同世代 ラリー・ホームズ(米)⑱ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/21

同世代 ラリー・ホームズ(米)⑱ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/21
 
 
 

マイク・タイソン(米)との試合で圧倒的な敗北を喫し、
本当に引退…と思われていたラリー・ホームズ(米)
 

その3年後、ホームズはまたもや復帰戦のリングに立っていました。
 

ホームズが1回目の引退を宣言した翌年、同世代のジョージ・フォアマン(米)が10年ぶりに復帰。
4年もの間勝利を重ね続け、世界タイトルマッチの舞台へ上がっていました。

触発されたホームズは、「ジョージも頑張っている。私にもやれると感じたんだ」と現役復帰。
フォアマンが世界戦の舞台に上がるその12日前、復帰のリングに立ちます。
 

全盛期に比べると腹周りにでっぷりと贅肉をまとった姿。
いくら混戦のヘビー級とはいえ、もう世界の舞台に立つには、年齢も体も不相応に思えるほど。
ファイトマネーを使い果たし、小遣い稼ぎににでも出てきたか?と思わせるほど…。
 
 

相手はティム・アンダーソン(米)。
元ミズーリ州ヘビー級王者ではあるものの、クルーザー級を主戦場にする選手。
過去最大級にウェートアップしているホームズと比較すると、サイズが全く違います。

この試合を開始早々ボディの滅多撃ちで1RTKO勝利。
フォアマンに触発されたとは言え、果たしてなぜこんな醜い体で復帰したのか…
まだまだこのときは本気度が不可解なホームズの復帰。
41歳、10R持つのかさえ怪しそうな体…。
 
 

次戦の相手はエディ・ゴンザレス(米)。
クルーザー級からヘビー級に上げてからはリディック・ボウ(米)等、強豪との対戦はあるものの、
圧倒的に負けが混んでしまっている選手。

この頃のゴンザレスはサイズ的にはホームズを上回るほどにウェイトアップ。
実績から言えば圧倒的な格下ですが、この試合をフルマークの判定で勝利し、スタミナが顕在なことを証明。
 
 

復帰3戦目はマイケル・グリーア(米)。

直前にNABF北米クルーザー級タイトルの挑戦に失敗している選手。
過去にはWBA世界クルーザー級タイトルに挑戦したことも…
サイズ的に小さい相手とは言え、徐々に質が上がってきます。
 

試合開始のゴングが鳴ると元気いっぱいにコーナーを飛び出し、
ジャブを突きながら、ボディを連打していくグリーア。
体もパンチもスピードに乗っており、
全盛期のスピードを失ったホームズからするとなかなか厄介に思えます。

しかし一回り小さいグリーアに対して一旦、間をおいたホームズ。
プレッシャーで下がらせ、長いジャブを突き刺し、威力の違いを見せつけます。
 

2R、スピード感あるパンチで手数を出すグリーアにカウンターの右フックを突き刺すホームズ。
それでもグリーアはホームズの懐に潜り込み、連打をヒットさせると、ホームズはクリンチに逃れる。
身長の低いグリーアに、潜り込まれるタイミングで頭がぶつかってしまい、ホームズはかなりやりにくそう。
 

3R、これまで顔面へ向けて撃っていた溜めて撃つ右フックをボディに突き刺したホームズ。
効いていないとアピールするグリーアですが、間違いなく効いていそう…。
ホームズはこれでもかとこの右フックをボディに突き刺します。

…が、グリーアは怯むことなく飛び込んでいき、連打の渦にホームズを巻き込みかけます。
ここはなんとかクリンチに逃れたホームズ。

ラウンド終盤にはホームズが右フックをカウンターで撃ち込むも、
すぐさま同じようにカウンターの右フックを返され…
またもクリンチに逃れる…。
 

4R、ゴングとともに一気にギアを上げたグリーア。
とにかくパンチをやたらめったら振り回し、手数手数手数…。
お互いが絡み合ったところでレフリーがブレイク。

ここで、ホームズはレフリーにバッティングのアピール。
そして何やら言い合いになる二人…再開されると…

激怒したホームズは両手をぶらさげて、ただグリーアに歩み寄る…それはそれは迫力満点。
もうボクシングではなく、ただのゴロツキのよう…。
迫力に押されて下がってしまうグリーア。

コーナーに詰まったところで、右のこぶしをグリーアに叩きつけるホームズ。
シャープさのかけらもない…ブチ切れた不良が一般人をしばき上げるよう…。

ボディへ2発のあと、ガードの脇からねじ込むようにさらに2発。
グリーア…失神し、顔面からマットに崩れ落ちます。

全盛期のスピードも美しさも失いましたが…歴戦の猛者と戦い抜いてきたホームズ。
迫力は復帰後のほうがあるかもしれません。
 
 

続いて戦ったのが、アート・カード(米)
オハイオ州ヘビー級王座に挑戦し失敗した直後。

この頃、ホームズは復帰して約半年が経過。
だいぶ体も元に戻ってきた感じで、突き刺すジャブもスピーディー。

足を使って戦うボクシングを試すように1Rからフットワークを駆使するホームズ。
カードはただ翻弄されるばかり…。
 

2R、足を止めてハンドスピードで攻めていくホームズ。
ストレート系のパンチを次々にヒットしていきます。
このラウンドにはカートのパンチがヒットするものの、腰の入らない手撃ちがほとんど。
すべての強打に力のこもるホームズとは対照的。
 

3R、身長に距離をとりながら戦い始めたカードに手数が減るホームズ。
このラウンド中盤にはカードがカウンターの右フックをヒット。
しかし終盤、ホームズが終盤にカウンターでカードを捉えると、
カードを押し返すように細かいパンチをいくつかヒットさせます。
 

4R、カートが飛び込んでくるタイミングをつかんだホームズ。
多少の被弾はお構いなしにボディへ左フックの2連打。

効いたと見るや攻勢を強めるホームズ。
飛び込みザマに強烈なアッパーを合わせ、左フックは上下に撃ち分ける。
しかしカードも果敢に撃ち返し、コンビネーション4連打をヒット。
ホームズを効かせたかと思ったその数秒後、右アッパーを突き刺され、前のめりにダウン。

立ち上がったカートはすぐさま撃ち合いに飛び込む。
自分も効いているが相手も効いている…このチャンスを逃すまいといったようなカード。
しかし、撃ち降ろしの右で2度目のダウン…。
残り時間の少なくなったこのラウンド、膝をガクガクさせながら生き残ります。
 

5R、開始直後に右フックを合わせたホームズですが、その後は
お互いに撃ち疲れたか手数の少ない展開に。
終盤にワンツーを入れて会場を沸かせたカードですが…
入り際のタイミングをつかんでいるホームズにすぐさま強烈な右フックとアッパーを合わされ、展開を引き寄せられない。
 

5R、左フックからの右アッパーでカードの顔面を跳ね上げるホームズ。
しかしタフなカードはラウンド終盤、手数の減ったホームズにコンビネーションをヒットする。
全盛期の反応を完全に失っているホームズ…カード以上に強打をヒットさせているものの…
簡単にパンチをもらう姿は強かったホームズとは雲泥の差…。
 

6R、疲弊してきたか手数が減ったカード。
しかしホームズも同じく手数が減少。
カードは被弾しながらも、オーバーハンドの右を痛烈に撃ち込みまだまだあきらめない。
ホームズは強打をボディに集めはじまえる。
 

7R、ボディに合わせたカウンターを狙うカード。
ここまでくれば判定では絶望的。
強打をもらいながらも、左でタイミング図り、チャンスを待ちながら1発にかけます。
しかしボディのダメージと疲労で下半身に粘りのなくなったカード。
入れるパンチも力感を失っています。
 

8R、プレッシャーでカードを押し込むホームズ。
詰まればカウンターをブチ込む…時折フットワークも交え始めたホームズ。
カードは何も出来なくなっていく…。
 

9R、今度は距離を取るホームズ。
ロングレンジは体格で劣るカードが圧倒的に不利。
カードのパンチが届かない距離から左を刺し、
飛び込んできたカードに強烈なフックやアッパーをブチ込んでいく。
 

10R、攻めなければ勝ち目のないカードですが、ホームズの圧力に下がらされてしまう。
飛び込めばカウンターを刺される…飛び込んで撃つパンチをヒットさせても
重心が後ろにあって強打にはならない。

八方塞がりの中、ラスト10秒…意を決して撃ち合いに挑んだカード…
ホームズはすべてのパンチにカウンターを合わせ、カードはダウン寸前の中終了のゴング…。
ホームズの恐るべき技術を感じます。
 
 

ジャッジのうち2人がフルマークをつける完勝を収めたホームズ。
これで半年の間に4連勝。

結果とともに内容も充実させてきます。

復帰初戦は完全に衰えきったホームズでしたが、
ホームズをホームズたらしめたワンツーを武器に、フットワークやスタミナなど
失われたものを自覚し、新たなホームズのボクシングを構築。
 

コンディションを上げてくる様は、流石としか言いようがありません。
この後、ホームズは過去の名声も手伝って…大きなチャンスを手に入れます。

そんなところはまた次回。
 
 

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