憎き下田 昭文(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/12/25
大晦日に岐阜で二つのタイトルマッチが開催される。
第16代WBO世界ミニマム級王者 田中 恒成(畑中)が、モイセス・フエンテス(メキシコ)との
WBO世界ライトフライ級王座決定戦で2階級制覇に挑む試合…
そして、第60代日本フェザー級王者、林 翔太(畑中)が初防衛戦で下田 昭文(帝拳)を迎える試合。
田中と林…どちらも名古屋のジムから飛び出した世界王者ではあるものの…
僕個人の印象としては、我らがチャンピオンと感じるのは林の方である。
田中は…もちろん誇りに思うが、どちらかと言うと、”日本の田中”という感じがしてしまう。
デビューしたころから、アマチュアで大きな実績があり、当然のように世界を目指し、当然のように世界を獲った。
もちろん、その裏には激しい減量苦や、大きなドラマがあったことは間違いないのだが…
国内戦線で勝ったり負けたりしながら、その選手への思いを膨らませていくような、
そんな思いを育てる時間は田中にはなく、瞬く間に世界を獲ってしまった。
名古屋からようやく出た世界王者…その実感はなんとなくボヤっとしてしまう。
その反面、国内戦線で幾度か負けながらも、日本王座のベルトを勝ち取った林には、
「ようやく名古屋に…」の思いを強く感じてしまう。
そんな我らがチャンピオン…林の前となると、5年前にベルトを手放した大橋 弘政(HEIWA)が思い浮かぶ。
何度も負けながら、苦難の末に勝ち取ったベルト。
そのストーリーを記憶に刻みながら、ファンはそのベルトに感動を覚えた。
2度王座を獲得した大橋だが…
1度目の王座獲得時、初防衛戦で大橋からベルトを強奪していったのが、
林が大みそかに初防衛戦で迎えることとなった、下田である。
下田は大橋から奪った王座を1度防衛すると、世界の頂点まで上り詰め…
第31代WBA世界スーパーバンタム級王者の肩書を手に入れた。
その王座は敵地アメリカで失うものの、再度の世界挑戦を目指して再起。
しかしあと一歩のところで重要な星を2度、落としてしまい、未だ世界再挑戦は叶っていない。
林が大晦日興行のPRで訪れた11/27の刈谷あいおいホールでの興行。
「大橋さんがベルトを取られた相手。リベンジしたい。」
リングの上からそう力強く宣言すると、ロビーに近い出入口付近から「頼んだぞ!」という声が響いた。
誰が言ったかわからないが…そんなことを言うのは、ベルトを奪われた本人なんじゃなかろうかと思う。
プロボクサーは背負うものが大きい。
チャンピオンになれば、それは何十倍、何百倍にも増える。
敢えてこういう書き方をする。
“憎き”下田の全てを奪い去って欲しい。
これまで積み上げた栄光も、実績も…その拳で。
かつて大橋が下田に奪い去られたように…。
リングに勝者は一人しかいない。
それがボクシングなのだから。
そしてもう一つ。
TVでは多数開催される世界戦を中継するので精いっぱいなハズ。
このドラマを強くその記憶に焼き付けるには…
当日、その会場にいる以外に手立てはない。
12/31 岐阜、めもりあるホール。
俺…行けねぇんだよ…ちきしょう…。
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