2019/7/27 -後楽園ホールⅠ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/7/27 -後楽園ホールⅠ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【スーパーバンタム級4回戦】
土居 ユタカ(FLARE山上) vs 小林 昇磨(スターロード)

土居 ユタカ デビュー後
小林 昇磨 デビュー後

1R、ワンツーを撃ち込んでいく土居に対して、右をスウェーし、左フックを被せた小林。
いきなりの一撃がかなり効いた様子の土居、一気に襲い掛かっる小林の勢いに飲み込まれ
スリップで膝を着く場面が二度…ダメージが足に来ていることを感じさせる。

もみ合いになるような時間が少しあったが、
またも小林が左フックを撃ち込んで綺麗にダウンを奪うと、
レフリーはノーカウントで試合をストップ。
 

TKOタイムは 1R 53秒
 
 

小林は、一撃で勝負を決定づけ、そして必死に抵抗する相手を、最後は綺麗に仕留めた。
ダメージを与えた後、仕留め切るのは難しいこと。
わずか1分に満たない時間しか見れなかったが…。
その中でしっかり力を誇示したようにも思える。
 

実質ファーストコンタクトで決まってしまった試合。
この試合で土居の力を見ることはできなかったように感じる。
効かされながらも勝負にすがりつき、負けることに抵抗した53秒間。
悔しい思いがあるだろうが、取り返せる場所はリングの上しかない。
最近はほとんど見れなくなっている東京のリング…。
この選手の初勝利の報を名古屋で聞くのを楽しみにしていようと思う。
 
 

【53.0kg契約4回戦】
若木 忍(北海道畠山) vs 富岡 浩介(REBOOT)

若木 忍 6戦3勝(2KO)2敗1分
富岡 浩介 デビュー戦
 

昨年の東日本新人王と、アンダージュニア6冠の富岡。
期待の両選手、入場時点から大きな声援が飛ぶ。
デビュー戦の富岡だが、その身にまとわりつくようなオーラを感じてしまう。
強い選手が持つ独特の雰囲気…とも少し違う、「異」を放つような。

ゴングが鳴るといきなり飛び込んでいった若木。
まるでナジーム・ハメド(英)のような変則的な動きでそれを躱した富岡。
強烈に右フックを撃ち込む。

さらにサイドに位置を変えると、左ストレートをテンプルに撃ち込んでダウンを奪う。
立ち上がった若木は果敢に攻めて出るも、それを躱し続ける富岡。
飛び込んでくる若木に、富岡が右アッパーを撃ち込んで
若木が前に崩れそうになったところでレフリーがストップ。
 
 

デビュー戦で東日本新人王を圧倒…。
それも、異才過ぎるほどの異才を放って。
変則的な動きの中、ふわりふわりと揺れるトランクス。
変幻自在の動きで若木の猛烈なアタックを躱し続け、一発でダメージを刻み込む。

まだどこか幼く、中世の人形のようにも見える立ち姿。
パペットドールがリング上で踊り、そのグローブには魔力が込められたような一撃を撃ち込む。
こんなボクサー…見たことがない。

衝撃的だった。
新時代の名ボクサーの一歩目に立ち会った…大袈裟かもしれないが、そんな風に感じた。
 

ストップに不満を露にする若木…まだやれた。
傍目からもそう見えたが、ダウンを奪われた上で、
前のめりのグラつき方をしてしまった場面…ストップは仕方ないようにも思える。

この日、若木は引き立て役になってしまった。
ただし、富岡の衝撃がこれほどまでに大きかったのは、相手が若木だったからこそだと思う。
遠く離れた名古屋にいても、北海道の若木が強いことは知っている。

飛び抜けた相手はいつの時代にも存在し、リング上で若木はそんな選手に出会った。
これを若木がより分厚いボクサーズロードの一幕にできるかどうかは、今後次第だと感じる。
長いブランクもあり、若い選手ではないが…まだまだ先のある選手。
そして、現代の北海道の主役でもあると思っている。

三重も、静岡も、金沢も、富山も、岐阜も…その中心に立つ選手は何度も負けから立ち上がる。
都会でやれば背負わずに済んだものを背負い、おらが街のボクサーは何度も何度も立ち上がる。
ただただ、若木の復活に期待していたい。
 
 

■WBOアジア太平洋ミニマム級王座決定戦
【ミニマム級12回戦】
重岡 銀次朗(ワタナベ) vs クライデ・アザルコン(比)

WBOアジア太平洋ミニマム級3位/日本ミニマム級17位
重岡 銀次朗 3戦3勝(2KO) サウスポー

WBOアジア太平洋ミニマム級4位
クライデ・アザルコン 18戦15勝(5KO)2敗(1KO)1分
 

重岡の素早いジャブに、大きく左を被せようとするアザルコン。
威力充分に見える強振を、ジャブを撃ち終わったばかりの重岡が
しっかりと反応してバックステップで外す。

プレスをかけてロープに詰めると、ガードに撃ち込んだ左を出汁に右ボディを強烈に襲う。
さらに左ボディを突き刺した重岡…振りながら前に出て来たアザルコンだが
重岡はしっかり躱し、躱しきれないものは片手のガードで防ぎながらさらに左をボディへ…。
1分過ぎ、またも重岡が強烈に左ボディを突き刺すと…。
アザルコンはリングにうずくまる様にダウン。
悶絶し続けるアザルコンにテンカウントが数え上げられた。
 

日本人最速のタイトル奪取。
快心の圧勝劇でベルトを巻いた。
 

強い選手もより強い選手と戦えば「噛ませ犬」に見える。
ジュリアス・インドンゴ(ナミビア)vsテレンス・クロフォード(米)がいい例だ。

重岡の右に被せるアザルコンの左フックは驚異的だったが
それをしっかり外し続けた重岡…、そして何も出させないまま試合を終わらせた強烈なボディ。
たった1分で防御力も、攻撃力も、圧倒的な力を魅せつけたように感じる。

アジアには収まりきらない…それをはっきりと示した王座獲得劇。
その腰に、世界のベルトが巻かれる日も近いように思える。
小さな体は、ボクシングに置いて恵まれた才能の一つ。
ミニマム級の世界王座を獲る日本人選手はいても、留まり続けられる選手はなかなかいない。

選ばれしボクサーにだけ許された極限階級で、
この男が伝説級の輝きを放つことさえ想像できてしまう。

タイでWBC世界ミニマム級王座を11度防衛し、53勝無敗の戦歴を誇る
ワンヒン・ミナヨーティン(タイ)が、米国進出との報道も出ている。

軽量級の選手寿命は、平均的には重い階級に比べて長くない。
ミニマム級最高の実績を誇るワンヘンは既にベテランの域に差し掛かる。
倒せば世界に名の売れる相手…重岡が乗り遅れる前に、その舞台に足を踏み入れることを願っている。
 
 

 
 

 
 

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