2025/09/14 -愛知・名古屋IGアリーナ- 第4試合、第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級8回戦】
下町 俊貴(グリーンツダ) vs イ・ハンソル(韓)
サウスポーの下町と、一回り小さいハンソル。
お互い見合う中でジャブを飛ばす下町に、時折飛び込むハンソル。
終盤、入って来たハンソルに下町が左を突き刺し、ハンソルが固まる場面も。
2R、ジャブを突き続ける下町、時折右ストレートも交える。
ハンソルは踏み込むタイミングもなかなか与えてもらえず。
入るところをカウンターで捉えるられる場面もあり、なかなかヒット数上がらず。
3R、少しずつ慣れてきたか、ハンソルがジャブを外すシーンが増える。
その分ハンソルが踏み込むシーンも増えるが、そこに下町のカウンターが待ち受ける。
もらいながら撃ち返してヒットを奪うハンソル。
4R、基本的な形は変わらないが、下町の方から攻める場面も増える。
上下に飛ばすカウンターはかなり引き寄せてからのもの。
大砲がしっかりと捉える場面が増えはじめる。
5R、同じ展開が続いていくが、下町の手数はさらに増したように思える。
入るには入れないハンソル、入ったところに痛烈なカウンター。
それまではジャブで試合を握られる…苦しい展開のハンソル。
6R、中盤には左ストレートを強烈に突き刺した下町。
固まったハンソルだが、下町は決して無理攻めせず。
はっきりと制した展開を積み重ねていく。
7R、立て続けに強打で捉えるシーンを作った下町。
ハンソルはもらっても、撃ち終わりには必ず手を出してくる。
8R、撃ち合う中、綺麗にハンソルのパンチをかわし、一方的にパンチを重ねる下町。
中盤明らかに効いたハンソルだが、耐えながらボディに合わせて強打を返して見せる。
いったんはクリンチに逃れるシーンもあり、「勝つため」の戦いをやめることはないハンソル。
試合はそのままタイムアップ。
マイジャッジ 80-72
公式ジャッジ
80-72×3
タイミングを探っていた分、手数は少なかったが、鋭く踏み込んで強打を振るったハンソル。
明確な実力差は感じられたが、その中でも無鉄砲に戦うわけではなく、
丁寧にフェイントをかけ、その拳を全力で当てに行き、勝ち筋を信じて戦い続けた。
引き上げるその姿には、懐かしくも感じる勇敢なコリアンファイターを感じた。
結果としては一縷の隙もなく、下町が完勝した試合。
本人は「倒せなくてもがいている」と発言したが、
この勝ち方は「世界への機運」を高めるものと感じられる。
その時が来るまでの世界待機グループと認められるのに充分な試合だったように感じる。
下町 俊貴 26戦22勝(12KO)1敗3分
イ・ハンソル 17戦9勝(4KO)8敗
■WBA世界ミニマム級タイトルマッチ
【ミニマム級12回戦】
高田 勇仁(ライオンズ) vs 松本 流星(帝拳)
探り合う中、サウスポーの松本が左ストレートで先制。
どっしりと構える松本に対して、ずっと遠い位置にいつづける高田。
踏み込んで猛烈に振るう場面をみせるが、接触はほとんどなく3分が終了。
2R、踏み込んでも猛烈に振るう高田がボディを捉えるが、
今度は踏み込んだ松本に、高田がアッパーを撃ち出したところ、
松本は右フックのカウンターを合わせて高田がグラつく。
ラウンド終盤には松本が踏み込んでまとめる場面も。
3R、撃ち終わり狙いか、松本に撃ち出させる高田だが、
高田の返すパンチはしっかりと外す松本。
高田の右ストレートに強烈な左ボディを合わせて見せる。
4R、思い切り打ちだした高田に右フックをカウンターで効かせ、
不意を突いて左ストレートを突き刺す高田。
高田が強打を撃ち込んで追いかけても無理せずクリンチ。
5R、激しく出入りを繰り返す松本。
スピードに置いていかれる場面が増える高田。
そんな中、お互いが踏み込んだ場面で頭が衝突。
倒れ込んだ高田、ドクターをリングに呼び込むレフリーだが、
立ち上がろうとするも痙攣する高田に対して、ドクターは即座にストップの判断。
そのままタンカで運び出される高田。
試合は赤コーナー不在の中で負傷判定へ…。
マイジャッジは50-45 松本
公式ジャッジ
50-46
50-45×2
3-0:勝者松本
試合としては松本が試合運び、スピードともに圧倒した試合。
しかし、高田にとってここからだったことは間違いない。
一発でひっくりかえす可能性のある威力あるパンチは放っていた。
不運とも言える決着。
まずは回復を待ちたいが…、改めて挑んでほしいと思える。
これで高田が「世界に届かなかった」となるのはあんまりだ。
笑顔なき戴冠となった松本。
この結果は松本にとっても不運なようにも思える。
ここまでの道のりを応援してきた松本ファンも、彼が心から喜ぶ姿を見たいはずだ。
その姿を見たくて応援してきたものだとも思う。
もちろん、勝者は松本。
正真正銘、世界王者となった松本だが、
世界王者として喜びの瞬間を提供することはできなかった。
ファンへ、応援者たちへ、その瞬間を提供してくれる瞬間を待ちたいと思える。
高見 亨介(帝拳)に次いで、帝拳2本目の世界のベルト。
一時期世界王者が不在ともなった名門。
世界王者がいることが当たり前のように感じること自体異常だが、
その異常なものこそが、名門帝拳だとも思える。
ようやく、新時代が開幕したようにも思える。
高田 勇仁 28戦16勝(6KO)9敗3分
松本 流星 7戦7勝(4KO)
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