨拶

「えっと………ありがとうございます。
 えっと……みなさんこんにちわ。
 すいません、あのー…喋るの苦手で…何しゃべっていいか分かんないんです。

 あのー…ほんと何しゃべっていいかわかんないや、すいません。

 ほんと…もう自分はボクシングしかなくて、もうボクシング…
 もうボクシング、ほんと最高でした。
 ほんとにあの…なんて言うんですかね…。
 (小出泣き始める)

 あのー…ボクシングを…ボクシング始めたときは礼儀も何も知らなくて、
 トレーナーの学さんのお父さんに喧嘩売っちゃうような…そういうところもあったんですけど。
 ……ほんとに…すいません、何しゃべっていいかわかんないっす、すんません。

 でもあの、僕は自分の為に、自分がチャンピオンになる為だけにがんばってボクシングやって来たんですけど、
 でも、ほんと、沢山の方に、沢山ほんっと応援していただいて、
 ありきたりなんですけど、感謝って言う言葉しかないです。
 本当にありがとうございました。

 自分は何回も怪我とか病気とかいっぱいしたんですけど、そいで………
 …緑ジムの会長には頭が上がんないです。
 ほんとに…ほんとに感謝してます。
 会長、ありがとうございました。

 あぁ~…もう、学さんもホント、最後に気合い入れてください!」

この後、いつもトレーナーと試合前に行っていた、試合前の気合い注入の張り手がリングの上で…
ファンに見えない舞台裏からリングに上がる前…いつもこうやって出てきてたんだ…そんなことを思う。

村上 学トレーナー…。
ヤンチャそうな髪型で、強面なんだけど、彼のブログ見たりすると、ほんと暖かいんだよなぁ。
マッチョトレーナーのオフィシャルブログ…興味ある方は是非。
 

とりあえず、引退式直後は泣きすぎのあとの頭痛。
この状態でファイナルかぁ…ちきしょう…やられた!なんて思いながら、ファイナル開始。
 

ファイナルが、速攻のKO劇で決まってくれて正直助かった。
 
 

試合が終わり、外に出る。
仕事の着信が入っていた為、いつも見ているリングの解体を見損ねてしまう。
…マットが剥がされ、骨組みになって行くリングを見ながら、
その日の試合を思い起こすのが至福の瞬間なのに…ちきしょう。
 

戻った時には、既にリングは寂しい姿に。

仕方なく、帰路につき、帰り道にふと思う…
たとえば、今熱を上げている五十嵐 嵩視(トコナメ)や豊島 竜樹(伊豆)、トミナガ シンペイ(中日)
引退を迎えたとき、自分は果して正気でいられるのだろうか…。

号泣どころか、失禁もあり得るのでは…なんて本気で心配になる。
できる限り、遠い遠い先の話であってほしい。
 

そして彼らが、引退式に見合う結果を持って、最後のテンカウントゴングが鳴らされることを夢見る。
…って、その前に…ベルトか…。

いやぁ…それはそれで、失禁もんだわ…。

今は僕の頭の中のタイトルマッチ。
それが現実になる日には、かばんに替えのパンツとズボンを詰め込んで行こうと思う。

もちろん、妻と子供には内緒で。
 
 

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