ブラジリアン貴公子 太田 アレックス(西遠) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/10/09

ブラジリアン貴公子 太田 アレックス(西遠) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/10/09
 
 

太田 アレックス(西遠)
 

青い目をした静岡の日系ブラジリアンボクサー。
この男が演出してきたドラマは、ライバルのマンモス 和則(薬師寺)のドラマと絡み合い
中日本の4回戦ファンを熱狂させた。
 

2016年12月。
デビュー戦の相手は、今年の中日本ミニマム級新人王として
中日本・西部日本新人王対抗戦に出場したブル 弘師(トコナメ)

手数で対抗するファイターのブルに対し、何度も顔面を跳ね上げ、
一回り上の力を魅せて試合を制したデビュー戦勝利。
プロとしての一歩目を踏み出した。
 

2017年3月。
2戦目では現在日本ランカーとなっている井上 夕雅(尼崎亀谷)と対戦。
有望選手の集結した2017年の全日本ミニマム級新人王をノーマークから制することになる選手である。

4Rに渡って、強烈に効かせ合った試合、3Rにはアレックスが止められてしまうかと思うほど
フラフラになりながら、最後の最後、試合終了直前には井上を追い込んだアレックス。
お互いにダメージを刻み合った試合だったが、井上がしっかりラウンドを抑えており判定は井上に。
アレックスは負けながらもその強さを誇示した形となる。

これで2戦1勝1敗。
2017年の新人王トーナメントには不参加だったアレックス、次戦は秋が来るまでお預けとなる。
 

中日本新人王トーナメントが終わり、さらに中日本・西部日本新人王対抗戦が終わったころ…
驚きのニュースが飛び込んでくる。
 

「アレックスがマンモスに喧嘩を売った。」
 

この年、中日本ミニマム級新人王を制し、MVPを獲得していたマンモス 和則。
中日本・西部日本新人王対抗戦でガス欠の末に敗れていたマンモスを名指しで対戦要求したというのだ。

地方の4回戦ボーイながら、日本国内の軽量級であれほど強烈な右フックを持つサウスポーはいない。
さらに、大振りの右フックの次に飛んでくるシャープな左ストレートは試合を終わらせる威力…。
スピードもあり、足も使える…ただ、スタミナに弱点を持つ極端なボクサーではあるが。

誰もマネできない武器をいくつも持つ相手。

とは言え、地方の4回戦というローカルな舞台。
勝てば熱心なファンは惹き付けられるだろうが…波及する効果を考えればただただリスキー。
ガス欠で敗れたマンモスを見て狙い目と見たか…それとも他の理由か。

「試合会場で会うといつも笑って挨拶してくれていたのに何で…」
マンモスが直後に漏らした言葉である。
 

対戦要求を受けて立ったマンモス。
この試合、2017年に僕が観戦した試合の中ではトップ3に入る熱戦だった。
 

1Rのゴングが鳴った瞬間、アレックスの意図は伝わった。
ガス欠させるつもりなら空回りさせようとするはず。
アレックスはマンモスの強打の射程圏内に踏み込んでいく。

…ただ、強いと思う相手とやりたかった。
あまりにも純粋なボクサーとしてのアレックスの思考。
これまで、あまりの強打にまともに撃ち合う選手が皆無だったマンモスのキャリア。
アレックスの存在が、マンモスのキャリアに新たな色を加える。

両者の右フックがお互いの顔面を捉え合い、二人が同時にストーンと腰を落とす。
…あわやダブルノックダウン。
マンモスにとって、キャリア初の壮絶な撃ち合いが幕を開けるとともに、
二人のライバル関係が成立した瞬間だった。

マンモスのダメージは深く、クリンチに逃れようとしながらリングに転がるスリップ。
そんなシーンを繰り返しながら迎えた2R。
マンモスの左ストレートがアレックスに直撃。
しかし、失神してもおかしくないと思えるような威力のパンチをまともにもらいながら、
アレックスは攻め返す。
アレックスのラッシュにラウンド終盤にはガードを固めてやり過ごしたマンモス。
弱点のスタミナも切れてきた…このまま判定になれば、アレックスが優勢だろう。

そんな状況の3R、フラフラになったマンモスに対し、アレックスがとどめを刺しに出る。
一発のあるマンモスが相手…刺せるべき時にとどめを刺すのは、選択肢として正解と思えた。

ロープに追い込んで一気にラッシュ…しかし…
このラッシュを丁寧にガードしたマンモスが突如振るった大きな右フック。
カウンターで突き刺さった猛烈な強打で千鳥足になるアレックス。

ここからマンモスのいつものKOパターン。
嵐のような強打の連続からトドメの左ストレート…。
顎を貫いた一撃でアレックスがリングに沈む。

数えられるカウント…
「止めろぉぉぉぉぉ!!!」
衝撃的過ぎるKOシーンに、思わず叫んでしまう。
カウントは途中で止まり、勝者の宣告を受けるマンモス。

まるで漫画のような試合。
この試合を脳裏に焼き付けたファンは多かったはずだ。
 

そして迎えた2018年の中日本新人王トーナメント。
エントリーにはマンモスとアレックスの名前が。
4名エントリーの対抗ブロック。
お互いに1勝すれば、二人は決勝で再戦することとなる。

春に行われた準決勝。
両者ともに相手を圧倒して決勝進出。
マンモスは、勝利者インタビューで叫ぶ。

「前の試合はラッキーパンチだった。もう一度、アレックス選手と戦いたいです」
 

どちらも全日本新人王候補レベルの選手であることを誇示して決勝の舞台へ。

「絶対に面白い試合になる」
そう言われた試合がそうならないことも多くある。
しかし…この試合は誰もが予想した通り、1戦目を超える大激戦となった。
 

待ちわびた二度目の戦い…お互い思い切りよく大砲から入り1発ずつ交わし合った直後。
マンモスの思い切り振った右フックとアレックスの右フックが交錯。
大きく振りすぎたマンモスがバランスを崩してキャンバスに手を突く。
マンモスにとってはよくあるシーンだが…
レフリーはダウンを宣告する。

いきなり運命を分けるシーン。

仕切り直しての攻防…お互いに少し離れたところからタイミングを測っていたかと思いきや、
マンモスが距離を詰めたところで、お互いに大砲を振り合い、マンモスの左が炸裂する。
尻餅をつくように今度はアレックスがダウン。

お互いにダウンを奪い合う…まだ試合は1R中盤。
この後、1Rはマンモスが試合を優勢に進めてラウンド終了のゴング。

一旦落ち着いた2Rを経て、3R…またも試合に火が入る。
アレックスが踏み込んだところにマンモスの左アッパーが炸裂する。
お互いに見合いながら、ビッグパンチを炸裂させるタイミングを漁っていた二人。
先に当てたのはマンモスの方だった。

効いたアレックスに対し、追撃の右フックでマンモスがダウンを奪取。
この時点、試合が決まったかに思えた。

しかし、再開後、倒しに出て振りが大きくなったマンモス。
ここをアレックスが堪えると、マンモスがスタミナ切れを見せる。

クリンチの頻度が増え、頭を付けての展開が増えてきたところ…。
アレックスが右アッパーを炸裂させていっきにパンチをまとめると、
潰れるようにマンモスがダウン。

この試合、両者合計4度目のダウンで劣勢を挽回したアレックス。

勝負の最終ラウンド、両者ダメージと疲弊で勢いは落ちる中、
マンモスの強打に鼻血を吹き出すアレックス。
ひん曲がった鼻と、マンモスの金髪を赤く染める大量の出血は、遠めに見ても折れていることが解る。
そんな中でも、手数を緩めなかったアレックス。

最終ラウンドをはっきりと獲って試合終了のゴング。
 

誰が見ても面白い試合…そんな大激戦の結果はドロー。
優勢点でアレックスが勝ち抜けとなった。
 
 

「強い選手と戦った方が、選手は強くなる」
…なんて言われることがあるが、であればアレックスがここまで強くなったのも
マンモスと言うライバルに恵まれたことが大きいのかもしれない。

怪我が気にかかるが、幸い西部日本新人王のライトフライ級はエントリーなし。
不戦で西軍代表決定戦に出場することとなり、時間的な猶予を得た。
 
 

マンモス派、アレックス派で客席も真っ二つに割れた2戦目のリング。
今、両者を応援していた者たちの気持ちは同じだろう。

太田 アレックスが全日本新人王を獲ることで、マンモスの株も上がる。
あの二つの激戦で、アレックスは客席にいたファンたちを味方につけている。

負けた方の思いも背負わされてしまうのがボクシング。
中日本のファンの為、自分の為、そしてライバルの為。
アレックスのこれからの戦いは、あの二試合を見た人々にとって、きっと特別なものになるはずだ。
 

ファンとして、ただ一言。
全日本新人王…獲って来てくれ。
 
 
 

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