2025/08/03 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ミニマム級4回戦】
■中日本ミニマム級新人王決勝
天野 博貴(名古屋大橋) vs 細川 弦汰(駿河)
ゴングとともに襲い掛かる細川
足を使う天野だが、細川のすさまじいに詰められる。
頭を振りガードを固めて致命打を避ける天野だが、完全に押し込まれる展開。
細川の猛烈な手数は変わらず。
中盤、細川の手数の中をうまく外しながら連続でカウンターを浴びせる天野。
痛烈に細川の顔面を捉える場面が出始める。
しかし後半には細川がその手数をボディに集め、徹底した腹攻めで天野を削る。
細川がコーナーに押し込んでの撃ち合い。
手数で上回る細川に適格性では天野が上回るか…。
しかし、次第に細川が押し込んでいき、天野が尻持ちを着いたところで即ストップ。
被弾の数が多くなっていた試合、レフリーは止めるタイミングを探っていたか。
TKOタイムは
3R 1分53秒
細川に食い下がった天野だったが押し潰された。
力の差はあったが、今の天野としては、やれる限りやったように見えた。
来年きっともっと強い天野が見れるはずだ。
伏兵じゃなく、本命として挑んでいく…そんな天野の新人王戦が見たい。
細川がこれぞ「弦汰の勝ち方」で中日本新人王。
距離を取ろうとする相手を超速の置い足で逃がさず、ひたすら怒涛の猛ラッシュ。
単純でありながら、人外の厳しさを求められるボクシングで3RTKO。
まさに押しつぶした。
まるで昭和漫画の主人公のような戦いぶり。
後楽園ホールに弦汰コールが響く日が楽しみだ。
天野 博貴 3戦1勝1敗1分
細川 弦汰 6戦4勝(3KO)1敗1分
【スーパーフライ級4回戦】
■中日本スーパーフライ級新人王決勝
中村 勇翔(LUSH緑) vs 桂 ケンシロウ(とよはし)
緊張感高くジャブを刺し合う中、ガードと距離で外し合う。
タイミングの制し合いの中、お互いに痛烈ながらも単発のヒットが時折。
ラウンド終了間際、右フック、右アッパーで桂が強烈に捉える場面を見せる。
接触頻度が増え、お互いにカウンターのタイミングで顔面を捉え合う。
ラウンド中盤にはボディを削り合う。
ラウンド全般がかなりきわどい接戦。
じわじわ前に出る桂が見栄え良くも見える。
桂の方がカウンターで捉える場面が多く、中村はなかなか手数が伸びてこない。
時折カウンターで桂の顔面を痛烈にとらえるものの、桂の積極性が勝るか。
最終ラウンド、積極性を増した桂。
カウンターを浴びてもひるまず…。
上下に打ち込んできた結果、中村はだいぶ削られたようにも見える。
ラスト10秒は中村が攻め込んでまくり上げて試合終了のゴング。
マイジャッジ 39-37 桂
公式ジャッジ
39-37 ×3 中村
採点は逆についたが、全ラウンドが紙一重。
どうついても納得の範囲と言える試合と思えた。
桂が紙一重の試合を落とすのは初のように思う。
勝てていたかもしれない…がこぼれ落ちた試合。
こういった試合のメンタルダメージが桂にどう影響していくか。
きっとここから復活してくる桂はドラマになる。
負けてよかったと言える未来をその拳で創ってほしい。
一方、的確に捉えて接戦を制した中村。
桂を破った星で、中日本SF級4回戦、文句なしの主役に躍り出たようにも思う。
トーナメント参戦当初は伏兵だった男が、成り上がって新人王達との戦いへ挑んでいく。
中村 勇翔 4戦2勝1敗1分
桂 ケンシロウ 5戦2勝(1KO)2敗1分
【バンタム級4回戦】
■2025年度中日本バンタム級新人王決勝
犬塚 琉樹(名古屋大橋) vs 藤本 翔大(中日本協会預かり)
ジャブを突いていく藤本と、撃ち終わりを捉える犬塚
スリリングなパンチが交錯していく中、数では犬塚か。
しかし、藤本の左フックで犬塚の体がズレる場面も。
ラウンド終盤、強烈なボディが明らかに効いた犬塚、後退したところに畳みかけた藤本。
たまらずリングに沈む…立ち上がった犬塚だが、藤本は再び畳みかけて逃さず。
レフリーは試合をストップ。
1R 2分59秒
混沌とした空気の中、藤本が主役をさらった。
わずかな時間で、有利に戦える場所を判断し、即座に入り込んだ藤本が完勝。
幸運ではなく、実力で勝ち取った勝利にも思える。
近距離の攻防でボディを効かされての敗戦となった犬塚。
4回戦でメインも任されるほど期待値は高かった。
まさかの決勝完敗…今年一番の主役がわき役へと転じてしまった。
急転直下の屈辱を乗り越えられるか否か…。
大本命が獲れない…よくあるケースではある。
…が、そこを乗り越えて結果を出す選手たちもが出てきている。
ここから描かれる「逆襲のストーリーと、強さの証明」は魅力たっぷりだ。
負けてからがボクシングです。
そして、負けて泣き、勝って泣きの泣き虫翔大。今回は客席を歓喜の涙に染めた。
2025年中日本新人王トーナメントはこの男が主役だったと言い切れる結末。
強いと言われながら勝てない時期が続いたが、
全階級通じて最強と目された相手を撃ち破ってその実力を証明した。
ここからは大本命として各地の新人王達と戦っていく。
まだまだ、巻き起こすべきドラマは残っている。
犬塚 琉樹 3戦2勝(2KO)1敗
藤本 翔大 9戦3勝(2KO)3敗3分
【スーパーバンタム級4回戦】
■2025年度中日本スーパーバンタム級新人王決勝
高橋 梨久(トコナメ) vs 鈴木 蒼平(とよはし)
サウスポー対サウスポーの戦い。
頭低く沈み、右のオーバーを見栄えよく当てる高橋。
押し込みながら手を集めていく鈴木。
押し込むのは鈴木か。明確なヒットは高橋か。
もみ合いのようになる中で時折、高橋が足を使ってリセット。
入って来る鈴木のボディを強烈に捉える。
ラウンド終了間際には両者激しく撃ち合って試合前半を終了。
高橋が鈴木を押し込み始める。
四つの撃ち合いは互角だが、見栄えも数も高橋か…。
撃ち合いの続く試合…試合会場の熱気も高まっていく。
最終ラウンド、時間が経過するごとに猛烈な撃ち合いへ。
前後に動きながら高橋がヒットを奪うが、回転がいいのは鈴木の方。
頭をつけてのものではなくとも、両者好戦的に戦い抜いて4Rが終了。
マイジャッジ 38-38 ドロー
公式ジャッジ
39-37 鈴木
39-37 高橋
38-38 ドロー
試合結果は1-1でドロー
優勢点は…鈴木へ。
規定による勝者扱いで鈴木が中日本新人王獲得となった。
サウスポーのファイター、高橋が新人王決勝の舞台でまたも熱戦を演じた。
勝利まであと一歩…惜しくも引き分け優勢点敗退だったが、これでB級昇格の権利は獲得。
元々は6回戦へ上がる選手だとは感じていなかった選手。
まなべ ゆうた(天熊丸木)戦あたりからの急成長もあり、勝ち越し状態でB級昇格は正直まさか。
マニアの目を覆す戦いぶり。
中日本新人王は叶わなかったものの、新しいステージへと進んでいく。
今年一番の混戦階級を勝ち抜けた鈴木。
アマチュア土台のあるニューフェイス、叩き上げの激闘派…
それぞれを紙一重の接戦で勝ち抜けての中日本新人王を獲得。
一番読めなかった階級でたっぷり経験値を積んで主役へと躍り出た。
ここから…より強者ひしめく新人王対決へ。
上の舞台ではダークホースとしての立ち位置と感じる。
一人ひとり撃ち倒し、全国区の選手へとなってほしい。
高橋 梨久 6戦3勝2敗2分
鈴木 蒼平 4戦2勝(1KO)2敗1分
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