2023/10/22 -静岡・ツインメッセ静岡- 第5試合～セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
全編アーカイブ映像は以下から
【女子52.1Kg契約4回戦】
高木 千尋(薬師寺) vs ○ 福家 由布季(三迫)
4RTKO
戦前通りお互いの猛烈な手数で幕を開けた試合。
福家が元プロレスラーでフィジカルの強いはずの高木を押し込んで行く。
下がりながらも応戦する高木だが、
お互いの拳が交錯し合う中で右フックをアゴに浴びてダウン。
立ち上がった高木に襲い掛かる福家の猛烈な手数に
レフリーは時折腰をかがめるように反応する。
反撃を返す高木の手が止まれれば、即レフリーストップもあり得る展開。
しかし、そこから高木が「もらっても殴る」ように強烈に反撃し
猛ファイター福家を下がらせる場面も見せる。
3Rに入ると、足を交えて高木を翻弄しながら拳を浴びせる福家だったが
パンチが活きる距離の時間が増えた分、高木の強烈な左が突き刺さる場面も。
スイングとなった2,3R…福家がフルマークの可能性もあれば、ポイントが並んでいる可能性もある。
最終ラウンド、ここにきて福家がギアを上げて一気に攻め立てる。
手数が落ちた高木をコーナーまで押し込んだ所でレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは4R 1分11秒
猛ファイター同士の激突だったが、ファイトの幅が福家に分があった。
しかし…前回北陸のリングに上がったときにはなかった幅。
信じられないほど、彼女のボクシングは分厚くなっていた。
端的に言えば「猛烈な撃ち合い」も、先に仕掛けていたのは福家の方。
上下に撃ち分け、相手に撃たせ、距離を試し…。
しかし、この大きく開いたボクシングの幅を「もらっても殴る」で縮めていった高木。
左で強烈に捉えて福家が下がる場面は、効かされての後退にも見えた。
ここにもまた信じられない景色が広がっていた。
これで中日本の有望選手を2人撃破した福家。
これからの道のり、登り詰めて行って欲しい。
この伸び幅を見せれる選手…きっとそうなると思えた。
そして、またも驚愕の試合を刻み付けた高木。
刈谷の激闘女王の名にふさわしい戦いだったと思う。
高木 千尋 2戦1勝1敗1分 サウスポー
福家 由布季 3戦3勝(2KO)
【55Kg契約4回戦】
藤本 翔大(LUSH) ○ vs 川合 絢也(西遠)
1RTKO
接近して小さくまとめる川合に対して、ジャブで遠ざける藤本。
技術的に高い二人、布石を敷くように拳を突き出しながらの攻防の中
藤本の左がロングアッパー気味に突き刺さり、川合が後退。
追いかけてワンツーを突き刺した藤本がダウンを奪取。
立ち上がった川合に対してラッシュをかける藤本だが、
巧くいなしてクリンチで流れを切る川合。
仕切り直しての攻防、藤本の右ストレートが刺さると、川合が崩れるようにダウン。
レフリーはカウントせずに試合を止めた。
TKOタイムは1R 1分44秒
川合は後半に強い選手。
序盤に様々な情報をインプットすると、豊かな技巧で主導権を握っていく。
しかし、そのインプットの時間を与えることなく1Rで仕留め切った藤本が強かった。
効かされながらも、うまくクリンチで逃れた川合には流石と思わされたが、
仕切り直してから、しっかりと倒し直した藤本。
いずれも軽く出したように撃ち込まれたパンチが強烈にヒットしてのもの。
「これで？」と思わせるパンチで相手を沈めるのはハードパンチャーの証。
涙を見せながら勝利の味を噛み締めた藤本。
初勝利は「もう一度」の欲求を強くする。
ここからさらに進化する材料は得られた。
歴戦の川合が決して弱い相手に負けたわけではないことを証明して欲しい意味も含め
ここから藤本の大逆襲に期待して行きたい。
藤本 翔大 5戦1勝(1KO)2敗2分
川合 絢也 6戦3勝(1KO)4敗
【スーパーフェザー級6回戦】
山辺 蓮(市野) ○ vs 原口 秀司(リングサイド)
3-0(60-54、60-54、60-54)
山辺 蓮 8戦7勝(6KO)2敗
原口 秀司 9戦5勝(2KO)3敗2分
常磐から丁寧な出入り、上下への撃ち分けを見せる山辺。
左ストレートを上下に撃ち込み、強烈にヒットを奪うと一気にパンチを纏める。
原口が足を使えば追いかけて左を突き刺す。
あらゆる場面で原口を上回っていく。
原口が攻勢を強める場面での被弾はあるものの、必ずやり返して攻防を終えて行く。
出入りで原口のパンチを外し、丁寧にジャブを突き刺していく山辺。
撃ち合いで分が悪くなれば、スッと引いて主導権を渡さず、落ち着いて展開を作る。
グレーなラウンドができても、冴えわたるジャブでヒット数では確実に上回った山辺。
試合はそのままフィニッシュ…マイジャッジは立ち上がりの1Rを原口に振った59-55で山辺。
公式ジャッジは60-54×3のフルマーク。
全くと言っていいほど主導権を渡さなかった山辺。
全てKOの戦績だが、アマ時代にはテクニシャンと言われた選手が、
その技巧とIQを如何なく発揮し、はっきりと強さを示した。
行き過ぎて不要なパンチをもらう悪癖もこの試合では出ず。
丁寧な出入りと冴えわたるジャブでの試合の組み立て。
初の判定勝利となったが、これまででベストの試合を残したように思う。
対して原口は、山辺に完全に封じられた格好に見えた。
これまでの戦いぶりで強いことはわかっている選手。
「あの原口」に対しての完封劇だからこそ、山辺の強さが際立った。
A級戦線でもやれると思える選手。
待ち受けるだろうランカー挑戦など、ここからの活躍に期待したい。
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