松本 一也とクラシカル(雑) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/03/21

松本 一也とクラシカル(雑) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/03/21
 
 

 

松本 一也(松田)について。

過去このブログで取り上げた松本さん。

屈託のない笑顔が印象的で、リング下から戦いを見たものとして緊張のほぐれない僕を
笑わそうと身振り手振りで、試合中の失禁エピソードや、
自分がパンチドランカーじゃないかと疑った話をしてくれた。

キラキラした目で話しながら、ボクシングのこととなると目が変わり、
実践さながらの目つきになる。
 

苦しい練習も、走りも、青春真っ只中の話を聞いているようだった…。
 

自分の青春時代…大学時代で終わっているように思う。
彼の場合は現役生活を終える28歳まで、それが続いていたんだろうと思う。
羨ましい限りではあるけれど、それに伴う努力と犠牲を引き換えにして…であることは言うまでもない。
 

イーブンの戦績、6回戦で終わったボクサー。
特筆すべきはのちの世界王者と対戦したことと、のちの日本ランカーに勝利したこと。
戦績の羅列だけ見ればそうだけれど、たったそれだけじゃないんだよ…なんて思ってしまう。

彼の見せた熱戦のおかげで、僕は名古屋のボクシングを見るようになった。
 
 

 

意識が飛んで崩れ落ちる松本ほど美しいボクサーは、僕の記憶の中にいない。

シュガー・レイ・レナード(米)パーネル・ウィテカー(米)の華麗なボクシングの美しさとは違う。
衰えて醜くなったラリー・ホームズ(米)が、若い中堅ランカーに必死に勝ちに行く姿も美しいし、
まだまだ期待できた中、レナードとの試合できっぱり引退したマービン・ハグラー(米)の引き際も美しい。
だけど…生でこの目で見た松本の美しさは、映像で見るどんなスーパースターをも上回っていた。
 

ボクシングの美しさとは多種多様で奥深い。
 

世界の頂から見れば、センスの欠片もない松本が、田舎っぺの名古屋からやってきて
「名前を売ってやる」と時代遅れの不良のような言葉を吐きながら後楽園のリングに上がる。

そして、将来を期待させるセンスあふれる相手に、いいようにやられて負ける。
何が美しいか…、松本は絶対に腰が引けない。
 

古い時代からボクシングを見ている人が言っていた。

デビッド・レミュー(カナダ)でさえ、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)を前にすると腰が引けた。
 昔のボクサーはどんな相手を前にしても腰が引けない連中が大勢いた。」

「高山 勝成(仲里)の手数は凄いが、高木 永伍(アベ)の手数はその倍はあったんじゃないかと思える。
 後楽園が一体となって最初から最後まで、エイゴコールを繰り返すのが好きだった。」
 

この話をしてくれた方は、決して安直な懐古主義ではなく、
現在のボクシングも色濃く見つめていらっしゃる方。
僕の尊敬してやまないファンの方。

今のボクサーも大好きで、そんな中で自問自答しながら教えてくれた昔のボクサーの魅力。
僕の考えも100%解ってくれた上で、教えてくれた。
 
 

僕の考え…もちろん過去のボクサーを生で見れない自分は希薄な意見しか出せないのかもしれないけれど。
今のボクシングだって過去のボクシングと遜色ないと思っている。
 
 

 

後楽園のリングに上がる地方ボクサー。
いわゆる噛ませと言われる存在だったりすることも多い。
記憶の中の松本もやはり…噛ませだったと思う。

ただ、それは後楽園で迎え撃つボクサーから見た目線の話である。
後楽園に向かうボクサーの目線で言えば…ビッグチャンス。
噛みついてやる…喰ってやる…。

アマ実績が豊かなホープに、最後の1秒まで握りしめた拳を振りまわす地方ボクサー。
喰ってかかる噛ませ犬は…腰が引けない。
 
 

昔のボクシングのほうが面白い。
そう言われると、言い返してしまうことがある。

それはリングの外側の話だ。
リングの中のボクサーたちの思いは、何も変わらないんじゃないのか。
ロープの内側の熱気は、昔となんら変わりない。
外側でその熱気を受け取る側の問題だ…と。

ボクシングの質が下がったのではない。
ボクシングファンの楽しみ方が下手糞になっただけだ…なんてことを言ってしまうこともある。
 
 

言ったあとで、言いすぎかな…なんて思うこともある。
最近はタッチボクシングが増えたと言われるのも事実。
メイウェザーを筆頭として、触るようなパンチまでポイントに反映されてしまうという嘆き…。
 

でも、正直に言えば、「それを言うなら地方ボクサーのランカー挑戦を見ればいい」と思う。
ボクシングの上手さや駆け引きで太刀打ちできないポイント差を、
ひっくり返そうと必死に立ち向かっていくボクサーたちがいる。
 

オールドタイマー、懐古主義などと言うと、
頭の固いジジィが思い浮かぶけれど、そのジジィの気持ちも痛いほどわかる。
だって…きっと僕も同じものが好きだから。

松本 一也はボクシングの原点である、
「殴り合い」という核心に忠実なクラシカルなボクサーだった。
 

「あなたの恋い焦がれたボクシングは失われていない」と言ってやりたい。
 
 

 
 

昔のボクシングはホントに凄かったんだよって話は大好き。
でも、同じことを言っていたとして、「今のボクシングは昔と比べて劣っている…」
みたいな調子で言われると受け入れ難くなってしまう。

そんなことを言う人が、自分よりメチャクチャ詳しい玄人ファンだったりすることもある。
そんな時、心の中で、「松本 一也がいた」と思えることが救いだと思う。
 
 

彼の試合を見たことが、今の僕のボクシングファンとしての誇りになっている。
 
 

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