2019/06/30 -パールガーデン TopStar興行Ⅱ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【スーパーフェザー級4回戦】
金井 大和(フリー) vs 佐原 拓真(天勝)
金井 大和 デビュー戦
佐原 拓真 デビュー戦
佐原はデビュー戦が会長の出場する試合の前座。
セコンドにはセミファイナルに試合を控える森定 哲也(天勝)の姿。
選手兼会長がルール上許されないJBC管轄では絶対にあり得ないドラマを感じる。
緊張の面持ちの金井と、リングに上がることが嬉しくてたまらないような笑顔の佐原。
1Rから佐原の右フックが強烈に金井を捉える。
無理に詰めるわけではなく、詰まったところで捉えていく。
金井は強烈に被弾しながらも、ボディで反撃…佐原の動きが止まるシーンも。
2Rにはボディが効いてきたか、若干佐原の動きが鈍る中、
佐原はノーガードで金井を誘い込む。
金井も強烈に佐原を捉えるシーンを作る中、佐原の右ストレートが金井のテンプルを捉えると、
佐原は被弾お構いなしに勝負を決めに行く。
金井の反撃に顔面を強烈に弾かれながら、
強打を次々に撃ち込み、コーナー際で押しつぶすようにダウン奪取。
再開後、佐原が強烈な右フックをカウンターで当てると、
3連打を叩き込んだところでレフリーが金井を救出。
2RTKOで佐原がデビュー戦を勝利。
自分のジムの選手の初勝利に喜びを爆発させる森定の姿も印象的。
お互いに強打で捉え合った試合。
第一試合から会場には大歓声が響いた。
ノーガードの気の強さも見せた佐原、勝利者インタビューでは会場を笑わせ底抜けの明るさを見せた。
終始笑顔で相手と対峙し、戦うことが楽しくてたまらないようなその姿は、
見るものを惹きつける魅力満載だった。
しかし、この試合が飛び切り面白いものになったのは金井の戦いぶりも大きかったように思う。
幾度も幾度も右フックを浴びながら、決して怯むことなく、佐原の顔面を弾き上げた。
さらにボディを効かせて、2R序盤には佐原の動きを鈍らせている。
TOP STAR 最初の公式戦は華々しく派手な好試合。
両者とも今後が楽しみに感じる。
【58Kg契約4回戦】
鈴木 貴博(フリー) vs 水口 健太(フリー)
鈴木 貴博 デビュー戦
水口 健太 デビュー戦
「ルールが広がればボクシングは弱い」
そんな言葉に反抗し、キックや総合のリングに上がり、ボクシングで勝負してきた鈴木。
JBC管轄では他格闘技への参戦や年齢がネックとなって、フリーのリングに登場した。
ボクシングを愛する総合格闘家がプロボクシングのリングに登場する。
これもまた、JBC管轄ではあり得ない世界観。
修行僧のような立ち姿…無骨なそのフォルム通りの戦いぶりを魅せる。
対する水口の構えはまるでムエタイ選手。
そちらにルーツがあるのだろうか…。
鈴木は前傾姿勢で、大きな大きなフックを次々に撃ち込んでいく。
ここまで大きく振れば被弾が増えそうなものだが、
ガードへの切り替えが早く、まともな被弾もなかなかない。
闇雲に振り回すわけでなく抜群のタイミングで強烈に拳を撃ち込んでいく鈴木。
1R終盤には水口は鼻血を吹き出す。
2Rに入ると一方的に強打を浴び、コーナー際でよろけた水口にレフリーはスタンディングダウンを宣告。
試合は再開されるが、その後も強打を浴びる水口に試合はストップ。
全弾フルスイングの修行僧 鈴木 貴博。
他格闘技のリングで戦い、練り上げられたその肉体、
そしてボクシングとしてのディフェンス技術もあるからこその戦いぶり。
強烈なキャラクターは、より多くの人目に触れればハマるファンも出てくるだろうと感じる。
存在感の強い選手…今後のTopStarのリングを作っていく選手の一人として楽しみに思う。
そして、一発で試合が終わりそうな強打を幾度も浴びた水口。
しかし…ついにリングに沈むことなく、レフリーに救出された。
試合を投げることなく、可能性にしがみついたその姿に胸を熱くさせられた。
沈まぬ男…この選手もまた魅力的だった。
【65Kg契約4回戦】
諸岡 正明(フリー) vs 森田 雅之(フリー)
諸岡 正明 32戦20勝(8KO)6敗6分
森田 雅之 12戦5勝(2KO)5敗2分
18年ぶりのリング復帰の諸岡。
これは国内ボクシングとしては最高記録となる。
また、47歳でのリング復帰で現役最年長。
相手は9年ぶりのリング復帰となる森田で、両者合計27年のブランクもまた国内記録。
距離を詰めてショートを撃ち込んでいく諸岡。
47歳がしんどい仕事をこなしていく。
1R…2R…諸岡は全く落ちていかず。
対して森田は手数では劣るものの、まとめる場面を作ってしっかりとポイントをアピール。
さらに、諸岡のボディを強烈にえぐって消耗を誘う。
50歳手前…これだけ手数を出せば諸岡は消耗するはず…。
しかし、3R…4R…前進しながらその手を止めることなく延々とファイトする諸岡。
試合は終始撃ち合いのファイトとなり、客席のボルテージも上がる。
そのまま12分間の熱戦を演出して判定へ。
マイジャッジ、39-37 諸岡。
手数とヒットなら諸岡、しかし、諸岡の猛烈な手数に被弾を重ねながらも
連打で捉えて山場を作ったのは森田…割れておかしくない試合。
公式ジャッジが発表される
39-37 諸岡
39-37 森田
…案の定割れる。
最後のジャッジ…
39-37 森田
2-1で森田の勝利。
50手前の男が、最もしんどい戦いを選び、そしてそれを成し遂げた。
僕の目には諸岡が化け物のように見えた。
しかし、そこに真っ向から立ち向かい、猛烈な手数の中で山場を作ってポイントをピックした森岡。
選手個々の強さは年齢で測れるものではない。
それを痛烈に感じさせる試合だった。
ベテラン二人がよりきつい場所へ…よりきつい場所へ…。
リングを降りる二人に、ただただ、ナイスファイトの思いが沸きあがった。
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