2019/03/16 -岐阜・岐阜メモリアルセンターで愛ドーム- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/03/16 -岐阜・岐阜メモリアルセンターで愛ドーム- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

 

■WBCフライ級ユースタイトルマッチ
【フライ級10回戦】
畑中 建人(畑中) vs ペットソンセーン・ロンリアンギラーコラート(タイ)

WBCフライ級ユース王者/日本フライ級6位
畑中 建人 8戦8勝(8KO)

ペットソンセーン・ロンリアンギラーコラート 7戦6勝(1KO)1敗
 

ペットソンセーンは日本での公式ではソンセン・ポーヤム名義の記載。本名にあたる。

1R、お互いに足を止めてジャブを刺し合っていく二人。
上は固く、ラウンド中盤には右ボディストレートの撃ち合いになる。
終盤、畑中がペットソンセーンの入り際に強烈に右フックを突き刺してこのラウンドが終了。
 

2R、ペットソンセーンが詰めて出る。
手数の少ない畑中に対し、一発当たれば続けざまに
力を込めて腹から上に強打を振るうペットソンセーン。
しかし、ラウンド終盤、ペットソンセーンの左右フックの合間に、
畑中の右フックがカウンターで突き刺さる。
前のめりに崩れかけたペットソンセーンに襲い掛かった畑中だったが、ラウンド終了のゴング。
 

3R、思い切り振るうペットソンセーン。
スリリングなパンチが強烈に畑中の顔面を捉えるシーンも…。
激しく撃ち合い始めた二人。
ペットソンセーンがしっかりとボディを撃っていくのが印象的。
 

4R、ペットソンセーンがボディへの左右フックから顔面への左右フックを撃ち込んでいく。
このパンチを畑中がもらうシーンが目立つ。
ラウンド終盤、畑中がクリンチを強引に振りほどいての右フックがペットソンセーンを捉える。
 

この時点で中間採点が発表される。
39-37、40-36、40-36

いずれも畑中支持。
 

マイジャッジは38-38。
ポイント差以上に拮抗し、畑中に危ないシーンも産まれているように見える。
 
 

5R、攻勢を強めた畑中。
スリリングな撃ち合いになる中、畑中はもらいながらも細かい連打で捉えていく。
効かされて下がるのはペットソンセーンの方。
 

6R、頭を着けた状態で、強烈にボディを襲っていく畑中。
ペットソンセーンは徐々に動きが落ち始める。
手数の減ったペットソンセーンに一気に攻めていく畑中だが
時折返されるペットソンセーンのフックはいまだスリリングに畑中を捉える。
 

7R、インターバル中の指示か、畑中のパンチが細かく細かくショートでペットソンセーンを捉える。
ペットソンセーンは全く手数が出なくなり、防御に専念するも防ぎきれず…。
中盤以降には畑中の強烈な右ストレートが強烈にペットソンセーンを襲い続ける…。
 

8R、全く手を出せないペットソンセーン、連打にさらされながらダウンを拒否し続けるも…。
左ボディからのワンツーでついにリングに沈み込む。
打たれ続けたペットソンセーンを抱きかかえるようにして、レフリーは試合を即ストップ。
 

コーナーに座るところまでは行けたソンセーンだったが、演出の紙吹雪が舞う中、しばらく動けない状況。
精魂尽き果てるまで、勝利にすがったタイの勇者を見たように思う。

頑張りすぎたペットソンセーンの戦いぶりもあって、
はっきりとしたストップのタイミングがない状況ではあったが…、
もう少し早く止まって欲しかった試合にも感じた。

ただただ、ペットソンセーンは素晴らしいボクサーだった。
 
 

序盤、畑中がポイントを獲ってはいたが、被弾が目立ち、前半は拮抗した展開となった。
そんな中、5Rに本格的に撃ち合いはじめ、しっかりと撃ち勝ち、ボディから失速を誘い…
最後にはしっかりと倒し切った。

試合後半の出来は見事だった。
デビュー戦から2年半ほど…また、畑中が逞しくなった姿を見せた。
 
 

■WBO世界フライ級タイトルマッチ
【フライ級12回戦】
田中 恒成(畑中) vs 田口 良一(ワタナベ)
 

1R、田口を中心にサークリングしながら撃っていく田中。
お互いに探り合う中、ハイスピードのジャブを突き合っていく。
ラウンド中盤に入ると、グッと距離が縮まり、鋭利なパンチの交換が始まる。
ラウンド終盤は田口が前進しながら、的確なパンチで田中を襲っていく。

スロースターターの田口が田中に撃ち合いを優勢に進める立ち上がり。
 

2R、序盤から詰めてコンビネーションを撃ち込む田口。
ガードで防ぎきれず、いくつか被弾しながら、田中は合間に左のショートフックを撃ち込んで田口を止める。
一旦距離が離れると、田中が先手を奪いながら、撃ち込まれればのカウンターが冴える。
密着すれば田口がショートのコンビネーションで田中を襲うが、
打ち終わりを田中が強烈な左フックのカウンターで捉える。

どちらの手にもまだ主導権は渡らず。
 

3R開始直後、田口の左フックで田中の腰が落ちる。
ここを境に二人の世界の頂点が、熱のこもった攻防を繰り広げる。

ビッグチャンスに一気に攻めていく田口、下がりながらガードを固める田中。
ひとしきりの防ぎきると、左フックをひっかけて反撃。
しかし田口も強烈な左ボディを突き刺す。
さらにガードの横からねじ込むような右フック、
みぞおちへのボディーアッパーなど強烈なパンチをヒットさせる。

田口の流れか…と思ったところで、田口の右フックに合わせた田中の右アッパーが痛烈にヒット。
さらに追撃の左ボディ…。
ここから田中がさらに左右フックでボディを叩き、
三つ目を頭にもっていったところで今度は田口が強烈に田中の腹を叩く…。

ラウンド終盤は田中のボディに合わせて田口が左フックで強烈に田中のアゴをえぐる場面が何度も…。
戦前に予想された通りの熱い試合になっていく。
 

4R、前進し始める田中…下がりながらの攻防になる田口。
お互いフックで捉える場面を作りながら、盛り込まれる田中のアッパーや強烈な左ボディが目を引く。
ラウンド終盤に向かうにつれ、田中のボディの頻度が増えていく中、
左フックから右アッパー、さらに右フックから右アッパーをヒットさせる田口だったが、
田口の攻勢の都度、田中は強烈なボディでその勢いを止める。

田中が主導権をつかみ始めたか…ここまでのマイジャッジは39-37で田口。
 

5R、リング中央で強烈なパンチを撃ち込み合う攻防…
しかし、田中が強烈なパンチをボディに持っていくごとに田口が体を預ける形に。
ボディが相当効いているのか…。

細かく小さく数多く撃ち込んでいく田口…。
その打ち終わりにしなるムチのようにズバーンと撃ち込んでいく田中。
終盤、近い距離で田中がサイドに動き始めると、左フックが強烈に田口を捉える場面が増える。
 

6R、お互いにパンチを外し合うラウンド前半だったが、田中の右ストレートが強烈にヒット。
中盤には左フックからの右ストレートをヒット。
頭を着けての展開になると、田中が左ボディを強烈に撃ち込む。
田口が右ストレートから左フックで田中の顔面を捉えると、田中は左右フックで捉え返す。

インファイトでは本職の田口が回転で上回るものの、その隙間を田中がカウンターで強烈に捉えて止める。
ラウンド終了直前には、田中が執拗に田口のボディを襲う。
 

7R、田口に消耗が見え始め、田中の一方的なラウンドに…。
ラウンド前半は長い距離からのストレートで捉え、ラウンド後半にはボディも交えて田口を捉えていく。
田口は手が出ず…このまま田中が押し潰してしまうのではないかと思えるほど苦しそう。
 

8R、田中が近い距離をサイドに動きながら田口を捉えていく。
ここも一方的なラウンド…このままいくかと思いきや、足を止めてのファイトになった終盤。
田口がショートのコンビネーションで細かく的確に田中の顔面を捉えていく。
ここに来て盛り返すか…世界王座を7度も防衛した選手、簡単に勝敗は決しない。
 

ここまでマイジャッジとしては五分。
流れは田中が握ったようにも思える…。
試合は後半4Rに入っていく。
 

9R、田口が前に出る。
頭を着けて撃ち合えば、強弱のついた回転のいい田口のパンチが強烈に田中を捉える。
しかし、田中が細かく足を使い始めると、田中の鋭利なパンチが上下に田口を襲う。
明らかに消耗し、ダメージを溜め込んでいる田口だが…密着すればファイターとしての自分の土俵。
的確なパンチで田中を襲っていく…どれだけ田中に鋭利にえぐられても…。
 

10R序盤、前に出て来る田口に対し、多彩な左で何度も捉える田中。
田口は止まらず…しかし、田口の攻撃は田中に丁寧に外される。
ラウンド中盤からは、インファイトで田中が押し勝ち始める。
強烈なボディを織り交ぜながら、ラウンドが進むごとに田中が撃ち勝つ場面が目立ち始めるが、
田口も合間に強烈なカウンターで田中の顔面を襲う。
 

11R、開始直後の撃ち合いで、息を吹き返したように細かく的確に田中の顔面を捉え始めた田口。
残り6分…もうひと山来るか…。
しかし、田中はまたも左ボディをきっかけに田口の勢いを止め、ファイトに撃ち勝って行く。
終盤は田口のパンチを外しながら、田中が一方的にパンチを突き刺していく。
 

12R、最後の3分間、倒しに出た田中は猛烈に田口の顔面を弾き上げていく。
撃ち合いになる両者…猛烈に撃たれながら田口が右をヒットさせる。
まだ…試合は終わっていない。
両者とも、最後の最後まで撃ち合い、試合終了のゴングが鳴る。
 
 

マイジャッジ 116-112 田中

公式ジャッジは119-109、117-111、117-111の3-0で田中。
 
 

「大差判定勝ち」
そんな言葉で表現するのが野暮に思えるほど、中身の濃かった試合。
拮抗した前半から、中盤に左ボディをきっかけに田中が主導権を握り、
田口が巻き返そうとするたびに、田中の左ボディがそれを阻止し続けた…。
 

左ボディは、前戦の木村 翔(青木)戦で田中が幾度も浴びたパンチだ。
元々は木村との対戦より前にセッティングされていた田口戦。
もし、その時に二人の拳が交わっていたとしたら…
木村との戦いを経ずに田口と戦っていたら…この結果があっただろうか。

あくまでタラレバの推測…。
しかし、世界最高峰の戦いによる経験を経た田中だったからこそ、この結果があったように感じてしまう。
 

消耗し、疲弊した田口だったが、そんな状態から何度も巻き返しかけた。
ベルトをまとめた男…世界王座を7度防衛した男…。
その偉大さをこれでもかと見せつけられたように感じた。

花道を退場する田口に声を送ろうと思ったが…。
あまりにも悔しそうな姿に、言葉を飲み込む。
真剣勝負に敗れ去った男そのもの…その姿もまた偉大だった。

立ち上がり、ただ拍手を送るのみ…
 
 

二戦続けて、誰もが認める男に打ち勝った我らが田中 恒成。
この男は、勝つたびに敗者を主役にしていく。
そして、最高の男に勝ったチャンピオンとして、その存在感を大きくしていく。
 

“中京の怪物”と言われた男。
もう…既に中京の枠は超えている。

三階級制覇王者であり、伝統のフライ級に君臨する、若き王者。
どこか幼さを感じていた可愛い田中 恒成はもういない。

木村戦、田口戦を越えてリングに立つ姿は…
リングの王に相応しい空気をまとう。
 
 
 

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