2026/6/6 -愛知・愛知国際展示場- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
開催が危ぶまれた3150FIGHT.vol10も無事開催。
矢吹 正道(緑)の世界戦が守られた。
興行都合で試合が飛んだとして、次の試合が簡単に決まる保証もない世界。
メジャー4団体の中でも厳格で知られるIBF。
防衛戦不履行、指名試合不履行で容赦なくベルトを剥奪する。
ビッグマッチを望んでの交渉中に横やりが入り、
IBFの指名戦か、自身の臨むカードかの選択を迫られることもままある。
もし、試合が飛べば、この先の道のりにも暗雲が立ち込める…。
そんな状態だったように思う。
これまでの道のりの中でも、何度も試合キャンセルの憂き目にはあってきた。
そもそも強すぎるが故に試合がなかなか決まらず、
そのうえで試合が流れることもあり。
コロナ禍まっただ中での日本王座獲得。
簡単な道のりではなかった。
要所で敗戦を喫し、「矢吹は勝負所に弱い」と言われた時期もあった。
矢吹に勝利した選手はすべからく世界に届いている。
それだけシビアな対戦を踏んだ結果だった。
同門で仲の良かった木附 大己(緑)が初めて敗れた時に賭けた言葉
「泣くな、みんな負けたことあるんやから」
全戦全勝で歩んだ道ではかけられなかった言葉。
敗戦や挫折は矢吹に深みを増した。
ただの世界王者ではない、多くの人間の尊敬を集める正真正銘の世界王者。
強い選手は人間も優れているというのは嘘だ。
海外を見渡せば、強くても体重超過を繰り返したり、
薬物に染まったり、犯罪を犯したり…そんな選手もいる。
強くなることと、人間として優れることを両立させている。
木附が命を失った。
矢吹がまとうものにまた名前が一つ増えた。
荒川 高志(緑)、田中 蓮志(トコナメ)。
これまでに刻まれていた二つの名前。
いずれも中日本で活躍し、現役中に命を失った選手。
彼らの名前を刻み、彼らを愛した人たちの想いを世界戦のリングに持っていく。
全てを背負って入場曲「ヒーロー」が流れる花道を歩いていく姿。
その姿があるだけで、見てきた人は胸を震わせる。
少しでも長く、一度でも多くその姿を見たい。
安易な道は決して望まないだろうからこそ、いつまでも続くわけではない。
ここでいつもの前置き。
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
「愛工大名電で4番を打った男」の触れ込みでデビュー。
粗削りなボクシング、まさに相手を殴り倒すような剛腕。
危なっかしさも相まって、そのボクシングはとにかく面白かった。
そして、強かった。
ボクシングも猛スピードで洗練されていき、刈谷のメインイベンターも務めた。
A級まであと1勝、ランカークラスの実力はあった。
この角度で伸びていくなら、日本王座も期待できる…そう思わせてくれる選手だった。
いつも遠巻きにはにかんだ笑顔を見せてくれた。
明るさはあっても、ゴリゴリと絡んでくるようなタイプではない。
距離感に気遣いも感じた。
好漢だった。
きっとこの会場のどこかにいる。
そんな風に思えた。
矢吹が世界戦のリングに立つ…その場所に居ないはずがない。
木附が見守るリングに、ゴングが鳴る。
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