2025/04/13 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2025/04/13 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■2025年度中日本スーパーフェザー級新人王準決勝
【スーパーフェザー級4回戦】
知賀 竜一(LUSH緑) vs 中村 永遠(トヤマ)


左を差し合う中、知賀がワンツーで先制。
じわじわ詰めていく中村に、下がりながらジャブを刺していく知賀。
中盤、中村がロープ際で左フックを叩きつけると、ロープに詰めてラッシュ。
後半には千賀の右ストレートがカウンターで中村を捉える。


鋭くジャブを突き刺す知賀。
被弾重なる中村だが、右ストレートを突き刺すと、知賀が固まる場面も。
ロープ際、ボディから一気に攻勢を強めた中村。
一気に攻め立てる中村に、知賀も手を返しての撃ち合い。
中村の左フックと、千賀の右ボディの相打ちで知賀の腰が落ちる場面も。


カウンターで中村の顔面を跳ね上げていく知賀。
詰め続け、一発当たれば一気にパンチをまとめる中村。
両者棒立ちになるシーンもあり、いつKOシーンが訪れてもおかしくない。


最終ラウンド、今度は知賀が押し込み始める。
両者前に出ての撃ち合いは熾烈を極める。
中村のボディに動きを止める瞬間を見せる知賀。
第一試合から盛り上がる熱戦となって試合終了のゴング。


マイジャッジ
39-37 中村


公式ジャッジ
39-37 知賀
39-37 中村
38-38 ドロー


1-1 ドロー

優勢点は知賀。


印象的なダメージブローでは中村が上回ったように思えたが、
ヒットで行けば、ジャブを細かく差し込んだ知賀に流れておかしくない。
スイングラウンドが立ち並び、どう転んでもおかしくなかった判定と思えた。


ジャブを休まず、強烈な右カウンターで戦い。
リベンジマッチをドロー優勢点で勝ち抜け、決勝への切符をつかんだ知賀。
8月3日の決勝では完成度の高い加藤 陸(松田)が待ち受ける。

一度敗れた相手に挑む…挑戦を乗り越えた。
次は、「優勝候補」へ挑んでいく。
ハードな試合を乗り越えた経験値と自信が、どれだけ加藤との距離を縮めるか。
このトーナメントを「知賀の挑戦」の物語とすることができるか。
知賀が主役へと一歩近づいたように思えた。


これまで2度の逆転KOを演じてきた中村。
3戦連続とはならなかったが、またも面白い試合を演じたように思える。
一発一発の強打は凄まじく、これまでのKO劇が偶然ではないことを示している。

大きな声援が飛び交った刈谷あいおいホールだが、異例だったように思う。
地元選手同士の試合であれば、お互いの応援団の声援がぶつかり合うことはあるが、
中村は中日本地区でも刈谷あいおいホールから最も離れた富山の選手。
自分たちの応援者だけでなく、その場にいた
「中村を知らない」ファンまで巻き込んでのものだった。

自分が中日本の聖地と言われるリングで何を成したか。
浴びた声援を自信として、来年、新人王戦の舞台へ帰ってきてほしい。


知賀 竜一 3戦1勝(1KO)1敗1分
中村 永遠 3戦2勝(2KO)1分

 

【スーパーフェザー級4回戦】
加藤 頼(名古屋大橋) vs 森 啓介(タキザワ)


いきなり突っ込んでいった森。
ガードを固めて頭をゆすりながら踏み込んでいく。
頭の衝突も発生し、ガチャガチャとした森の攻めをやりにくそうに被弾する加藤だったが
ラウンド終盤に入ると、踏み込んでボディを中心に、強烈に襲っては距離をとる。


2Rも前に出てくる森、ボディから右のオーバーハンドで捉えるが、
頭一つ大きな加藤が、体で押し込んで強烈にボディをえぐる。
ラウンド終盤には強烈な右アッパーで森が膝を揺らす場面も。


3Rも詰めてくる森をさばく加藤、足を使いながら森を鋭いパンチで迎え撃つが
森もガード固く、上半身をよく動かし、大きなヒットは食わず、しつこくヒットを奪う。
しかし、ロープ際の両者の強打が相打ちすると、後退したのは森。
加藤が一気にパンチをまとめる。その後は上の動きが止まった森に、
小気味よく加藤が拳をねじ込んでいく展開。


4R、最終ラウンド、とにかく前に出て出し切りに来る森。
猛烈な森の勢いの中、足を使いながら、迎え撃つように叩く加藤だが森は止まらず。
森のパンチが強烈に刺さる場面もあり、次第に加藤が森を持て余す。
森の盛り返しに会場は大きく熱を帯びる。

撃ち合いに応じる加藤だったが、被弾構わず手を出し続ける森に、
加藤の顔面が跳ね上がるシーンも複数。
この日一番の声援が飛び交う中で試合終了のゴング。

マイジャッジ 39-37 加藤

公式ジャッジ
39-37×3 加藤

3-0 勝者:加藤


「この試合が勝っても負けても最後」
そう決まっていたらしい。
東京でプロとなり、中日本へ拠点を移してからも戦い続けた森。
途中、長いブランクもあったが、頑張り続けた選手の一人。
近しい関係者が嬉しそうに森の練習量を自慢していた。

最終ラウンドはこの試合のものだけでなく、
プロになってからの5年半、全てを出し切りに行ったように見えた。
その結果、この日一番の大歓声が沸き起きった。

未勝利のままキャリアを終える選手。
そんな選手が演じた、最高にかっこいい3分間。
勝利は得られなかったが、この日の会場にいた多くの人の記憶に残ったはず。
最後の最後、忘れられない選手として、その姿を観客の脳裏に残した。


完璧だったはずだった。
突っ込んでくる森の頭への対処には苦労したものの、
離れて迎え撃ち、近距離でも撃ち勝っていた加藤。

苦戦の香りさえしない中、最終ラウンドに森の巻き返しにあった。
ただ、それについてはラストラウンドの森が強かった。
実力差ははっきりと示していた。

覚悟に勝る強さなし。
そんな相手との対戦を踏んで、より強い相手が待ち構えるB級戦線へ。
この試合が、より加藤への期待値を高めてくれたように感じた。


加藤 頼 6戦4勝(1KO)2敗
森 啓介 5戦5敗

 

【女子47kg契約4回戦】
児島 朋香(中日) vs 田戸 心乃(トコナメ)


いきなり飛び込んでいった児島、田戸のカウンターが捉えるオープニング。
追いかけ続ける児島に、足を使って田戸がカウンターを突き刺していく。
まずは田戸がアウトボクシングで、児島をさばいて1R終了。


2R、頭から突っ込む児島と田戸の頭が衝突。
田戸にインターバルが与えられる。
再開後、詰め続ける児島の右のオーバーが派手にヒット。
田戸がさばいている状況には変わりないが、
少しずつ、児島が押し込み始めたか。


3R、田戸が出て撃ち合いになると児島に負けない手数を繰り出し
左フックで田戸が児島の顔面を跳ね上げる。
足を使ってカウンターを取っていく形に変わりはないが、
児島の背中がロープに近い場面では、自ら攻め込んで猛烈な撃ち合いを演じる田戸。


4R、攻め続ける児島をクリンチで切る場面も多くなった田戸。
クリンチした状態で体をまわしてロープに追い込もうとするが、児島も粘り強く抵抗。
がむしゃらに攻めて攻めて追いかける児島が押し込む場面が増える。
しかし、試合終了目前には田戸も右ストレートをカウンターで突き刺して反撃。


39-37 田戸


公式ジャッジ

39-37×3 田戸


3-0 勝者:田戸


久々の試合だったが、「がんばるここちゃん」は健在。
これまで前に出て戦っていた田戸がアウトボクシングを展開した。
新しいスタイルを身に着けるのには多くの努力が必要なもの。
この試合に向かうまでの努力の大きさをリング上で見せてくれたように思う。

そして、そのアウトボクシングも付け焼刃には見えなかった。
ボクシングの幅をしっかり広げての初勝利。
今度の戦いが楽しみに思えた。


「がむしゃら児島」もやはり健在。
痛烈な被弾で幕を開けた試合でも、児島の突進は止まらなかった。
どんな状況でも選択肢は一つ!

デビュー2連敗でも、そのシルエットはリング上にくっきりと残している。
その魅力をまき散らして初勝利に向かってほしい。


児島 朋香 2戦2敗
田戸 心乃 3戦1勝1敗1分

 

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