世界の扉 クレイジー・キム(ヨネクラ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/31

世界の扉 クレイジー・キム(ヨネクラ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/31
 
 
 

さて、今日はクレイジー・キム(ヨネクラ)の4日目。
 

中量級ゆえに世界へのチャンスに恵まれなかったキム陣営が
ようやく念願の世界ランカーの招聘に成功したところまでですね。
 

相手はWBA世界スーパーウェルター級8位のハビエル・アルベルト・ママニ(亜)
シャープで鋭いコンビネーションを操るカウンター・パンチャー。

前半は体全体でママニを押し込み、ボディを狙うキムが試合を支配。
潮目が変わったのは5Rに強烈なママニの右がキムを捉えてから。
試合は手数の乱打戦へと雪崩れ込みます。

9Rが終わった時点でポイントリードしていたキム。
10Rさえ乗り切れば勝っていた試合。
キムの右の撃ち終わりにママニの左がズドン。

膝がガックリ折れるキムですが、ダウンには至らずそのまま撃ち合いを続行。
パンチの角度や膝の折れ方からは確実に効いたと思われる一撃。
気持ちで撃ち合いを続けるキムに無情なトドメが刺さります。

試合終了まで残り1秒。
ママニの右ストレートがキムを捉え…。
前のめりに崩れたキム。
立ち上がりかけたものの、再び崩れ落ちたキムに無情の10カウント。
 

控室でつぶやいた言葉。
「一秒かよ、俺、なにやってんだよ」

キムを見守っていたボクシングファンなら誰もが知る言葉…。
 

この敗戦で、ABCOの王座を獲得するなどして少しずつ上げた世界ランクをも失ってしまいます。
 

その後、クレイジー・キム…
再起戦をするかと思いきや…
その名のごとく、とってもクレイジーな挑戦をします。
 
 

3階級上のOPBF東洋太平洋ライトヘビー級王座への挑戦。
対するは王者のヒース・ステントン(豪)
体格で劣る相手を体で押し込み、ボディを連打。
際どいラウンドを拾い続け、3-0の判定勝ち。

スーパーウェルターのベルトを返上してまで、何でこんな無茶をしたのか…。
実はこのヒース・ステントンの前にOPBF東洋太平洋ライトヘビー級のベルトを巻いていたのが
ジムの先輩 西澤 ヨシノリ(ヨネクラ)
試合後に、「このベルトはヨネクラジムの物だから」と…
 
 

西澤はキムと同じように中量級で、なかなか世界へのチャンスに恵まれずにキャリアを消費していった先輩。
何とも言えないキムらしさを感じる言葉。
 

そこから階級を一つ落とし、ズルフィカル・ジョイ・アリ(フィジー)を迎えて、
今度はOPBF東洋太平洋スーパーミドル級暫定王座とABCOスーパーミドル級王座の決定戦を行います。

この試合は、キムの一つのパターンとなっている、プレッシャーで詰めてボディが効果的に作用。
そこに時折、起こしのアッパーを挟み…。
最後はボディで6RKO勝利。

日本人初のOPBF三階級制覇を達成します。
 
 

試合後はこの時、世界王者だったミドル級のアンソニー・ムンディン(豪)へ対戦をアピール。
 

この後、テストマッチを1試合挟んだところで、なんととんでもないチャンスが舞い込みます。
WBA世界王者ダニー・グリーン(豪)への挑戦者決定戦への出場オファー。

相手はダニエル・ロベット(豪)。
場所は豪州。
 

「オレはな、”思い出”の為に世界に挑戦するんじゃねぇの。必ず勝つんだよ!」
 

口も滑らかに試合に向けて準備を進めるキム…。

しかし…
 

ダニー・グリーン…突然の電撃引退。
挑戦者決定戦は消滅…。
 

よくあることです。
世界のチャンスが現れては消える…というか消える方が多いでしょう。
そんなもんです…でも、ここまで世界への扉が開けないと…ねぇ。

キムファンの落ち込み度と言ったらそりゃぁもう…。
 

しかし…捨てる神あれば拾う神あり。
かつて対戦をアピールしていたアンソニー・ムンディン、この時はベルトを手放していましたが、対戦が現実の物となります。

スーパーウェルターとスーパーミドルの2階級を制覇した元世界王者でWBA世界ミドル級2位。
この選手を倒せば、一気に世界への道が開けます。

この試合、豪州に乗り込んでの試合になるのですが…
結果は3Rにダウンを奪ったものの0-3の判定負け。
判定は(92-98、91-98、91-99)。

…??
ダウン奪ったのに99??
普通ダウンを奪ったら2点は引かれるはずなのに…明らかにおかしな99。

この試合、映像が無くて見れてないんですが…
もしかすると…そういうことなのかもしれません。
 

ただし、勝った者が強いのがボクシング。
3Rで倒しきれなかったキムの敗北は揺るがしようがなく…。

この試合で惜しまれながら引退してしまいます。
 
 
 

さて、クレイジー・キムと言えば、亀田 興毅(亀田)の試合で
客席から散々野次を飛ばして話題になったこともありました。
yahooニュースにもなったんで、クレイジー・キムがどれほどの人気ボクサーだったかは知らなくても、
このいざこざは知ってる人はいるんじゃないでしょうか?
 
 

まだ興毅が世界王座を獲る前のこと。
「こっちは10年もやってて、日本タイトル5年も防衛させられてよー。亀田なんて、ポッと出が!
 タイのカマセとばっかりやりやがって、世界って簡単に口にしやがる。ボクシング、ナメんじゃねぇぞ!」
 

このキムの経歴を見てみると、もう痛いほど…。
軽量級はアジアや国内にいっぱいランカーがいて、チャンスなんかもいっぱいあって…。
 

中量級は国内最強、アジア最強を証明しても次がない…、その先が途絶えている。
せっかく招いた世界ランカーに残り1秒で敗れ…
前世界王者からは敵地でダウンを奪うものの判定負け。
 

クレイジー・キムの世界挑戦を望んだファンがどれだけ多かったことか…。
後楽園で後輩を応援するキムを見て、キムを応援したいと思ったファンがどれだけいたことか…。
 

世界王者や世界ランカー、軽々しくボクサーを弱いと言うのはね、
こういう「届かなかったボクサー」を何人も見ると、
なかなか言えなくなってくるもんだと…思ってしまいます。

僕らファンはね、日本人世界ランカーの数の多さに簡単に世界ランクが手に入ってるように
錯覚してしまう瞬間もあるかもしれませんが…。

軽量級が日本人だらけだからといっても、当の本人たちに重要なのは、
ランクに日本人が何人いるかじゃなくて、自分が世界ランキングに入っているか。

1人の選手ごとに絞って見てみると、重量級と軽量級でチャンスの数の違いはあれど、
そんな簡単に世界ランク手に入れてる選手…いないですから。
 
 

クレイジー・キムを好きな人ってほんっっっとに好きなんで、
僕ごときが彼を好きって言うとちょっと違う気がしますが…世界に挑んでほしかったと常々思ってはいました。

なんだかなぁ…寂しいなぁ…。

そんな哀愁もまた…ボクシング。
 

というわけで…クレイジー・キムのピックアップはここまで。
 

ファッキュー!デラホーヤ!
 
 

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