2023/12/26 -東京・後楽園ホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記・番外編)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

■OPBF東洋太平洋女子アトム級王座決定戦/日本女子アトム級タイトルマッチ
【アトム級8回戦】
狩野ほのか(TEAM10COUNT)　vs　坂本望愛(大成)

狩野の方が僅かに距離が長いか、その僅かを狩野が維持し続ける。
入って行こうとする坂本を、ジャブと右ストレートで止め続ける。

2R開始直後、もらいながらも踏み込んで右ストレートを突き刺した坂本だったが
なかなか自分の距離にさせてもらえない。
坂本が入ることに成功しても、狩野は一気に密着し、密着戦でコンパクトにボディを叩く。

3R、序盤一度入ることに成功した坂本だったが、
以降は延々と狩野の長いパンチに入ることができない2分間。
ストッピングジャブが試合を制する見本のような展開。

4R、グイグイ押し込んで近付こうとする坂本だが、クリンチで絡めとられ
一旦距離が空けば、もう一度入るのに多くの被弾と時間を要してしまう。
狩野のテンポで試合が進んで行く。

途中採点は40-36で狩野がリード。
ダウンが無ければ坂本に勝ちはない…突っ込んでクリンチを増やして減点を狙うか…
それくらいしか展開の打開方法が思い浮かばないが、狩野が落ちて来なければ難しい。
とにかくアタックを続けるしかない状況にも見える。

5R、このままのペースで行くかと思えたところ、なんと狩野が前に出始める。
坂本にパンチを出すタイミングを与えず、的確にパンチを浴びせて撃ち合いでも上回る。
撃ち合いで打開できないならどうすれば…
チャンピオンが挑戦者に絶望を叩きつけるようなラウンド。

6R、また狩野が距離を空け、入ろうとする坂本に長いパンチを浴びせて行く。
密着すれば離れ際に抜群のタイミングでパンチを浴びせ、坂本に付け入る隙を与えない。

7Rもまた、同じ展開…坂本は打開できぬまま。

ラストラウンドは狩野が攻めて出る。
坂本の右がカウンターで突き刺さるが、怯まぬ王者はタイミングよくパンチを突き刺し、
この撃ち合いをしっかりと撃ち勝って試合終了のゴング。

マイジャッジ　80-72　狩野

公式ジャッジ
80-72×3

3-0　狩野

全勝で駆け上がって来た若き挑戦者。
その前に立ちはだかったチャンピオンは何もかもで上回って見せた。
王者とランカーの間に立ちはだかる大きな壁を見せつけた試合。
タイトルマッチらしいタイトルマッチ。

ここから、この日打ち砕かれた坂本がどう復活ロードを描いていくのかもまたボクシング。
国内最高峰の舞台を戦い、その厚みを知りどうなっていくのか。
心まで打ち砕かれるか…それとも、そのベルトに見合う強さを身に着け、改めて挑んで行くか。

「負けてからがボクシング」

完敗…だからこそできる期待もある。
彼女がこれから描くドラマに期待していたい。

そして、あまりにも強かった狩野。
「女子はパワーレス」なんて揶揄されることもある。
…が、そんなことは当たり前だ。

そのうえで繰り広げられる女子ボクシングの面白みを凝縮したような王者。
人間みな足りないものがある、それを克服したり補ったりしながら生きている。
ボクシングは人生に例えられる…それをリングの上で体現したようなボクサー。

偉大な王者を見た…。
ここに、中日本の期待値高いボクサーが挑んで行く可能性もある。

石黒紗良(トヤマ)、吉田里穂(RISE)…
彼女たちがまず目指す頂の高さ…見せつけられたからこそ、
これから見る中日本の女子ボクシングがより面白みを増しそうだ。

狩野ほのか　10戦7勝(2KO)1敗2分
坂本望愛　6戦5勝(2KO)1敗

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