2018/5/20 -ふじさんめっせ-ファイナル、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーフェザー級8回戦】
市川 大樹(駿河男児) vs アグス・クスティワン(インドネシア)
・市川 大樹(駿河男児) 14戦10勝(8KO)4敗 日本ライト級16位
・アグス・クスティワン 27戦18勝(8KO)7敗2分 インドネシアスーパーフェザー級6位
1R、開始とともに圧力をかけていった市川、まずは強烈な右ボディを突き刺す。
さらにまたジワジワと追い詰めていき、左のオーバーハンドをヒットさせるが、
クスティワンはひたすらにクリンチに逃れて、市川の攻撃は単発のみに終わる。
距離が縮まればひたすらにクリンチの連続…。
何度も振りほどくレフリーも苛立ちを露わにして、
ラウンド終盤にクスティワンに減点1を宣告。
2R、ガードの上からでもガンガンと叩いていく市川だが、
減点の影響か近い距離でクリンチがし辛くなったクスティワンの強引に振り回すフックを浴びてしまう。
大きいが威力はありそうなそのパンチは冷やりとさせる。
コーナーに追い込んでクスティワンを攻めた市川、
強引に拳を叩き付けるがクスティワンはしっかりガードする。
市川はそこで空いたボディを突き刺してダメージを与える。
3R序盤、振って出たクスティワンだが、市川に右を撃ち降ろされる。
さらに、次の攻防で強烈にボディをえぐられると、たまらずまたクリンチを繰り返す。
その後、右フックをボディに叩き付けた市川だが、
これに合わせてアグスティンは左フックを市川の顔面に着弾させる。
一瞬、危ないと感じた次の接触で、市川がアグスティンに右ボディをめり込ませる。
これで吹っ飛ぶようにダウンしたアグスティン。
なんとか立ち上がったが、ファイティングポーズを取ることはなくテンカウント。
KOタイムは3R 2分39秒。
クスティワンがクリンチを繰り返した1R。
実力は見えないが、どうにか勝ちを拾おうとする思いは読み取れた。
相手を実力上と見て、まともには勝負しなかったクスティワン。
これはこれで、本気と本気のぶつかり合い。
早々に諦めてしまう選手より何倍もいい。
まともに対峙すればガードも固く、パンチの力はあったが、
手数が少なく怖さを発揮できずに攻められてしまった。
ただ、崩しにくい相手だったと感じる。
ボディから10分かけずに崩し切った市川を褒めたい。
内容がしっかりあった試合。
今後、ランカーとしてどういった道を歩いていくのか、興味深く感じる。
このクラスには現在、国内戦線にも強豪が揃っている。
生半可には勝ち抜いていけない充実のスーパーフェザー級。
勝負をかける時期がいつやってくるか…楽しみに待ちたいと思う。
【スーパーフライ級8回戦】
畑中 建人(畑中) vs ピチェート・チアナーワー(タイ)
・畑中 建人 5戦5勝(5KO) 日本フライ級10位
・ピチェート・チアナーワー 18戦9勝(4KO)9敗 タイ国スーパーフライ級8位
1R、オープニングヒットは畑中の右ボディ。
合わせるように右を返していったチアナーワー、これは浅くヒット。
右ボディストレートを多用していく畑中。
下を強烈に叩きながら上にも叩いていった畑中だったが、
ラウンド終盤にはチアナーワーがジャブをもらい始める。
このラウンド、有効打によりチアナーワーがカット。
2R、クリンチ際で振り回して畑中を投げてしまうチアナーワー。
複数回繰り返して注意を受けるが…体の強さを感じる。
変則的なフェイントからジャブを多くヒットさせるチアナーワー。
ラウンド終盤、畑中は強引に攻めていくがチアナーワーの左右フックをもらう場面も。
3R、開始してすぐにレフリーが一旦試合をストップ。
チアナーワーのカットに対してドクターチェックが行われる。
ドクターは通訳を呼び寄せて、チアナーワーに何かを確認。
続行不能として試合をストップ。
TKOタイムは3R 40秒。
このタイ人、舐めてかかれない…そんな空気の中、ここからというタイミングでのストップ。
本人も観客も不完全燃焼間の残る状況だったが、これは仕方ない形。
前戦に続いて、畑中はカットによるTKO勝ちとなった。
勝利者インタビューでも不完全燃焼感を隠そうとしなかった畑中。
次こそはの思いも強いように感じる。
前戦からの試合間隔はわずか1カ月半。
今回の試合ではダメージと言うダメージはなかっただけに、
もしかするとまた、近い間隔で試合があるかもしれない。
2016年以降に現れたホープとしては出世頭の位置に来ている。
ただし、上のレベルで勝負するには、もう少しだけ経験も欲しいところだろうと思う。
元世界級王者畑中 清詞(松田)の息子として認知を得ている選手ではあるが、
追い込まれた時の獰猛さ、日本人離れした伸びる左…。
決して親の七光りではない輝きを放っているだけに、満を持しての勝負を期待したい。
セミファイナルとファイナルの間に、カラオケ大会優勝者や、モノマネ歌手の歌。
さらには後援者の挨拶などもあり、終了時間は18:10。
長い興行となったし、頻繁に観戦している身とすればサクサク感が欲しいところだったが…
静岡の地元ファンにとっては年に一度の地元興行。
きっと感覚は違うだろうと思う。
最後まで残ったファンの数からみても、終了後に出入口付近で言葉を交わすファンの姿を見ても
まだまだ名残惜しい空気さえ感じた…。
地方でも名古屋という恵まれた地域に暮らす自分。
当然、見に行く興行数はさらに地方のファンと比較すれば多くなっていくと思う。
聖地後楽園ホールに近いファンはもっともっと観戦しているだろう。
ただ、この日のファンの「待ちに待った」感は、
観戦数など屁にもならないことを痛感させてくれた。
第一試合の4回戦から大歓声。
そして最後まで多くのファンが楽しんでいた。
知識や観戦数や払った金や知り合いのボクサーや関係者を持ち出して、
マニア度比べをするようなファンもいるが…
僕は最も優れたファンとは、最も楽しんでいるファンだと感じている。
この日、待ちに待った地元のボクシングに歓声を上げる良質のファン達に
襟もとを正されるような思いだった。
色々な試みが詰まった駿河男児興行。
三重の市野ジム興行と同じく、一見の価値あり。
“年に一度”にパワーを集約したような熱量…これこそ地方興行!
来年も楽しみにしたい。
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