2024/12/21 -静岡・ツインメッセ静岡- 第2試合~第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【60.8kg契約4回戦】
月田 翔一郎(LUSH) vs 秋山 星也(名古屋大橋)
ロングレンジでジャブの交換から鋭く右ストレートを突き刺した月田。
お互い危険なミドルレンジで撃ち合う気満々の立ち上がり。
強打を交感し始めた矢先、秋山の左フックがテンプルを捉えて月田がダウン。
立ち上がったが、短い4R、絶体絶命の月田。
いったん流れが落ち着いたタイミングで月田は舌を出して秋山を挑発。
そこを逃さず襲った秋山、右ストレートを突き刺し、
両者激しいスイングの交換となる中、そのまま連打を飛ばす中の左フックで月田を捉える。
痛烈に被弾した月田はそのままリングに沈み、レフリーは即座に試合をストップ。
TKOタイムは1R 2分22秒
絶体絶命のピンチの中、月田が賭けに出たようにも思えた。
相手を出させて撃ち終わりを狙う…
挑発は「来てほしい」気持ちの表れだったように思う。
決してボクシングや、秋山を軽く見たわけではなく、
純粋に勝利に向かう手段だったように見えた。
ある種、一か八かの仕掛けに出た、月田だったが、
そこをワンテンポ早く、秋山が右を繰り出した。
1秒未満のそのタイムラグ、秋山が月田の反応より早く拳を繰り出し、TKOの一撃につながった。
瞬間スポーツであるボクシングの瞬間を制した秋山の集中力。
3つの負けを重ねながら、ボクサーとしての強さを増してきた。
試合時間としてはわずかだったが、その中にドラマはたっぷりと詰まっていた。
はた目に見れば、お行儀のよくないふるまいに天誅が下ったような月田の負け方。
声をかけるなら「やっちまったな!」。
負けるときはこっ酷く負けていい。
逆襲のストーリーはその方が面白くなる。
月田 翔一郎は面白いボクサーだ。
月田 翔一郎 5戦3勝(2KO)2敗
秋山 星也 7戦3勝(3KO)4敗
【スーパーライト級6回戦】
宮川 竜成(尼崎亀谷) vs テイティコーン・ラッタナクン(タイ)
サウスポーに構える宮川が右フックで先制すると、
ラッタナクンが右ストレートでやり返す。
左を捨てパンチに右ストレートを思い切り突き刺してくるテイティコーン。
頭から突っ込みくっついた場面ではガチャガチャと拳を当ててくる。
なかなかやっかいにも思えるが
ラウンド終盤にはボディから顔面へコンビネーションを浴びせる宮川。
2R、ラフに突っ込んで来ながらも、ロングレンジでは
思い切り右ストレートを叩きこむテイティコーン。
宮川でワンツーでやり返す。
密着した場面では両者ボディを叩き合う。
ラウンド終了間際、宮川が強烈に左ストレートを突き刺す。
3R、突っ込んではボディを繰り返すテイティコーン。
ボディを返し、削り合う宮川、
中盤にはジャブでたたいてヒットを取り返す宮川だが、
撃ち合いになった場面も互角の戦いとなる。
力強いテイティコーンのボディが目をひく。
4R、密着した距離で強烈にボディを襲うテイティコーン。
中盤以降になると、テイティコーンの手数が落ち始める。
宮川が詰めながら多彩にテイティコーンを襲い始める。
5R、削られたか、はっきりと動きが落ちたテイティコーン。
くっついてはボディを叩くテイティコーンだが、その数は圧倒的に減り
宮川がコンビネーションで強烈にたたく場面が続く。
押し合いの場面では、この局面でもテイティコーンの体の方が強いか。
頭をつけ、押し下がらされながらも、巧みにコンビネーションを浴びせる宮川。
6R、宮川の方から前に出てコンビネーションを叩きつけるが、
入ってくるところに振ってくるテイティコーンの右は思い切り振るわれる。
残り10秒、猛烈にふるって最後に出し切るテイティコーン。
ラフに狂暴に襲い掛かるが、宮川が鋭利に巧みに打ち勝って試合終了。
マイジャッジ 57-57
59-55×2
60-54
3-0 宮川
序盤のクリンチ際のオンタイムの攻防が、
それほどポイントに反映されなかったようにも感じた。
少し開きすぎにも思えたが、宮川勝利に異論はない。
ただ、はっきりと制したラウンドは少なく、
簡単な試合ではなかったのは事実だと感じる。
テイティコーンの乱戦に苦しんだ宮川の大差判定勝ち。
テイティコーンの善戦を称えたい試合だと思えた。
苦戦の経験を先に生かしてほしい宮川。
テイティコーンには、また、来日して暴れまわってほしいようにも思えた。
宮川 竜成 5戦5勝(1KO)
テイティコーン・ラッタナク 10戦5勝(5KO)6敗
【フェザー級8回戦】
中川 抹茶(スパイダー根本) vs ロッキー・オグデン(豪)
詰めていくオグデン、距離を維持するように下がりながら戦う中川。
タイミングを探るオグデンに対し、積極的に手が出るのは中川の方。
お互いクリーンヒットはほとんどないまま1Rが終了する。
右vs左の駆け引きが続く中、オグデンが右ボディストレート、中川がジャブを刺していく。
静かな展開だが、時折中川が踏み込んで、ショートを突き刺す。
ラウンド終盤、オグデンが中川を追いかけてボディから顔面へととらえるが
終了直前には、中川が左ストレートを突き刺してこのラウンドが終了。
3R、しつこく追いかけるオグデン、時折自分からも攻め、
カウンターを飛ばして足を使う中川だが、オグデンはしつこく詰める。
そんな中、お互いに踏み込み合うタイミングが重なって頭が衝突。
オグデンが左目下をカットし、ドクターチェックが入るが続行。
再開後、お互いストレートで捉え合うが、途中、中川が立て続けに捉えてラウンドが終了。
4R、しつこく詰めてボディーを中心に襲うオグデン。
お互い踏み込む場面が増えるが、今度は中川がバッティングで左目上をカット。
出血は多いが、ドクターは続行。
出血が多く、左目の試合が危うい中川だが、ジャブとストレートで遠ざけながら
ラウンド終盤には左フックを強烈に突き刺してみせる。
5R、詰めながら上下に襲い始めるオグデン。
積極性を増してくる中、中川がカウンターで捉える場面も目立つが
それ以上にオグデンのヒットが増し始める。
ラウンド開始直後は止まっていた中川の出血だが、中盤あたりからまた大量に出血。
視界不良と思われる中、ラスト30、飛び込んできたオグデンを
左ストレートで捉え、オグデンが膝を折る。
6R、左ストレートと右ストレートが交錯する。
踏み込むタイミングを測り合う両者だが、頻繁に踏み込むのはオグデンの方か。
その分、オグデンのヒットが上回っていくようにも見える。
ラウンド終了間際には中川が強烈な右フックを浴びせるシーンも。
7R、より大きく足を使う中川。
オグデンをほとんど入らせずにコツコツと叩くが
ラウンド終盤、オグデンが右ストレートを突き刺すと、
パンチをまとめる場面を複数回作ってラストラウンドへ。、
スイングラウンドの多い試合。
マイジャッジはこの時点で中川1Pリード。
8R、ラストラウンドに踏み込む回数を増やすオグデンだが、
その分、中川がカウンターで捉える場面が増える、
終盤、オグデンが右ストレートで中川の顔面を跳ね上げると、
二人は強打を交錯し合う。
終盤は逆にオグデンが足を使って中川が追いかける中でラウンド終了。
スイングラウンドが立ち並んだ判定の難しい試合。
マイジャッジ 77-75 中川
公式ジャッジ
78-74 中川
78-74 オグデン
77-75 中川
2-1で勝者中川
拮抗し続ける中でラウンド終盤に見せ場を作っていった中川にポイントを振ったマイジャッジ。
アグレッシブや手数、単純なヒット数ではオグデンに
ポイントが入ってもおかしくなかったように思う。
大きくポイント差が開いたジャッジだったがどう転んでもおかしくなかった試合だった。
流血の窮地にも、ペースを譲らず、詰めてくるオグデンに痛烈にカウンターを浴びせていった中川。
圧力強い相手をしっかりとしのぎ切った。
タイミングさえ合えば切って落とせる左ストレートは相手の突進の抑止力となり、
駆け引き勝負を制し、そしてしっかりと見せ場を作ってポイントゲームを制した。
OPBF東洋太平洋ランキングは試合時点で7位。
アジアのタイトル挑戦も見えてくるか。
ここを生き残った星は大きいようにも思える。
中川のボクシングの「勝負」に対する強さを感じさせた試合。
タイトル奪取…今時点、見えない場所ではないと感じた。
中川 抹茶 20戦16勝(6KO)2敗2分
ロッキー・オグデン 8戦7勝(5KO)1敗
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