2019/03/17 -愛知・刈谷市あいおいホール- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
岐阜で田中 恒成(畑中)vs田口 良一(ワタナベ)の世界タイトルマッチが行われる翌日。
今年最初の刈谷あいおいホールの興行が行われる。
この日は中日本新人王のカードも多く組まれ、僕がバンタム級の優勝候補として推す安西 蓮(岡崎)も登場。
太田 奏人(中日)や阿部 史也(タキザワ)など、他にも優勝を狙える選手が登場。
セミファイナル、メインイベントともドラマの詰まったカード。
中日本の魅力がたっぷり詰まったラインナップとなっている。
【バンタム級4回戦】
高畠 愛大(タキザワ) vs 佐藤 光(畠山)
高畠 愛大 デビュー戦
また、中日本のリングに新たなボクサーが上がる。
タキザワジムから出てくる選手は、ある一定水準は満たして来る印象がある。
選手が減少する中、新たな選手の登場は嬉しい限り。
果たしてどんなボクシングを見せてくれるのか。
佐藤 光 4戦1勝2敗1分
北海道から中日本へ2度目の遠征。
前回は三重の注目ホープ、中村 龍明(市野)を相手に初回に2度のダウンを喫しながら。
止まることのない猛烈なブルファイトを魅せた。
中日本での試合は大差判定負けとなったが、
次戦の後楽園ホールではまたも突撃ファイトを魅せつけ、初勝利を飾っている。
突進あるのみ…解りやす過ぎるそのスタイルはまさに生き様のようで魅力的。
タキザワvs北海道畠山。
印象深いのが阿部 史也(タキザワ)vs東 祐也(北海道畠山)。
阿部は今年の中日本スーパーバンタム級新人王トーナメントの優勝候補に推すファンも
多くいる注目選手だが、その阿部に初黒星が付いたのがこの試合。
強烈に効かせて大ピンチに陥った東が、直後に猛烈な手数で巻き返して際どい判定をさらった好試合。
ジム同士の構図で見れば、仇討ちの要素も重ねられる。
スタイルは選手それぞれなのは承知の上で、あくまでイメージだが、
どこかスタイリッシュなイメージの強いタキザワの選手。
猛烈な手数を脳裏に刻み付ける北海道畠山の選手。
持つ色の対比もまた、魅力的だ。
■中日本フェザー級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
太田 奏人(中日) vs 伊藤 敏(蟹江)
太田 奏人 2戦2勝
2017年にデビューし、2連勝。
その後、脱臼癖のあった肩の治療で1年半のブランクを作った。
より強い姿を見せる為に、治療に専念した1年半…。
鮮烈な輝きを放った2試合からさらに強くなった姿を見せてくれることだろう。
中日本フェザー級新人王トーナメントの注目選手。
伊藤 敏 7戦2勝(1KO)4敗1分
2017年1月から2年以上リングから遠ざかっていた伊藤がリング復帰。
東京の石川ジム立川からプロデビューし4年。
故郷に戻り、蟹江ジムからもう一度リングに上がることとなった。
東京で揉まれた選手だが…、だからと言って中日本を勝ち抜くのも簡単ではない。
この日、対峙するのはトーナメントの優勝候補とされておかしくない選手。
初見となるこの選手がどこまで対抗するのか…
太田に勝つようであれば、一気に主役に躍り出る可能性も孕む。
復活の中日本フェザー級新人王トーナメント。
エントリーした5名中4名が何らかしらの理由でリングから遠ざかったことのある選手。
久々にリングに上がるもの同士だが…
リングから離れた期間、新たな気付きや変化で、より強くなって帰って来るのもよくある話。
ブランクはマイナスばかりではない。
このブランクを力に変えた選手こそが、このトーナメントを制することになるのだろうと感じる。
8月の決勝のリングを勝ち取るのはどちらか…。
二人の濃いドラマに、新たなページが刻まれる。
■中日本新人王スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
中西 楓太(鈴鹿ニイミ) vs 畑 直宏(平石)
中西 楓太 1戦1敗
デビュー戦、安西 蓮(岡崎)を相手に25秒KO敗けを喫した中西が登場。
あまりにも早く終わりすぎたデビュー戦…この選手の何も分からないままだった。
25秒からのスタート…物語のオープニングとしては悪くない。
ここから、どんな物語を紡いでいくか…。
畑 直宏 3戦3敗
中日本のピストン 堀口とあだ名したくなるファイター。
デビュー戦で魅せたのはガードもへったくれもない、
戦後間もないボクシングを見せられているような戦いぶり。
技術の高まった現代ボクシングを完全無視した根性ファイト。
全敗だが、そのクラシックな戦いぶりは一見の価値あり!
畑が飲み込むか否か。
勝敗の分かれ目はこの一点に絞られるように感じる。
畑の前戦は後楽園ホールで2度のダウンを奪いながら、
最終回にレフリーストップのTKO負けとなっている。
あと一歩をこの試合まで積めて来れたかどうか…。
技術的には決して高くない、生まれ持ったモノもそれほど多くないように思える二人。
だからこその魅力を、この試合に期待したいと思う。
■中日本新人王スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
阿部 史也(タキザワ) vs 高田 雅人(とよはし)
阿部 史也 3戦2勝(2KO)1敗 サウスポー
中日本新人王トーナメントの最激戦区となったスーパーバンタム級。
優勝候補に推す声が一番多く聞こえるのが阿部だ。
デビュー戦敗北から力を伸ばし、2戦続けて完璧な内容でのKO勝利。
特に体幹の強さを感じさせるフィジカルは頭一つ抜けている。
実力、勢いと共に本命に推されるサウスポー。
高田 雅人 3戦1勝(1KO)1敗1分
昨年の中日本フェザー級新人王トーナメントでデビュー。
準々決勝で佐藤 康平(薬師寺)にドローの敗者扱いで敗退した。
その後、この日対戦する阿部に1RKO負けを喫したが、
佐藤との決着戦でKOでの初勝利を挙げた。
佐藤の密着ボクシングの中でもがいた2試合。
いきなり効かされて試合が決まった阿部との試合。
まだ、この選手がその色を出した試合を見れていないように感じる。
佐藤との因縁にケリをつけた高田…4戦目は初黒星をつけられた阿部とのリベンジマッチとなった。
前回の試合では、阿部がいきなりのダウン先取から仕留め切っての1RKO勝利。
あれから、高田は佐藤とのリマッチを乗り越え…
阿部は優勝候補に推されるまでに力を伸ばし…
二人の差は縮まったのか、それとも…。
両者が拳を交えてから9ヶ月…その答え合わせの試合が
トーナメントの中で運命のように組まれている。
この試合に勝利した方は4月28日、岐阜・じゅうろくプラザで後藤 憬(中日)と対戦する。
手を合わせた選手が口々に「やりにくい」と口にする技巧派…。
阿部に注目が集まる中、僕が優勝候補に推すのがこの選手。
そして、対抗ブロックには注目ホープの一人、中村 龍明(市野)がいる。
まさに激戦区…熾烈なスーパーバンタムの幕が開ける。
■中日本新人王バンタム級新人王準決勝
【バンタム級4回戦】
テル のび太(緑) vs 安西 蓮(岡崎)
テル のび太 5戦3勝(2KO)1敗1分
昨年の中日本フェザー級新人王が2階級落としてエントリー。
新人王トーナメントでデビューし、西軍代表決定戦で涙を飲んだ昨年。
連続1RKOで決勝まで勝ち上がり、決勝では愚直なファイトで中日本新人王の肩書を手に入れた。
今年狙うは昨年獲り損ねた全日本新人王の栄冠…。
しかし、簡単にはいかないだろう強豪たちが待ち構えている。
安西 蓮 4戦2勝(1KO)1敗1分
デビュー戦、いきなりの撃ち合いで優位に立ちながら、逆転の一撃でリングに沈んだ安西。
その後、高い攻撃力を見せながらも、デビュー戦敗北の経験からか
時折おろそかになるディフェンス面も徐々に改善。
はっきりとした2連勝を刻み、前戦では注目選手の中村 淳希(市野)とドローを演じた。
攻撃力に加わった安定感…実力を伸ばしてきている選手。
昨年西軍代表戦まで勝ち上がったテル。
今年の新人王戦は2階級落とし、優勝候補と目されるのが当然と思えていたが…
トーナメントには前評判の高い選手が揃った。
特にこの試合は今年の新人王トーナメントの組み合わせが発表された段階で、
一緒に見ていた人と「これでしょう!」と声が揃ったカード。
現在組まれている中日本新人王トーナメントのカードの中で最注目カードだと思える。
どっちが勝つか分からない、どっちも期待できる…そんな二人の試合。
勝った方は8月の決勝の舞台へ…対抗ブロックには、今年の中日本新人王の
目玉選手とも言われる木村 天汰郎(駿河男児)がエントリーしている。
この階級もまた、激戦区だ。
【70.85kg契約8回戦】
丸木 凌介(天熊丸木) vs カン・クンウー(韓)
日本スーパーウェルター級5位/OPBF東洋太平洋スーパーウェルター級13位
丸木 凌介 22戦15勝(10KO)6敗1分
昨年は日本王座に2度挑戦し、いずれも敗北。
しかし…その中身はわずか1P差まで迫った判定負けと、
どちらが倒れてもおかしくなかった激しい撃ち合いの1RKO負け。
日本王者まであとわずかに迫りながら、栄冠を逃している。
韓国スーパーウェルター級2位
カン・クンウー 9戦4勝(1KO)2敗3分
戦績的にはパッとしないように見えるが、タイトル戦以外では負けなし。
試合数は少ないながら、これまで韓国王座に3度挑戦。
初挑戦では1RTKO負け、2度目は1-2の判定負け…そして昨年10月にはドロー。
韓国王座にあと一歩のところまで力を伸ばしている選手。
日本王座にあと一歩に迫った丸木と、韓国王座にあと一歩に迫ったクンウー。
国は違えど似た立ち位置にいる二人が、生き残りを賭けた戦いに挑む。
天熊丸木ジムは3月1日から会長が交代。
父の丸木 孝雄が退き、兄の丸木 和也が会長に就任している。
兄弟王者を目指してきた丸木兄弟だったが、和也がリングを降り、
凌介のサポートにまわることとなった。
名トレーナーとして名を馳せた丸木 孝雄のボクシングを、
今体現できるただ一人のボクサーである凌介。
3人の男たちのドラマが、凌介の道のりに集約され、新しい物語がスタートする。
【61.5kg契約8回戦】
力石 政法(緑) vs 岩原 慶(本多)
日本ライト級13位
力石 政法 5戦4勝(3KO)1敗 サウスポー
6回戦デビューから、A級初戦で前日本王者の坂 晃典(仲里)と対戦するという勝負に出た力石。
しかし、結果は2RTKO負け。
そこから再起の試合を挟んで、前戦で日本ランカーに勝利してランキングを手に入れている。
破格の強打者でありながら、坂へのKO負け以降、慎重さが見える力石。
もう一度、坂と…それに相応しい舞台で…。
傷を負ったホープに立ち止まる暇はなし。
高みを目指し、この日もリスキーな一戦に挑む。
日本ライト級12位
岩原 慶 15戦10勝(5KO)5敗 サウスポー
A級初戦で日本ランカーを撃破し、ランキングを手に入れて以降、
そのランキングを手放すことなく現在に至っている。
昨年12月にはWBOアジア太平洋のランクも持っていた市川 大樹(駿河男児)と対戦。
4RTKO勝利を挙げている。
サウスポーの強打者対決となる試合。
迫力ある試合が期待できるメインイベントとなった。
日本王座挑戦権を有するのは日本12位まで。
12位と13位には挑戦資格と言う名の線が敷かれている。
この線をまたいで対峙する二人。
負けた方はランキングを落とし、資格から遠のくこととなるだろう。
タイトル戦でもない日本下位ランカー同士の試合。
前日の世界戦と比較すれば、試合のグレードは低いのかもしれないが、
こちらもまた、譲れぬ道の奪い合いとなるカードとなっている。
今年の刈谷あいおいホール最初の興行。
激戦臭香る試合に、魅力濃厚な負け越しボクサーの登場、
期待選手も何人も出場し、バラエティに富んだ並びになったと感じる。
中日本の魅力がたっぷり詰まった刈谷の興行。
今年も刈谷を存分に楽しみたい。
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