2019/11/24 -愛知・刈谷あいおいホール- 第7試合~第9試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/11/24 -愛知・刈谷あいおいホール- 第7試合~第9試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【ウェルター級4回戦】
中村 力也(とよはし) vs 近藤 璃空(緑)

中村 力也 デビュー戦 サウスポー
近藤 璃空 デビュー戦
 

静かな立ち上がりの中、近藤のジャブを外してボディを叩く中村。
近藤が詰めて来るところに左ストレートを当てると、コンビネーションを撃ち込んで行く。
対する近藤、距離が潰れたところで単発ながらボディを叩きつけていく。

ラウンド中盤、ボディから左ストレートへ繋げた近藤。
さらに右ストレートで中村の顔面を跳ね上げるシーンを作る。

近い距離で細かく撃ち合う中、回転よくパンチを出していくのは中村。
近藤が躓いたようにバランスを崩してダウン。
スリップでもおかしくないタイミングだが、拳は当たっていたように思える。

再開後、中村が詰めて細かく撃ち込む中でこのラウンドが終了。
 

2R、このラウンドも細かく細かく撃ち込んで行く中村。
迎え撃つ近藤の強烈な左フックが突き刺さる。
体を近藤に預けるようにして、中村がロープ際に押し込んだ攻防。
距離が潰れる中、捻じ込むような中村の左右フックが近藤を捉える。

押し合う中、大振りとは言えない近藤のパンチの更に内側を小さく小さく走る中村のパンチ。
近藤もひるまずに撃ち返すが、左フックが中村を強烈に捉えたと思った刹那、
中村が撃ち返した左フックで揺れた近藤…猛烈な回転でパンチを叩き込み
レフリーは試合をストップ。
 

TKOタイムは2R 2分50秒。
 
 

鋭く小さく細かく…回転のいい連打がとめどなく出てくる中村。
短い距離を走るそのパンチにはしっかりと威力もある。
少しでもパンチが大きくなれば、回転に飲み込まれる。

この日の近藤はそんな中村にしっかりと対抗した。
ひるむことなく、強烈に中村を捉える場面を見せた。

来年の新人王戦、本命の一人になりそうにも思える中村。
そこにしっかり対抗した近藤もまた、主役になり得る一人だと感じる。
デビュー戦同士でぶつかった強い二人の戦い…少し贅沢にも思えた。
この戦いが、来年の伏線になることを願う。
 
 

 

【74.5kg契約4回戦】
前岡 デニスロベルト(西遠) vs 高橋 健太(三河)

前岡 デニスロベルト デビュー戦
高橋 健太 デビュー戦
 

まさに巨人とも言えそうなどでかいフレームの高橋。
前岡もライトヘビーの選手…大きいはずだが、それより頭一つは大きい。

ただし、綺麗なのはアマ実績のある前岡の方。

フレーム差をものともせず、距離を詰めてワンツーを撃ち込む前岡。
高橋は強引に詰めてボディを狙うが、二人の体が重なったと思った刹那。
高橋が膝を着く…体の陰に隠れて見えなかったが、前岡のショートがヒットしたか。

立ち上がった高橋だったが、前岡が強引にワンツーを何度も叩きつけると
高橋のガードがどんどん割られていく、最後は捻じ込むような右フックで
高橋の巨体がゆっくりとリングに沈む。

レフリーはノーカウントで試合をストップ。
TKOタイムは1R 1分10秒。
 
 

しっかりと下地のできあがっている前岡。
ライトヘビー級となれば対戦相手に苦労しそうだが、
日本国外にはその階級の選手も多くいる。

仮にアジア人との試合が増えたとしても
キャリアをしっかり構築してほしいと感じる。
中重量級には一人でも多くの選手が必要だ。

どの階級も、その階級に歴史を創っていった選手がいる。

誰かが作った歴史の上に立つわけではない…
それがこの近辺の階級で戦う選手に課せられるもの。
歴史の創造…考えるだけでワクワクしてしまう。
 

高橋もまた、キャリアが続くならそれを創る一人。
大きなフレームは驚異の一言。
痛烈なKO負けを喫したデビュー戦。
ここから立ち上がり、リングに戻って来ることを期待したい。
 
 

 

【56.0kg契約6回戦】
干場 悟(蟹江) vs 三輪 珠輝(名古屋大橋)

干場 悟 9戦5勝(2KO)4敗
三輪 珠輝 12戦6勝(1KO)5敗1分
 

距離を少しずつ少しずつ詰めていく干場に対し
リングを大きくまわりながら左を突いていく三輪。
ジャブと右ストレートを中心に叩いて行く三輪に対し、
干場は若干反応が遅れ気味か…。

詰まったシーンでは一旦前に出て体をぶつけてから下がり、距離を確保する三輪。
グイグイ出ながらボディを撃つ干場に対し、しっかりと距離を維持する三輪だが
ラウンド終了直前、ロープ際から体を入れ替えようとした三輪に対し
干場の右ストレートが刺さり、三輪のアゴをえぐる。
 

2R、圧力を強めて詰めていく干場。
入って来るところに右フックを合わせる場面を作る三輪だが、
干場は止まらず、強引にねじ込むように右ボディ、右ストレートを撃ち込んで行く。

干場が入って来るところに、強烈に右ストレートを撃ち込む三輪だが…
干場は貰いながらくっつき、ゴリゴリと拳をぶつけていく。

ラウンド中盤、三輪が左ボディ強烈に入れると、狙いを定めて何度も何度も左ボディを撃つ三輪。
しかし、干場も強烈に左ボディをやり返し、お互いに腹をえぐり合う。

終盤には干場が三輪を自身の土俵である撃ち合いに引きずり込み始めたか。
お互いの拳が頻繁に交錯する。
 

3R開始からグイグイと詰めていく干場。
ここで三輪が開き直ったように撃ち合いに出る。
腹から顔面へ的確に強烈にパンチを集めた三輪…。

しかし、下がらない干場…止まらない干場…
まさに干場悟の真骨頂のような次々と出る手数で三輪を飲み込んで行く。
撃ち合いは…本職干場が制する。
 

4R、ラウンド開始直後はボディから顔面にパンチを集めていったん距離を置く三輪。
しかし干場はどんどん前に出て三輪に必要な距離を潰し、次々に手数を出していく。
体格で押し込まれて多少体制が崩れても、特有の柔らかさで、崩れたままパンチが出てくる。

徐々に徐々に…削られていく三輪。
スタミナがない選手ではないハズの三輪…詰められ続ける試合展開に疲弊を見せる。
 

5R、近い距離で細かくサイドに動きながら撃ち合い始める三輪。
ここに来て新たなチャレンジを試みるが…
干場はくっついては細かく細かくパンチを撃ち込み、
三輪の綺麗なボクシングを飲み込み、ぐちゃぐちゃな試合展開にしてしまう。
言葉通り泥沼に引きずり込む…干場がその怖さを如何なく発揮する。
 

6R、三輪が撃ち合いに応じる。
激しく撃ち合う二人…激しく激しく撃ち合う二人…。
どんな体制からでも手が出る干場、その分、
圧倒的に回転で勝り三輪を飲み込んで行ってしまう。

あとが無い三輪も貰いながら右ストレートで強烈に干場のアゴをえぐるも
干場は止まらない、止まらない、止まらない…。

ラスト10秒、またも三輪が強烈に右ストレートを突き刺す。
干場…ここに来て膝を揺らすと、三輪が最後のチャンスに攻め込んで行く。

大きな「たまきコール」が響く中、疲弊した三輪が最後の力を振り絞るも…。
無情な試合終了のゴングが鳴り響く。
 
 

マイジャッジ 59-55 干場
 

公式ジャッジ
59-56×2、59-55

3-0 干場
 
 
 

日本人離れした柔らかさで手も足もどんどん前に出る干場。
もらってもまるで衝撃を吸収してしまうかのよう。
崩れたところからも特有の柔らかさで、どんどん手が出てくる。
綺麗な軌道ではない…汚い軌道だからこそ避けづらいパンチが、嵐のように飛んでくる。

どんな相手も、撃ち合いの土俵に引きずり込み、圧倒的な手数で飲み込んで行く。

しばらくブランクを作った後、再起戦はKO負け…。
ようやくようやく、ここに来て、強い干場が復活した。
リングで手を挙げられ、勝ち名乗りを受ける干場に「お帰り」の言葉が自然と出る。

干場が4回戦の頃、怒涛の手数に「これが何ラウンド持つかだよね」なんて周りのファンと話していたが…
この日の干場は6Rの間、一切ペースを落とさず…きっと8Rもこのペースを維持してしまうだろう。
そうなれば、仮にランカーでも、この選手に飲み込まれる選手は少なくないはずだ。

来年はきっと、この男が掻きまわしてくれるだろうと思っている。
 
 

三輪はなぜこの試合をやったのだろうか。
 

戦績はわずか1勝の勝ち越し、B級未勝利、ブランク明けの試合でKO負けし、この試合が再起戦。
現地で試合を見ている人間しか干場の強さを知らない。

干場のこれまでのキャリアハイの試合は干場vs三輪の1戦目だったと思っている。
三輪こそが、干場の強さを最も知る人間…この美味しくない相手となぜ。
一度負けた悔しさか、それとも強い相手と戦いたいという男としての欲求か。

延々とプレスをかけられ続け、疲弊した後半。
ガス欠、バテた…という表現より、削られたという表現が適切なようにも感じる。

仮に三輪でなければ、立っていられただろうか。
残り10秒の一撃を撃ち込めただろうか…最後のラッシュを仕掛けられただろうか。
 
 

男同士が、その拳をぶつけ合った試合。
己を出し切り合ったような試合。
この試合に至る背景も含め、この二人の戦いに、
「中日本に凄い奴らがいる」…なんて思いが沸きあがった。
 
 

 
 

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