2026/7/26 -愛知・刈谷あいおいホール- 第5試合~第7試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【女子スーパーフライ級4回戦】
大坪 真実(名古屋大橋) vs 山本 綾美(パンチアウト)
序盤から前に出てくる山本。
右ストレートを叩きこみ合い、またも一歩も譲らぬ戦いとなる二人。
頭一つ大きな山本が押し込みながらの展開となった試合。
至近距離でのファイトとなると回転でわずかに山本が上回るか。
ロングレンジのストレートの撃ち合いではやはり互角。
3R、山本がカウンターの右ストレートを突き刺すと一気にパンチをまとめる。
手が出なくなる大坪に対し、がむしゃらに襲っていく。
前戦から拮抗したラウンドが立ち並んだ二人の戦い。
初めて、はっきりしたラウンドができる。
最終ラウンド、がむしゃらに山本が回転で飲み込んでいく中、被弾が積み重なる大坪。
山本が痛烈な右ストレートを突き刺したところでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは4R 1分29秒
終盤、一発当たれば猛烈なラッシュで攻め立てた山本。
下半身に力がなければあれだけの手数は出せないもののようにも思う。
この再戦に向けて両者努力してきた。
それはもちろん見て取れた。
ただし、勝負事、その比らべっこになる。
よりガムシャラに戦った山本、そしてそれができる体を作って来た山本。
綺麗に戦えればよし、ただし、それだけがボクシングではない。
熾烈に、ガムシャラに、殴り合って勝利をつかみ取った。
この日、大坪に勝利を得るために過ごした数か月間。
「勝てる」と見込んだ相手であれば、山本はここまでやれただろうか。
中日本女子ボクシングの中で抜群の存在感を誇る大坪に対して
しっかりとしたリスペクトを感じさせる戦いぶり。
こんな選手が一人いるだけで、女子ボクシングの構図が変わる。
選手数が少ない分、一人一人が担う役割は大きい。
今後、より強く、より輝いてくれることを期待したい。
そして、完全決着となったこの試合。
効かされてか、削られてか、大坪の動きは後半、一気に落ちた。
40歳だから当然…それが現実なのだろう。
ただ、それは織り込み済み、踏まえたうえでの大坪だ。
この年齢で数々のドラマを産みだしてきた選手。
いったんは休憩すると宣言した大坪。
いつか戻って来るとして、その時にはより年齢は重なっている。
そこでより強くなって帰って来る…なんてことは、大坪くらいしか考えられない。
大坪だからこそ、そんな未来も想像できる。
何を巻き起こすかわからない爆裂おばちゃんボクサー。
彼女が起こす奇跡を期待せずに待っていようと思う。
大坪 真実 6戦1勝(1KO)3敗2分
山本 綾美 3戦1勝(1KO)2分
【ウェルター級5回戦】
松岡 陸(浜松堀内) vs 山口 拓也(ワールド日立)
大きく身長で下回る山口がゴングとともに突っ込んでいく。
密着した距離でボディを削りに行くが、松岡も応戦。
強打で立て続けに顔面を捉えると、レフリーが早々に試合をストップ。
1R 18秒TKO
コーナーで唖然と佇む山口。
この試合まで、積み重ねたものもあっただろう。
明らかに普通の選手であればストップされないタイミング。
積み重ねた16度の敗戦、レフリーから「もう無理だ」と宣告されるような幕切れだった。
これを受けて、山口が、陣営が…どう判断するのか。
強烈なキャラクターである山口が刈谷で見れることに対して、期待の声は高かった。
楽しみにしていたファンにとっても、何か現実を知らされるような景色だったように思う。
コーナーに座った山口が、松岡の勝利者コールを切なく見守る表情が脳裏にこびりついた。
そして、この勝利でA級昇格となった松岡。
突っ込んでくる相手に対して、冷静に対処しての速攻TKO劇。
ただ、ここに向けて鍛えて来たものを出せたかと言えば
そういう試合ではなかったように思える。
ただ、それはきっと無駄ではないはず。
この先、より高いグレードでの試合が待ち受けている。
そこに向けて、着々と、一つずつ強くなっていかなければならない。
松岡の勝負所はきっとまだ先にある。
ランカー挑戦から、さらにその先へ…。
ここからのA級戦線での戦いぶりに期待したい。
松岡 陸 8戦6勝(3KO)2敗
山口 拓也 23戦4勝(2KO)17敗2分
【スーパーバンタム級6回戦】
横山 隼人(白銀) vs 高橋 梨久(トコナメ)
サウスポー同士の戦い。
ジャブからテンポよく立ち上がると後半に向けて熱を帯びていく。
いつもの高橋の試合…「左構えの激闘派」らしい試合となっていく。
強烈に振り込んでくる横山に対して、高橋が小さく鋭く撃ち込んでいく。
激しい試合となる中、中盤には横山が鼻血を噴出。
運動量が多くなる中で、横山の体力ロスが気になるところ。
後半に入ると、横山がジャブで作り直しに行くが、
高橋はカウンターのタイミングをはっきりと掴んだか、
痛烈な左ストレートを叩きこむ場面を見せる。
両者とも最終ラウンドまで動きは落ちず。
テンポよく、そして激しい撃ち合い。
常に足と頭を動かしながら撃ち合う高橋に対し、
横山も落ちることなく走り切るように戦い切った。
マイジャッジは60-54
公式ジャッジは60-54、58-56×2の3-0で高橋。
ポイントは大きく離れたが、凄まじい運動量の試合。
常に足と頭を動かし続けて各ラウンドのポイントをさらった高橋。
対して、横山は鼻血を吹き出しながらも、
その運動量に飲み込まれることなくラストラウンドまで対抗し続けていた。
敗戦はしたものの、「鍛え上げて来たもの」を感じさせる試合。
まだ20歳、いずれの飛躍を感じさせるには充分な戦いぶりだったように感じる。
有望選手は出て来るものの、A級に届く選手がなかなか出なかったトコナメ。
21歳の高橋が久々のA級戦士となるとともに、23歳までの選手が挑戦可能な
日本ユース王座への挑戦対象者になることとなった。
チャンスが大きく広がる勝利を手中にした高橋。
ここからさらに登っていく姿を楽しみにしたい。
そして、その激闘で全国のファンを感嘆させて欲しい。
それができるボクサーだと思っている。
横山 隼人 8戦3勝(1KO)4敗2分
高橋 梨久 10戦6勝2敗2分
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