ブルドーザーはどこへ消えた!?(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/29
最近、薬師寺ジムから超絶期待値の高い選手が出てきている。
全日本新人王で…将来は世界さえ期待できる中谷 潤人(M.T)と接戦を演じた矢吹 正道(薬師寺)。
U-15王者の森 武蔵(薬師寺)。
彼らは彼らで今後に期待できる選手なんだけど…。
薬師寺ジムと言えば…僕はブルドーザー 大島 卓己(薬師寺)。
彼のような選手は生観戦ファンに4回戦の魅力をたたきつけるような存在だと思ってしまう。
彼の試合…TV中継されたことはあるのだろうか。
まだ、駆け出しの4回戦。
そしてアマ実績のない無名選手…。
きっとないはずである。
大島の話をして「うんうん」とうなずけるのは、現地で観戦した人間だけ…。
チケットを買って観戦することで…彼のような宝物を見つけることができる。
抜群に強いか…というとそうでもない。
世界が期待できるか…んなわけない。
そんな選手である。
何が面白いか…突進からの手数の嵐。
彼の試合はとにかく熱い。
昨年の3月、岐阜で見た彼の負け試合に僕は惚れ込んだ。
負けで魅せた…そして大島に勝ち切った久保田 祐介(岐阜ヨコゼキ)もまた、引き立った。
ドラマチックなこの試合…生観戦ファンだけの独占情報である。
矢吹や森はきっと上のステージに上がっていくだろう。
大島も当然、続けていけば上のステージへいくだろうが…。
矢吹、森は力の差を見せつけながら駆け上がっていく選手。
大島は…勝ち負けを重厚に重ねながら必死にのぼっていく選手。
3人がランクを手にいれたとき…やっぱりと思う上記2人とは違い、
心の底から「よくやった!!!」と、涙さえ出てしまうような選手が大島…だろうと思う。
格別、強い選手だけがボクシングの魅力ではない。
4回戦を必死に勝ち抜いてのぼっていく姿だって、充分魅力的なコンテンツ。
その面白みを引き出すのは、大島のようなボクサーだと思うのである。
彼の試合が…昨年3月、久保田戦以降…組まれていない。
4回戦というステージの選手、辞めたとか怪我とか、そういった情報はほとんど入ってこない。
次はいつ?…次はいつ?
…気にするうちに、1年経ち、2年経ち。
気がつけば消えているのはいつものこと。
そんな寂しさにはもう慣れた…。
でも…大島だけは…そんなあきらめの気持ちを持てない。
ここからは僕の持論。
昨今、世界王者でさえ強い弱いが語られ、
弱い相手を選んだとか何とかで世界ランカーも腐される。
彼らの凄さ、王者へのリスペクトをファンが失っていることが
昨今のボクシング人気低迷に直結しているのではないかと感じる。
世界のボクシングももちろん面白いけど…
生で見る4回戦も抜群に面白い。
現地での生観戦をして、4回戦ボクサーの凄さを知れば…
おのずと彼らの凄さが分かるはずだと感じる。
下から見上げたとき、頂上の高さは遥かなる崇高なものになる。
さらに…
「チャンピオンになれる選手となれない選手…ほんのちょっとの差よ。」
エディ・タウンゼントの言葉が頭の中でリフレインする瞬間が何度もある。
チャンピオンになれると思った選手が王座に届かないことなんていくらでも…。
そんな瞬間を何度も見れば、おのずとその凄さが理解できるはず。
生の前座の試合の魅力を、どれだけファンに理解させることができるか…
ライトファンをどれだけ会場に向かわせることができるか…
ボクシング人気復活のカギは、この一点に集約されるのではないかとさえ感じる。
もちろん、その主役は4回戦、6回戦でもがく選手たちである。
ブルドーザー大島のような選手は…そんな魅力を存分に見せつけられる選手だと思う。
怪我でブランクがあいているのかもしれない。
ボクシングだけでは到底飯が食えるステージではないし、本業が忙しいのかもしれない。
何かの要因で、見切りをつけてしまったのかもしれない…。
はっきりしたことは何もわからない。
ただ…僕は彼の次の試合を楽しみにしている。
心の底から、彼の試合を必要としている。
リングに戻ってきてほしい。
ファンの自分勝手な願いである。
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