2018/11/12 -後楽園ホールⅠ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/11/12 -後楽園ホールⅠ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

目が覚める…。
体の節々に痛みを感じながら夜行バスを降りると、そこは雨の新宿。
ボーっとする頭と重たい体を引き摺って、トイレで歯を磨く。
髭剃りを忘れた…疲れもあってひどい顔だ。

平日朝の電車に乗り込んで新宿から小岩へ…。
ピークは過ぎているだろうが、やはり人は多い。

約束の11:00まで喫茶店で、前日の大阪天神興行の記事をまとめる。

約束の時間にセブに精通するファンと久々に顔を合わせる。
最近は東京に来ると毎回のようにこの人に会う。
自分の父と同い年、古いボクシングの話とセブのボクシング情報はこの人から仕入れている。
 

前日の大阪天神興行のジャッジにセブのヒーロー、マルコム・ツニャカオ(真正)がいたことを話す。
ゼネシス・カシミ・セルバニア(カシミ)をデビュー戦から見ていたマニア。
セブのボクサーの話になると、まるで子供のように目を輝かせる。
筋モノのような強面が、一瞬で少年に返る…時折、この顔が見たくて仕方なくなる。
 

14:30頃、小岩を離れて中野へ。
中野ブロードウェイ3Fのgo-rockへ向かい、「ボクシングフリーペーパー WIN」を補充。
この日、中日本から後楽園ホールに向かっていたファン3人が偶然にここで遭遇。

まさかの展開に、記念の写真を撮ってもらって、go-rockをあとにする。
 

開場1時間前の16:30。

後楽園ホールに到着する。
今回の興行は「東京ファイトクラブ」。
前回、後楽園ホールが超満員となった興行だ。

さらに、亀田 和毅(協栄)vsアビガイル・メディナ(スペイン)
WBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦がメイン。

自由席での観戦は場所を失う可能性があるため、並んで待とうと計画していた…が、想像以上。
既に入場待ちの列は4Fのフロアまで続いている。
最終的にこの列は1Fまで達したようだ。

開場とともにダッシュで東側バルコニーへ。
この日は撮影カメラなどで、バルコニーの観戦スペースが制限されている。
いつもの半分以下となったスペースへ駆け込み、無事に観戦場所を確保する。

試合前の緊張感と浮遊感に身を任せていると、あっという間に試合開始の時間を迎える。
世界戦となると普段の興行と客層が変わる。
さらにamebaTVで認知を得ている「東京ファイトクラブ」の場合も別の客層となる。
前座の選手が目当ての「常連」もこの日は多かった。

三つの客層が混ざるような雰囲気でこの日の興行がスタートする。
 

■バンタム級4回戦
菅原 健二(極東)vs山崎 亮太(ハッピーBOX)

菅原 健二 デビュー戦
山崎 亮太 デビュー戦

試合開始直後、菅原の右フックが突き刺さり、腰を落とす山崎。
いきなりのビッグチャンスだったが、ここを仕留め切れず山崎が立て直す。
先に手を出す山崎に対し、クロスを合わせる菅原。
何度も顔面を襲われる山崎だが、怯まずにしっかり手を出していく山崎。

下がりながらカウンターを合わせる菅原だが、時折、鋭利にボディをえぐりながら
前に出続ける山崎がヒットを重ねていく。

最終ラウンド、前に出て撃ち合いになる二人だったが、ラウンド中盤には下がり始める菅原。
圧力を増した山崎が、何度も何度も菅原のテンプルを襲い、最後はレフリーが試合をストップ。

4R 1分24秒でTKO勝利。
 

前に出る山崎を獲るか、下がりながらも撃ち出しに合わせてヒットを奪う菅原を獲るか…
途中まで採点が分かれそうな接戦だったようにも思える。
最終ラウンド、菅原が4回戦らしく撃ち合いに出たことで展開が変わったように見えた。

勝負の白黒が入れ替わる可能性のあったタイミングは何度もあり、勝負のあやが絡み合った12分。
タイプの違う二人が、運命を争うように戦った。

勝者と敗者の差はほんのちょっと…ボクシングはいつもそうだったりする。
そしてその差を埋めるために、ボクサーは膨大な時間を注いでいく。
また見たいボクサー二人。

来年の新人王にエントリーがあれば、きっとその名前を気にしてしまうだろうと思う。
特に…34歳でデビュー戦のリングに上がった菅原。
2戦目はどんなふうに変わっているだろう…

中日本の選手と違い、継続して見ていけないことに、なんとも悔しい思いがした。
 
 

■スーパーフライ級級4回戦
綾部 圭人(T&T) vs 榊原 祐弥(横浜光)

綾部 圭人 デビュー戦
榊原 祐弥 デビュー戦 サウスポー

フレームの大きなサウスポーの榊原に対し、右から入る綾部。
榊原は距離が近くなるとクリンチで絡め取り、そこから強引に拳をねじり込む。

試合が進むにつれ、綾部の右が榊原を捉える頻度が増えていく。

試合後半、綾部の出入りに少し強引さが出てくると、
榊原が入り際を捉えるシーンも目立ち始める。
しかし、ボディが効いてきたか、クリンチの頻度が増えてきた榊原。
体裁かまわず、勝ちたい思いが滲み出るようなシルエット。

4R、攻勢を強めた綾部…必死に抵抗する榊原だったが、綾部の強烈な右フックが直撃する。
力尽きるようにリングに倒れ込んだ榊原。
体を起こせずにもがく姿に、レフリーが試合をストップ。

4R 2分43秒TKO
 

頭一つ差が出そうなフレーム差、サウスポー。
そして必死にしがみついてでも勝ちに来た榊原は、きっと誰がやってもやりにくい相手だったはず。
試合の中で右を当てるタイミングをしっかりつかんで勝ち切った綾部。
これからどんどん強くなっていきそうな姿に胸が高鳴る。

榊原は元々はバルコニーで観戦していたファンだったそうだ。
観戦仲間たちの熱い応援が目に入る。
負けてしまったけれど、リングに立って夢を見せること自体が偉大なこと。

大きなフレームは裏を返せば減量との戦いの証。
最後まで勝利を届けようと、泥臭く必死に抵抗した姿に感動した。
また、頑張って欲しい。
負けから立ち上がる姿も、プロボクサーが輝いて見えるシーンだったりするのだから。
 
 

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