2024/11/17 -静岡・アクトシティ浜松- 第3試合、第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級6回戦】
時弘 将志(とよはし) vs 中本 豊(結花)
遠い距離から前の手をぶつけ合う立ち会がり。
タイミングを測り合う中、時弘が踏み込んでボディへストレートを伸ばす。
フェイントを掛け合う時間が続く中、時弘が踏み込んで拳を当てる場面を多く作る。
2Rに入ると中本がガードを固めて前に出る。
時弘を押し込み、ひたすらにボディを叩いていく展開。
押し込まれる時弘だが、終盤ミドルレンジの攻防になると
強烈に右ストレートをヒットさせる。
3R、詰めようとする中本に、距離を維持しようとする時弘。
中本が詰めるまでの攻防では時弘が上回り、顔面をコンパクトに鋭く捉えていく。
鼻血を吹き出す中本、詰めた先でも時弘がアッパーで中本を捉えると
コンパクトな連打で押し返すようになる。
中本は手数は落ちたものの細かいボディ連打から力のこもった強打で対抗する。
4R、しつこくしつこく前に出る中本だが、
時弘が下がってパンチが生きる距離を作りながら手数旺盛に捉えていく。
相手をかわすための下がり方ではなく、手を出す距離を作るための下がり方。
5R、どんなに被弾しても前に詰めていく中本。
ここにきて、時弘の下がり際に右ストレートが当たるようになる。
ここに活路を見出すか…被弾を重ねながら前に出続け
わずかに光が見えたようにも。
6R、残り3分、時間はわずかだが、一瞬で勝負がつくのもボクシング。
ひたすらに詰め続ける中本、最後の最後まで前に出て手を出す。
押し込まれかける時弘もロープ際で右を突き刺しながら体を入れ替えるなど
巧みに対抗しながら、足の動きも手数も落ちることはない。
両者そのまま走り抜けるように試合終了のゴング。
マイジャッジ 59-55 時弘
公式ジャッジ
59-55 ×2
60-54
3-0 時弘
これまで中日本で何度もその雄姿を見せてきた中本が、
また胸が熱くなるような戦いぶりを見せた。
出れば出るほど撃たれる展開も、5Rにはわずかながら勝ち筋を見出したように思えた。
勝利には届かなかったが、18分間を貫いたことが大きな進歩を産んだ。
プロとして、客席へ何かを与える仕事は成したように思う。
勝利者インタビューで「負け越しにも意地がある」と答えた時弘。
それを充分に感じ取れる試合だった。
最後まで落ちなかった手数、動き続けた足。
負けを重ねる中、結果が出ない中、どれだけ走り続けたか。
「走ってない奴に手数は出ない」
格言的な言葉だが、それを強く感じさせてのB級初勝利。
頑張った…時弘、頑張り続けてA級まであと1勝。
時弘 将志 12戦4勝(1KO)6敗2分
中本 豊 13戦4勝(3KO)9敗
【フェザー級6回戦】
冨田 風弥(TRIBE SHIZUOKA) vs 高島 裕樹(宮田)
お互いに距離とタイミングを測り合う、オーソドックスvsサウスポーの立ち上がり。
接触はわずかながら、高島がダイレクトの右からヒットを奪う。
長身の冨田が距離を取り、高島が待ち受ける展開。
2R、冨田が踏み込んで右フックを叩きつけるが、高島はそこにコンビネーションをぶつける。
冨田が踏み込む回数を増やし、ボディから顔面へ力強くパンチを浴びせた中盤。
高島がうまくかわしてパンチをまとめた終盤。
3分間で濃密に流れが入れ替わる。
3R、冨田が追いかけながら高島が下がる展開。
お互いに巧みに上をかわし合う中で、冨田はボディから叩いていく。
さなか、高島の右フックが強烈に冨田を捉え、冨田の足元が揺れる。
畳みかける高島に、冨田は撃ち合いで対抗して窮地を脱出。
4R、冨田が前に出て、軽打のコンビネーションでヒットを奪い始める。
入ってくるところを叩く高島だが、冨田がコツコツと手数で上回る。
時折力のこもった右フックも見せ、冨田が相手に傾いた流れを引き戻す。
5R、冨田が積極的に前に出て手を出していく。
上体柔らかくかわし、拳を返す高島。
ラウンド後半に向かうにつれ撃ち合いの色が濃くなり始めるが
受けて返す側の高島が手数でやや劣るか。
最終ラウンド、より積極的に出る冨田。
高島の返す拳をカウンターでもらう場面も目だつが
それ以上に、豊富な手数でヒットを奪っていく。
最後はがむしゃらに攻めた冨田がスリップで手をついたところで終了のゴング。
マイジャッジは57-57
公式ジャッジ
58-56 高島
58-56 冨田
57-57
1-1 ドロー
序盤の駆け引きの攻防で上回った高島。
後半、冨田が手数でまくり上げた格好に見えた。
過去、中日本のリングでは不運なKO負けも含め、撃たれもろさを感じさせていた高島。
この日は上体柔らかく冨田のパンチをかわし、強烈な被弾は数えるほど。
欠点を受け入れ、そのうえで進化していく姿を感じさせた。
6回戦での戦績を1勝1敗2分とし、引き分け0.5勝換算で2勝分の戦果を挙げたこととなる。
A級昇格の権利を手に入れ、さらなる高いグレードでの勝負。
きっと戦っていける。
東日本からの吉報を楽しみにしていたい。
長身サウスポーの冨田もこれでB級1勝5敗2分でのA級昇格。
まだ育ち切る前に獲得した全日本新人王の肩書き。
勝てない時期を重ねながら、A級昇格の戦績にたどり着いた。
この日は劣勢に立たされながらも、強弱をつけた手数で盛り返した。
打開策の引き出しは、戦ってきた蓄積があったからこそだと感じる。
悔しい思いをした分の強さはしっかりと手に入れている。
まだ育ち切ったとは思っていない。
これからさらなる蓄積でより高い位置へ上ってく選手に思える。
不利予想を覆し続けた4回戦時代の冨田。
彼が再び「ミスターダークホース」と呼ばれる日を心待ちにしている。
冨田 風弥 15戦7勝(2KO)7敗2分
高島 裕樹 16戦6勝(3KO)8敗3分
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