2025/03/29 -愛知・愛知県国際展示場- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2025/03/29 -愛知・愛知県国際展示場- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【50kg契約6回戦】
ナタノン・トーンチャイ(タイ) vs 入田 力斗(ワタナベ)


ジャブを刺し合う立ち上がり、潜って左右ボディを叩きつけたのはナタノン。
中盤以降、左右フック、えぐるような斜めの角度のアッパーなど入田が襲い掛かる。
ナタノンも反撃のフックを思い切り撃ち込んでスリリングなシーンを演出するが、
入田の怒涛の攻めに、ナタノンが押し込まれていく。


2R、ナタノンの返す刀の左フックが強烈に刺さる。
入田の拳は強烈にナタノンを襲うが、ナタノンは耐えながら撃ち終わりに強打を返す。
後半に向かうほど、ナタノンの手数が増えていく。
ラウンド終了間際にはヒヤリとする右ストレートが入田を捉える。


3R、飛び込んで強打を上下に打ち込む入田だが、明らかにそこを狙って強打を返すナタノン。
もらってもその後を連打で押し返すナタノン。
ラウンド終盤に入ると、入田の攻めが落ち着き、組み立てなおすように左を付き始める。


4R、真っ向からの撃ち合いが続いてきたように思える試合だが、
入田が外してから撃ち込む場面が増えていく。
距離は近いところから、ミドルレンジでの攻防が増える。


5R、足を使いながら入ってくるところに合わせる入田。
不意を突いての右ストレートも綺麗に刺さるが…。
撃ち終わりにナタノンの右が突き刺さり、入田が足をばたつかせる。

入田が空転させはじめたかに思えたが、そうそう思い通りにさせてもらえない。


6R、ジャブから入ってくるところに強打を入れていた入田だったが、
中盤にはコーナーに追いつめて立て続けに強打を叩きつける。
ナタノンの返す強打も変わらずスリリング。
試合終了目前、クリンチ際の後頭部への打撃で、ナタノンへ減点。
決定的な減点が入って、試合は終了。


マイジャッジ 58-55

59-54×2
58-55

3-0 勝者:入田


前半終了時点のマイジャッジはナタノンリード。
大差とはなったが、勝負の分かれ目と思える場面がいくつもあった試合。
日本のホープのデビュー戦、タイから来た歴戦の戦士が苦しめた…といった印象。

入田の攻撃にタフにタフに立ち向かい、効かせる場面も作った。
被弾にひるまず拳を振るったナタノンがこの面白い試合を創り上げたとも感じた。
また日本でその勇敢な姿を見せてほしい。


相手は日本で2戦2敗のタイ人選手。
しかし、異国での勝利に向かい、あわやを思わせる拳を振りぬいてきた。
プロの怖さは随所にあったはず。
デビュー戦から、このタフな相手に勝利を収めた入田の今後が楽しみになった。


ナタノン・トーンチャイ 19戦13勝(11KO)4敗2分
入田 力斗 1戦1勝

 

【スーパーフライ級8回戦】
花田 颯(KWORLD3) vs イェロゲ・グラ(比)


ガードを固めてジリジリと前進し、グラの撃ち終わりを襲う花田。
この試合の勝負所を至近距離に設定したか、
細かくワンツーを飛ばすグラ、花田が近づくまでに手数を飛ばしていく。


2R序盤、花田の左にグラが大きくバランスを崩す場面が訪れるが、
ここでグラは無理せずクリンチに逃れる。
その後もジリジリ詰める花田だが、花田のプレスをかいくぐりワンツーを飛ばすグラ。
強烈なボディを突き刺す花田だが、手数で大きく差ができていく。


3R、迎え撃つグラが花田を強烈に捉え始める。
リングを大きく使うグラに、花田が強打でボディを襲っても
スルスルとその場を抜け出して後続打は湯rしてもらえない。


4R、しつこくしつこく詰めていく花田。
変わらず手数で上回られるものの、強打で襲うタイミングは増えていく。
強烈にボディを叩いても、巧みなクリンチにからめとられる。


5R、ロープに強引に体ごと押し込み始めた花田。
押し込む時間を多く作ることで、グラが手を出す時間も制限され、
手数でもヒットでもようやく上回り始める。

かつて韓国人ファイターが猛威を振るった時代、
南米のテクニシャンを封じ込めたTheコリアンファイトさながら。


6R、近い距離も巧みなグラだが、密着するまでは手数の差も相まって
グラがヒットを奪う場面が目立つ…。
花田からすれば、あとはどれだけ至近距離の時間を増やせるか。

この時点、ポイント差はかなりきわどく思える。
マイジャッジは4ポイント差でグラ…ダウンなしでは挽回不能。
見方によっては大窮地とも言える。


7R、ぐいぐいと詰める花田に、グラの手数も原則。
落ちたというよりは手を出させてもらえないような印象。
攻めに攻め続けるなか、グラの反撃を綺麗に外す場面も。
花田がノッてきた印象。


8R、最終ラウンド。足も鈍くなったグラを花田が追いかけていく。
詰めて詰めての戦いぶりは変わらず、主導権は花田。
ヒットや手数に重きを置けば採点は拮抗している可能性もある。

花田が、最後まで攻め続けて試合終了のゴング。


マイジャッジは77-75 グラ

78-74
79-73
77-75

3-0 勝者:花田


マイジャッジはグラにつけたが、結果的に最大限グラ有利に振ったようにも思える。
スイングラウンドも多く、79-73花田も納得できるように思えた。


これで2戦連続で日本のリングに上がったグラ。
前回以上に実力があることは見せてつけてくれた。
巧みに巧みに試合前半の主導権を握った。

この展開を、この相手をまくり上げた花田がすごかった。

まるで90年代の世界戦を見ているようだった。
巧い相手を攻略する典型のような戦いぶり。
古いファイターは皆、体の柔らかさや技術でかなわない相手に、突っ込んでがむしゃらに未来を切り開いた。

若きボクサーが、名ボクサーを彷彿とさせる戦いぶり。
クラシックな香りも漂う姿に胸が熱くなった。


花田 颯 4戦3勝(1KO)1敗1分
イェロゲ・グラ 10戦8勝(3KO)2敗1分

 

【フェザー級8回戦】
岡本 恭佑(HKスポーツ) vs マイケル・ダスマリナス(比)


頭一つ大きな岡本、サウスポーのダスマリナスと対峙するが遠いか。
緊張感高く拳を出し合う中で、お互いにボディを叩き合う。
終盤はダスマリナスがぐいぐい出てくるが、しっかりと距離を維持する岡本。
まずはボディの数でダスマリナスが先行したか。


2Rも出てくるダスマリナスに、下がりながら戦う岡本。
岡本の右ストレート、ダスマリナスのボディから左アッパーなど、上へのヒットも増え始める。
お互い強烈に放ってはいるが、このラウンドも数でダスマリナスが上回るか。


3Rは岡本が先に先に攻め、展開を覆し始めたか…と思いきや
ダスマリナスが撃ち終わりを丁寧に返し、下から上へ強烈に襲ってペースを奪っていく。
終盤、岡本が押し込まれる場面が目立つ中でラウンドが終了。


4R、ボディを中心に重厚に攻め立てるダスマリナス。
ロープに詰まる場面も増え、岡本が押し込まれている印象。
ボディで体が折れる場面も多くあり、印象もかなり悪いもらい方。
逆転につながりそうに思える強打も返すが、ダスマリナスは揺らがず。

ラウンド後半、ダスマリナスのパンチを外してコンビネーションを浴びせる場面を作った岡本。
劣勢の中、状況を打開できるか…。


5R、変わらず攻めてくるダスマリナスに、突然の瞬間が訪れる。
距離のないところ、横から突き刺すような右ストレート。
そのまま前のめりに崩れ落ちたダスマリナス。

意識を刈り取る一撃にレフリーは即座に試合をストップ。


TKOタイムは5R 1分18秒


たった一撃で試合をひっくり返した岡本。
格上相手にまさかまさかの大逆転KOを演じた。
ダスマリナスが強いことは少しボクシングに詳しい人間なら誰でも知っている。
劣勢に立たされた岡本に、「やっぱりか」との思いもあった。
そもそも、現時点でダスマリナスと対峙することに対し、その意図がわからなかった。
自信過剰なのかとも思った…それもこれも岡本が勝つとは思えなかったことが前提にある。

勝利者インタビューで「ここにいる9割が勝てないと思ってたでしょ」と。
少なくとも僕は岡本が言う通り、勝てないと思っていた。

その拳で…一瞬で、その見る者の目をフシ穴にして見せた。
これが、ボクシング…拳二つあれば何もかもを覆せる。
見たかと言わんばかりのKO劇…心底しびれた。


岡本 恭佑 12戦10勝(7KO)1敗1分
マイケル・ダスマリナス 42戦36勝(25KO)4敗2分

 

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