2023/09/10 -静岡・ふじさんめっせ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2023/09/10 -静岡・ふじさんめっせ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【スーパーフェザー級8回戦】
湯川 成美(駿河男児) vs スラシット・シスワンチャイ(タイ)

湯川 成美 8戦7勝(6KO)1敗
スラシット・シスワンチャイ 6戦3勝(3KO)3敗


積極的なスラシットの攻撃をしっかりとガードしていく湯川。
相撃ち気味に左フックを貰う場面も。
じっくりと見た序盤を終えて、中盤、左ボディで間を置いてスラシットがダウン。
再開後も湯川は無理攻めせず。
慎重に守りながらも、強烈なボディを突き刺して痛めつけて行く。


2R、ボディを強烈に叩かれ、スラシットが一瞬動きを止めたところ、
右をアゴに撃ち抜いてダウンを奪取。
立ち上がったがレフリーは続行を許さずテンカウントを数え上げる。


KOタイムは2R 1分17秒。


積極的に仕掛けて来ていたスラシットだったが、
ボディを効かされて一気に消沈してしまった。
結果は湯川が圧倒的に勝利。

 

勝利者インタビューでは「ここからが試合」と宣言しての独壇場。
会場は大きな笑いに包まれた。

底抜けに明るい男。
前戦の手痛い敗北も「糧」と笑い飛ばした。


興行が終わり、外に出た後、以前ラジオで
紹介させてもらった村地 翼(駿河男児)にお礼を言えればと少しロビーに留まる。
日本王座挑戦を控得ている状態、激励の声がかけれればとも。

姿は見かけるものの、なかなか声をかけれるタイミングは得られず。
試合が終わったばかりの湯川がファン写真撮影やメディアの取材に応じている。
1時間以上も続いていたが、まったく疲れた顔もせず。


岩下 千紘(駿河男児)がいた。
ボクシング選手名鑑ラジオやTwitterで好き勝手に言って来た。
前戦のゴング後の加激について。

一言、「好き勝手言ってすみません」と声をかけたかった。
握手をしてもらい、自分が「せきちゃん」だと明かし、言いたかったことを伝えた。

「あぁ…Twitterの!知ってます」と。
こちらの好き勝手…には「いいえ、とんでもない」と短い返答。
自分でも言っていたが、本当に口下手な選手なんだと感じた。


ボクシングのルールに置いて、岩下は”悪い事をした人”だ。
岩下を応援することについて気分を害する人もいるだろう。
特に、千里馬神戸の応援をする人達にとっては面白くない感情を抱くのが自然だ。

僕自身も、徳山 洋輝(千里馬神戸)にはかなり世話になった。
中日本ボクシングの生配信を計画していくにあたって支えてくれた人物でもある。
彼は目の前で、岩下の反則打を見ていた。
自分の後輩が被害者となる光景を目の前で見せられ、激高していた。

岩下を応援したら、徳山くんに嫌われちゃうかもしれないな…なんて思いもよぎる。


あの日、対戦相手は、その試合に向けた何か月もの時間を台無しにされた。
それを支えていた人たちも、また同じく…。

脳は消耗品…人によってやれる数は異なるが、生涯でこなせる試合数には限りがある。
そのうちの1つをしっかりとダメージを受けた上で無駄にされた。

岩下自身も、何度も試合に向けた苦しい時期を過ごしたはず。
それが台無しにされる気持ちはきっと想像できるだろうと思う。
どう足掻いても、やってしまったことに対する事実は消せない。
何が贖罪になるかは誰もわからないと思う。


この日、岩下に頑張れと声をかけた人達は、他のボクシングファンや
世間の目なんてお構いなしに、岩下を応援した。
そんなものより岩下が大事なんだと思う。

今後も、岩下にあの試合は付きまとうはずだ。
ただ、周りの目を捨て置いてでも、岩下を応援する人たちがいることを
幸せだと思って欲しいし、そういった人たちに全力で答えて行って欲しい。


結局、村地に声をかけることは叶わず、
駿河男児ジムの前島会長と少しだけ会話の機会をいただいた後、
最後の最後に、湯川と写真を撮ってもらった。


飛び切りの笑顔で応じてくれた湯川。
彼もまた、毛色が違うとはいえ、過去に過ちを犯した選手。
彼を許せない人も多くいるだろう…それでも前を向いて、
自分を応援する人たちに全力で答えているように見えた。


全ての人に許してもらうことは不可能だ。
それは、自分が世の中のすべての問題を解決できないのと同じ。
人はみなやれることしかできない…。

だからこそ、やれる限りを精一杯こなしていくしかない。


過ちに対して、常に手を差し伸べて行く前島会長。
そして、許されぬ過ちを抱えながら、前を向く湯川。
彼らがいる駿河男児だからこそ、きっと岩下も大丈夫…。

そう思えた。


しばらくはまだ、後ろめたい気持ちを抱えながらになると思う。
それでも、僕は岩下を応援していく。

岩下との会話の最後に「応援します」と言葉を添えた。

 

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