2018/11/23 -立山町民会館- 第3試合、第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/11/23 -立山町民会館- 第3試合、第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

【スーパーバンタム級4回戦】
福井 瑛紀(北海道畠山) vs 竹田 梓(高崎)

福井 瑛紀 1戦1敗
竹田 梓 1戦1勝(1KO) 

1R、福井のジャブをガードで受け止めた竹田。
スピードに乗った重みのありそうな福井のジャブだが、竹田は威力を確認するよう…落ち着き払っている。

これまでの試合とはワンランク上がったような試合。
スビードに溢れた両者の攻防だが…福井の攻撃は竹田の素早いダッキングと固いガードに遮断される。
目もよく、もらう場面でもしっかり反応していて真は食っていない。

反して竹田のフックはスピードに乗って鋭利に福井を襲う。
ダッキングから流れるように撃ち出される左フックで何度も福井の顔面がえぐられる。
危ない角度のパンチに何度も襲われながら、福井もその手を止めることはない。

下がりながら応戦する福井、ジワジワとプレスをかけて福井のスペースを削っていく竹田。
試合終了は突然…福井の撃ち出しに合わせたカウンターで竹田の左フックが炸裂。
後ろ倒しに倒れた福井に対し、レフリーは試合を即ストップ。

TKOタイムは1R 2分35秒。

スピードもあった、形も綺麗だった。
しっかり足を使ってボクシングをしていた福井。
決して弱い選手には見えなかったが…ほぼほぼ完封されての1RTKO負け。
竹田が…強過ぎる。

この選手、来年の新人王戦では飛び抜けた選手が出てきたり、
怪我などの不運がない限り、全日本新人王を獲る力を持っていると感じる。

東日本とは言え群馬のジム…名門ジムとは違う…地方ジムに属する場所だが…。
登って行く選手が4回戦で放つ、「モノが違う」感をまき散らした。
来年、群馬から期待の日本ランカーが産まれるかもしれない。
その力は持っているハズだ。

【スーパーウェルター級4回戦】
坂本 慎介(タキザワ) vs 北川 仁暉(唯心)

坂本 慎介 3戦3敗
北川 仁暉 3戦2敗1分 

この試合から4階級上げて試合に挑んだ北川。
アウトボクシングをしながら、インファイトになると効かされて流れを持っていかれる試合が多かった。
大幅階級増を成功させる選手には、撃たれ弱さを一気に解消してタフガイになる選手も多い。
果たして北川は…。 

1R、ゴングとともに前に出る北川。両者ベタ足でのファイトとなる。
坂本の周りをまわる北川だが、フットワークは封印されているようで、しっかりとリングを踏みしめている。
距離は近いが、お互いに慎重な攻防。
わずかに坂本の方がヒットが多いか…しかし、北川の左フックも強烈。
ラウンド終了直前、北川の左ボディが強烈に坂本を捉える。 

2R、後半に進むにつれ、北川の強烈なボディの頻度が増える。
表に出さないようにする坂本だが…明らかに効いている。
終盤には手が出なくなってきた坂本の顔面にアッパーを突き刺す。 

3R、前半に突き刺した北川の左ボディで効いた素振りを露わにしてしまった坂本。
ここを見逃さず、北川がボディを連打すると、クリンチに逃れようとしながら、そのまま膝を着く坂本。
ダウンを宣告したレフリーがカウントを数え上げる。

なんとか立ち上がった坂本だったが、上半身をかがめたまま起こすことができず…。
ファイティングポーズを取れぬままテンカウントを数えられた。

僕は北川をアウトボクサーと見ていた。
丁寧に足を運び、丁寧にストレート系のパンチを繰り出していく。
そんな北川を魅力的に感じていたが…KOを産み出せない選手だとも思っていた。
ポイントアウト以外に勝ち目のない選手…。

しかし、この試合で北川は大変身。
しっかりと撃ち合い、強烈なボディで初勝利を挙げた。

賭けだったと思う。
一旦上の階級で体を作ってしまった後、階級を下げ戻した時に輝きを失う選手は大勢いる。
今回は4階級もの階級増。
3戦未勝利の北川が生き残りをかけての挑戦だった。 

坂本は…これで4戦全敗。
決して才能のない選手ではないと思う。
カウンターセンスはある…。

ボディで倒される、立ち上がりながらファイティングポーズが取れなかった負け姿。
そして相手は、直前まで4階級下で戦っていた選手。
屈辱的な形にも見えた…ここがキャリアの谷ではないだろうか。

谷から這い上がる姿は…きっと魅力的だ。 

大変身を遂げた北川…大変身する可能性を存分に秘めた坂本。
その差は、たった一歩先に進んだかどうか。

「世界を獲れるボクサーと獲れないボクサーの差はたったこれだけ、
 ほんのちょっとだけなの」

エディ・タウンゼントの言葉が脳内にリフレインする。

その勝負を決するものは、ほんのちょっとだけ。
そしてその「ほんのちょっと」がリングの上に転がっていることはそれほど多くない。
リングに上がる前にこそ、そのほんのちょっとが多く転がっている。 

坂本がリングで勝ちを重ねていく姿…
それが次からになるのか、もっと先になるのか…
それを信じていたい思いが、強くある。

ここで、セミファイナル前に公開スパーが行われる。

松岡 蓮(浜松堀内)丸木 凌介(天熊丸木)の公開スパー。
2018年度中日本ライト級新人王の松岡、エントリー1名での獲得となっており、
公開スパーとは言え、その戦いぶりを初めて見ることとなった。

相手は今年二戦連続で日本タイトルに挑み、いずれも紙一重の試合を見せた凌介。
格上、階級上の相手にどう戦うか…

ジャブで翻弄し、強烈に右ストレートを突き刺した丸木。
松岡はヘッドギアの上からフリーズさせられる。
しかし…その次の場面では踏み込んだ丸木の顎を松岡がエグってみせる。

終わってみれば力の差は歴然…しかし、松岡もしっかりと見せ場を作って見せた。
見応えたっぷりの公開スパーを見れた。

松岡はまた、新人王にエントリーするそう。
今より力を伸ばして、全国の強豪たちに挑んで行って欲しい。 

続いて前岡 デニスロベルト(西遠)丸木 和也(天熊丸木)
クルーザーからヘビーの重量級でプロテストに挑む予定の元アマチュア日本王者、前岡。
アマチュア時代にはスーパーライト級で戦っており、フレーム的には同等…。
元日本ランカーの和也に対し、やはり力の差は感じるが…柔らかさとテクニックを魅せつける。

人材不足の重量級に新たな選手が登場する予定であることにワクワクさせてもらった。
和也はミドル級で戦っていく意向とのこと。
これまで遠回りや挫折を何度も味わった和也が新たな挑戦をしていく。
この選手もまた、濃厚なドラマを携える選手…これからの道のりに、また期待してしまう。 

その後、5度目の世界挑戦でベルトを手にしたIBF女子世界アトム級王者の花形 冴美(花形)のインタビュー。
父方の実家が富山と言うことでゲストとして登場した。

肩から下げた世界のベルトが眩しい。
リングに立つ背中は戦って来た者の風格。
女子の世界戦…実はまだ見たことがないが…そこにもやはり繰り返されるドラマがあるのだろう。

全国的に女子ボクサーの数はまだまだ少ない。
中日本のリングでも一年で数試合しか女子の試合が見れないのが現状。
また、近藤 佐知子(駿河)神成 麻美(カシミ)の試合が見たい。

女子ボクシングってカッコいんだよな…。

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