2020/09/27 -静岡・ふじサンメッセ- 1試合目、2試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級4回戦】
プリンス 藤原(駿河男児) vs 会津 聖哉(とよはし)
プリンス 藤原 2戦1勝(1KO)1分
会津 聖哉 デビュー戦
頭一つフレームの大きな会津…とにかく射程が長く、足とジャブで藤原を遠ざける。
強烈に長い右ストレートを突き刺すが、藤原はしっかりとこれをブロック。
右フックを貰いながら懐に潜り込むと、右フックをやり返す。
ジャブを飛ばしても届かない藤原に対し、会津は右ストレートを突き刺してサイドにまわる。
藤原が潜り込もうとする場面ではアッパーを撃ち込み…最初の主導権は会津かと思えたところで、
藤原が踏み込んで、食らいつくような右フックで会津の顔面を弾き飛ばす。
会津もまた、藤原の入り際に強烈な右アッパーを突き上げて譲らず。
ジリジリ詰める藤原、足を使って長い距離を保とうとする会津。
ラウンド終盤には会津がロープに詰まったところで二人が激しくパンチを交換する場面が散見される。
撃ち合う場面でも、鋭利に飛ばされる会津のパンチが藤原を捉える場面が目立つ。
2R、前のラウンド終盤から距離が近づく場面が増えた二人。
徐々に徐々に藤原が圧を強めてきている…二人のパンチが交錯する場面が増えていく。
序盤こそ、会津がアッパー、ワンツーで藤原の顔面を捉える頻度が多かったが、
ガードを固めて貰いながらも前進してボディを襲い始める藤原、会津がクリンチで止める場面が増える。
まだヒットでは会津が上回っているか…しかし、ペースとしては藤原に移ってきているように感じる。
3R、会津の長いパンチをしっかりとガードで受け止めながら、上半身柔らかくかわし始める藤原。
慣れて来たか…ズイズイ詰めて左フックを浴びせる。
しかし…藤原がロープ際に追いつめて撃ち合いに引きずりこんでも、
会津は長い腕を折りたたんで、回転よく藤原を捉える。
そんな中、リング中央で追いかける藤原が飛び掛かるように浴びせた右クロスで、会津が体を折る。
効いたか…ここから足が止まった会津に対し、もらいながら詰めて、撃ち合いに持ち込む藤原。
数多く捉えるのは会津の方、しかし、藤原の方が一発一発が強く、バランスを崩すのは会津。
中盤に入り、藤原の放った右ストレートが強烈に顎に刺さり、明らかに意識を飛ばされた会津。
後ずさりしながらなんとかダウンを耐えた会津に藤原が襲い掛かる。
ここはなんとかクリンチで逃れたものの、再開後、いきなり左フックを突き刺し、
会津の腰が落ちると、とどめの右アッパーで、会津が崩れ落ちる。
立ち上がったが、足元のおぼつかない会津に、レフリーは試合をストップ。
TKOタイムは3R、2分7秒
長い射程を最大限に活かすアウトボクシング、入ってきたところを襲う回転力。
会津のボクシングには今後楽しみにしたくなる部分が数多くあった。
入り際を捉えるアッパーはタイミングも良く、入ろうとする相手にとってはかなり厄介。
この試合は、止まらなかった藤原を褒める試合だったように感じる。
会津は決して、弱い相手に敗れたわけではない。
今後を楽しみにしていたいと思う。
藤原は前戦と同じく、試合開始から時間が経つごとに、徐々に相手を飲み込んで行く強さを感じた。
試合開始時点、ほとんど入ることのできなかった展開をしつこくプレスし、
徐々に徐々に距離が詰まる時間を増やしていく…。
展開を一気に変えた3Rの右ストレートは、藤原がその瞬間を創り出したようにも見えた。
早く長いラウンドが見たい…B級昇格まであと1.5勝。
駿河男児の叩き上げ…掘り出し物的な匂いを感じてしまう。
【スーパーバンタム級6回戦】
木村 天汰郎(駿河男児) vs 横山 渉(厚木ワタナベ)
木村 天汰郎 6戦4勝2分
横山 渉 13戦4勝(3KO)8敗1分
お互いに距離が遠い1R、横山の撃ち終わりに木村がボディーストレートを
突き刺したのが最初のはっきりしたヒット。
ジャブを刺し合う中、中盤あたりから横山が前に出始めると、
木村が左フックをひっかけてサイドに回る場面を何度も作る。
2R、出てくる横山を木村が捌く展開。
時折、木村からグッと詰めて強烈に左フックを突き刺す場面も。
しかし、次に木村が詰めた場面では、横山が強烈に左フックを撃ち込んでやり返す。
一旦距離が空くと、横山が入って来るところに右を撃ち下ろし、
さらにジャブに対してクロスを被せる木村。
横山がクリンチの離れ際に拳をヒットさせた場面はあったものの、
木村のヒットアンドアウェイが、はっきりと横山を空転させる。
3R、このラウンドも足を使う木村を横山がジリジリ詰める。
木村は詰まったところで強烈に撃ち下す。
さらに、ラウンド中盤には右ストレートを強烈に突き刺して横山が一瞬フリーズ。
ここで一気に襲い掛かるが、ここは少し焦ったか大きすぎる攻撃に、後続を横山にかわされてしまう。
さらには距離が詰まってもみ合いになったところで、横山が強烈に左フックを浴びせる。
いったん仕切り直すも、ここで落ち着きを見せた横山。
木村が距離のある所から入って撃とうとするタイミングを狙い撃つ。
この試合初めて続けてもらう形になった木村…足を大きく使って、落ち着きを取り戻し
強烈な左フックを浴びせるなど試合の展開を引き戻す。
4R、ここまで木村に距離を取られ、手を出す隙もわずかしか与えてもらえなかった横山だが
より強引さを増して詰めることで、これまでより手数が増す。
これまで以上に被弾も増えるが、木村のボディを捉える場面も出始める。
試合はまだ折り返し地点…疲弊を招けば、勝機はあるように見える。
5R、より横山が詰める場面を増やしていく。
やはり、その分被弾も増え、強烈にボディを叩かれる場面も目立つが、
逆に横山が木村のボディを叩く場面も増える。
倒さなければ勝ちは厳しい状況に、被弾構わぬ前身を繰り返す。
6R、足を使って逃げ切りに入る木村。
時折ジャブやワンツーを浴びせつつ、大きく足を使ってリング上を走る。
こうなると横山のアタックもなかなか届かない。
まさに攻めあぐねる展開のまま、木村が完走する形で試合は終了のゴング。
マイジャッジ 60-54 木村
公式ジャッジ
59-56
60-54
60-54
3-0 木村
横山のアタックを木村が完全に捌き切った試合だった。
横山が攻め場も与えてもらえず、封じられてしまった試合。
しかし、18分間に渡って詰め続けた横山…木村が失速するようなことがあれば
一気に展開を持っていく状況も考えられたがそうはならず…。
被弾しながらも、可能性を残し続けた姿は、やはり魅力的だった。
対して木村、まさに完遂といった感じの試合内容。
相手の攻撃を外して、自分の攻撃を当てる…まるでゲームを楽しむような戦いぶり。
B級で1勝1分となり、これで次の試合、引分け以上でA級昇格。
…そうなれば待ち受けるのはさらなる強豪たち。
さらに高いグレードで、今日のような戦いぶりを見せることができるかどうか…。
そして、A級昇格までに残された0.5勝をすんなり勝ち上がれるのかどうか。
センス溢れるそのボクシングが、どんなドラマを描くのか、楽しみにしていたいと感じる。
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