2026/5/17 -三重・メッセウイングみえ- 第5試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【女子ミニマム級6回戦】
谷原 羽奈(市野) vs アダムス・ハナコ(ハッピーボックス)
長い距離に陣取るアダムス。
ジャブ、ワンツーを突き刺していく。
もらいながらでも強引に踏み込む谷原。
ロープに詰めてパワフルに振るっていくが、
アダムスの至近距離での回転もよく、激しい撃ち合いとなる。
ボディジャブを撃ちながら踏み込んでフックをぶつける谷原。
入り際を叩くアダムス。試合は大砲のぶつけ合いともなっていく。
アウトボクシングのアダムスだが、踏み込まれた場面では
グッと足を止めて回転よく撃ち合う。
この形なら追われる側になっても、押し込まれているようには見えづらい。
スリリングで激しいパンチの応酬が繰り広げられた試合。
強敵を前に、笑顔を見せながら殴り合う谷原。
最後は動きが落ちた谷原だったが、しっかりと出し切っての試合終了。
マイジャッジは57-57のドロー
公式ジャッジは58-56×2、57-57
2-0の判定で勝者は谷原。
スイングランドも多かった試合。
力強く攻め込んだ谷原が判定をものにした。
B級初戦からシビアな戦いを谷原が勝ち抜けた。
ランカー対決を制して、ランキング上位も期待できる。
難しい相手を迎えたからこそ、リターンも大きな試合。
アダムスの迎え撃つパンチは脅威とも思えた。
そこに踏み込んでいって勝利をもぎ取った。
まさに自らの拳でつかみに行った勝利。
何より、谷原にとってはその強さを証明したことが大きいと思えた。
勝利者で口にした「タイトルマッチ」のワード。
いよいよ現実味を帯びて来たように思う。
興行終了後、会場をあとにするアダムスにファンが声をかけていた。
この選手を、素晴らしい選手をしっかりと評価できる会場のファンたち。
聖地後楽園ホールにも負けないボクシングファンたちだと思えた。
中日本のボクシングが好きでよかった、誇らしく思えた。
谷原 羽奈 5戦4勝(1KO)1敗
アダムス・ハナコ 12戦3勝6敗3分
【スーパーフェザー級8回戦】
菅原 秀馬(市野) vs 干場 悟(蟹江)
しつこくしつこく接近戦をしかける干場。
自らのボクシングを貫いていく。
菅原は落ち着いてパンチをかわし、
至近距離でもポジションを変えながら痛烈にパンチを突き刺していく。
しつこくボディを叩きながら詰め続ける干場に
追いかけさせるように少し遠い距離を維持しながら
入り込もうとするところを狙う菅原。
3R終盤、菅原がコーナーに詰まったところで干場がパンチをまとめる。
ようやく干場が捕まえたかと思えた矢先、
菅原が左ストレートを突き刺すと一気にパンチをまとめていく。
何とか反撃を繰り出す干場だが、菅原のラッシュは止まらず。
たまらずレフリーが止めに入って試合終了。
TKOタイムは3R 2分58秒
そして、この日はコテンパンに負けた干場だが…干場の負け試合はこんな感じだ。
ハマらないときはハマらない。ただ、ハマったときの怖さは凄まじい。
「今日はハマった」と思えた時、万馬券を握りしてめているような気分になる。
どんな相手に対しても、干場がハマるかもしれない…という期待感は必ずある。
干場だからこその魅力を持つ選手。
この負けで価値を失うような選手じゃない。
切り替えて次に向かってほしい。
一撃効かせた場面で一気に試合を終わらせた菅原。
効かせた場面を逃がさない嗅覚…久々の試合だったがそのセンスは錆びていなかった。
三重でメインを務め、ランカー挑戦を繰り返した菅原。
恐らくランキングはとれる選手だと多くの人が思っていた中、
立て続いた敗戦にリングを去った。
「自分は戻ってくるようなボクサーじゃないと思っていた」
そう試合前に口にしていた菅原。
華々しく主役になりかけた男が、連敗からの引退という挫折を踏み、そして戻ってきた。
「カムバック」という言葉が似合う菅原の復帰リング。
ここから、新たな道のりが楽しみでならない。
菅原 秀馬 12戦8勝(5KO)4敗
干場 悟 19戦7勝(2KO)12敗
【フェザー級8回戦】
山辺 蓮(市野) vs 眞下 公翔(横浜光)
サウスポー対決。
頭一つ大きいのは眞下の方。
ジャブの刺し合いで立ち上がった試合、その次につなげるのは眞下。
山辺は不意にアッパーから入るなど巧みに対抗。
お互い力強いコンビネーションは何発も続く。
1Rから危険なパンチで捉え合うシーンも。
テンポよく拳を繰り出す眞下が先手で捉えていく。
山辺もコンパクトに襲っていくが、眞下の物量がペースを握っていく。
3Rに入るとどんどん前に出てくる眞下。
なんとかいなしながら…山辺が飲み込まれるかとも思える展開。
その中を山辺が痛烈な左ストレートで襲い、眞下の膝が落ちる。
いったんクリンチに逃れた眞下だったが、仕切りなおすとまた旺盛な手数で襲う。
お互い捉え合う中、山辺が左フックを撃ち込むと眞下がフリーズ。
ここを逃さず、山辺が一気にパンチをまとめると
レフリーが飛び込むと同時に眞下が尻もち。
眞下を抱え込んだレフリーはそのまま試合を終わらせた。
TKOタイムは3R 1分31秒
最近は相手を易々と完封して力を誇示するように見えていた山辺だが、
この日は追い込まれたように思えた場面もあった。
展開を逆転させる左ストレートを撃ち込むまで、眞下の強さにただただ驚かされた。
さらに、痛烈に効かされた後も、眞下は前に出て強打を振るい予断を許さない形だった。
試合ぶりも面白ければ、力も間違いなくある。
登れば登るほど「売れる選手」。
敗戦を乗り越えて大きな舞台に登ってくれることを願いたい。
テンポよく繰り出される眞下の終わりの見えない攻撃に、山辺が飲み込まれる姿も想像できた。
もらいながらも、しっかりと動いてダメージを軽減していた山辺は
狙いすました起死回生の一撃で展開を大逆転の形へと持ち込んだ。
KOシーンも、効かせた瞬間を逃さず。
攻め込まれる中でも落ち着いて相手の状況を見極めていたようにも思える。
ラッキーな逆転劇ではなく、山辺が戦局の中で創り上げた逆転劇。
正当な評価とは言えない日本15位のランキング。
応援する側にとっても、もどかしい時期が続いている。
ただただ、こうしていずれ来るチャンスを待ちながら
強敵を一人ひとり撃ち破っていくしかない。
市野ジムの多くの選手が勝利を飾ったこの日。
メインイベンターが堂々と主役を務めてみせた。
試合後の明るい空気もまた、山辺の勝利あってのもの。
デビュー戦から見てきた選手が、大きく大きく成長し、三重の中心にいる。
この物語を見てきてよかったと思えた。
そして、さらにここから描かれるだろう物語に胸が熱くなる思いだ。
山辺 蓮 15戦11勝(9KO)4敗
眞下 公翔 13戦10勝(7KO)3敗
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