クーキアット・ソーケーオカムシー(タイ)に激励賞を(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/01/05
タイ人が強かった。
11月の岐阜で、佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)と戦ったタイ人。
佐伯の戦績を見返したとき、”(タイ)”の文字が入っているだけで
「あぁ…噛ませか。」
なんて誤解するファンもいるだろう。
ここで、断言しておきたい。
あの日のクーキアットはメチャクチャ強かった。
多分ムエタイ上がりなのだろう。
構えはボクシングのそれとは少し違った。
腰高に構え、佐伯の攻撃をただガードで受けた最初の数十秒。
その時点で、”噛ませタイ人”のワードが頭をチラついた。
しかし…佐伯のアタックを一通りガードで吸収したタイ人は
撃ち終わりにその両拳を佐伯に向かって撃ち出した。
凄まじいハンドスピードで、佐伯を襲ったクーキアットのパンチ。
この時点で、会場の空気が変わったと思う。
顔をコンビネーションで叩いて行くクーキアットと、
強烈にボディを叩き込んでいった佐伯。
ヒット数ならクーキアット、ダメージなら佐伯…なんて僕には見えた。
これは…割れるかもしれない。
マイジャッジはクーキアットにつけた。
僅差はない。
見方でどちらかに大きく振れる試合…結果、ついたジャッジは3-0で佐伯。
地元判定の部類には入らないだろう。
しかし、ジャッジの人選によっては、クーキアットについていておかしくなかった試合。
まさに熱戦だった…。
佐伯の勝ち筋はボディ攻めしかなかったと思う。
そこを貫いて勝利を勝ち取った佐伯は見事だったと思う。
タイからやってきた無名の男はその雄姿を存分に示した。
しかし…あの日あの会場でそれを目撃したファン以外、それを知らない。
だからこそ、クーキアットが素晴らしい試合をしたことをここに残しておきたい。
そして、僕はもう一度クーキアットの試合を見たい。
これからランク入りを目指す選手たちにとって、壁になりえる選手だと思う。
作り上げた体は、肩の筋肉が張り出し、強い男の体そのもの。
戦いの神の力を授かるように、トップロープを跨いで入場。
そして、ぬぼぉ…と立っているように見える形から、ハイスピードのパンチで急襲する。
まるで獲物を狩るように…。
撃ち終わりを徹底して狙い、密着した体の間にアッパーを滑り込ませる。
クリンチも巧く、危ない場面は躊躇なく抱きつく。
上体は柔らかく、顔面へのパンチの多くをいなしてしまった。
いやらしいボクシングではあるが、それはテクニック。
メチャクチャ格好良かった。
以前、チャンチャイ・チュワタナ(タイ)についても、同じように書いたが…
この男にも、もう一度中日本のリングに立って欲しい。
僕はきっとクーキアットの名前を見るだけでゾクゾクできる。
クーキアットに激励賞を。
いやらしく、強く、カッコいい。
タイからやって来た戦士だった。
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