2024/3/31 -愛知・刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2024/3/31 -愛知・刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【バンタム級6回戦】
樫谷 樹歌(タイガーウイング) vs ポンテープ・ブンチャーリー(タイ)

鋭くジャブを飛ばす樫谷に対し、待ちながら
右をかぶせるカウンターを狙うポンテープ。
時折、ボディも交えながら樫谷が上々の立ち上がり。

2R、体の入れ替え様にお互いのフックが相撃ち、スリリングな場面。
樫谷が強烈なボディを叩けば、ポンテープが自ら撃ち込んでいく場面も見せる。
数多く撃ち込む樫谷のジャブが展開を制してはいるが、
KO狙いのポンテープの強打が緊張感を産み出していく。

3R、踏み込んで来ようとするポンテープに対し、左を伸ばして抑えようとしたところ
そこに被せたポンテープの右がテンプルに直撃し、膝を付きかける樫谷。
なんとかこらえるが一気に攻め立てたポンテープの右を浴びてダウン。

再開後、右ストレートをカウンターで強烈に浴び、大ピンチに。
クリンチに逃れようとするもほどかれて捕まえきれない。
しかし、守勢にまわった樫谷は、ここをなんとかしのぎ切る。

4R、ジャブと強烈なボディで立て直す樫谷。
ポンテープの手数が落ちると樫谷の方から攻め、
カウンターを恐れずに詰めていく。

5R、樫谷が踏み込んだ所にポンテープの右が強烈に刺さる場面も。
飛び込み様の頭の低さも厄介に思える。
樫谷は左を頻繁につくが、大きなヒットはボディのみ。
このラウンド、ジャッジがどうとるか…。

6R、最終ラウンド勝負も考えられる状況で、樫谷は冷静に戦う。
攻撃の頻度こそ増やすが、しっかりとジャブをつきながら、
ポンテープに右を振らせてカウンターをとる。
ポンテープはパンチが出ず、樫谷のグローブを抑える場面が目立つ。
ダウンを取っている分、ポンテープは採点計算では勝っている計算か。

しかし、守勢にまわってホールディングの増えたポンテープに減点。
ここからラスト、ポンテープが一気に攻めて出るが残り時間は少なく…。
試合終了のゴング。

マイジャッジ 57-55 樫谷
公式ジャッジ 58-54×3 樫谷
3-0 勝者:樫谷


殊勲のダウンを奪ったポンテープ。
最終ラウンド前半以外は、スリルをもたらすパンチは振るい続けていた。

海外敵地の判定不利を織り込み、手数度外視でKO狙いのカウンターにかける外国人選手も多い。
ポンテープもダウンを奪って以降は自分から攻め込む場面が増えたが、
基本的には一発で斬り落とす展開を狙っていたようにも見えた。

正当に判定が下る前提であれば、戦法も変わってくるよう思える。
また、6回戦の樫谷には及ばなかったが、試合を面白くしたことは間違いない事実。
機会があれば、また刈谷のリングに登場して欲しいと感じる。
海外から来てもらうコストも大きいため、簡単にはいかないだろうが…。

樫谷は苦戦の末にB級初勝利。
ポイント的には明確な勝利を挙げたものの、ダウンした場面ははっきりとした窮地だった。
すんなり勝ち上がるよりはよっぽどいい。
現時点が勝負どころのボクサーではない。

踏まえてどう強くなっていくか…。
客席から大声援が送られる刈谷の人気ボクサー。
ここまでの苦戦を踏まえて強くなっていく、樫谷が描くドラマに熱中したい。

樫谷 樹歌 7戦5勝(1KO)2敗
ポンテープ・ブンチャーリー 8戦4勝(3KO)5敗

 

【67.2kg契約8回戦】
能嶋 宏弥(薬師寺) vs セムジュ・デビッド(中日)

アウトボクサーの能嶋が足の動きもそこそこに撃ち合う構え。
大きく振るデビッドに対し、コンパクトに撃っているのは能嶋の方か。
頭の位置がしっかりと動き、パンチの数は多くても捉える場面は両者少ない。
技術ある二人の攻防が繰り広げられる。

デビッドの左フックが刺さりバランスを崩した能嶋だったが
ヒットさせたパンチの数では能嶋が上回ったように見えた立ち上がり。

2R、足を使って下がりながら、入ってくるデビッドを強烈に捉える能嶋。
くっついては離れ、的確にヒットを奪っていく。
デビッドの反撃も最小限のヒットに留める。

両者手数は出ているが、お互いに柔らかく、その手数に見合うヒット数には至らない。
巧みにかわし合いながらも、能嶋が早くも主導権を握り始めたか。

3R、かなりハイテンポな試合。
デビッドはプレスをかけながら、能嶋のパンチをかわしながら
飛び込んで強烈なヒットを奪う場面を作って行く。

後半に進むごとにその頻度は増えて行き、強烈な左フックを何度もヒットさせる。
能嶋はボディ攻めで対抗。
ラウンド終盤、デビッドが顔面にパンチを纏めて、試合は激しい撃ち合いの様相。

4R、前半は能嶋がデビッドのパンチを柔らかく躱しながらパンチを纏めるが
後半、能嶋が若干消耗を見せ始めたか、動きが落ちたところに
デビッドがパンチを纏める場面が目立ち始める。

5R、デビッドのロングフックで幕を開ける。
下がりながら迎え撃ち、ショートでえぐる能嶋だが、
デビッドがゴリゴリと攻めていく場面が目立つ。

ラウンド後半、能嶋が前に出てデビットを押し込んで撃ち合う。
ヒットの数では回転で上回るが、時折強烈に刺さるデビッドのパンチの見栄えはいい。
いったんデビッドに流れかけた主導権は五分に引き戻されたか。

6R、もみ合いになるような場面も増える中、
デビッドの方が手数が出るか、いよいよ消耗差が出始める。
至近距離で回転よく、デビッドが優勢を印象付ける。

7R、中盤強烈なボディの撃ち合いを見せると、激しい撃ち合い。
しかし、足を使って距離を取ろうとする能嶋と攻め込もうとするデビッド。
手が出ない能嶋に、しっかりと手を出していくデビッド、見栄えは明らかにデビッド。
採点的にも接戦…わからなくなった状態で最終ラウンドへ。

8R、能嶋の強烈な右で幕を開けると、デビッドは左フックで能嶋の顔面を弾き飛ばす。
あれほど柔らかくパンチをかわし合っていた二人が、
お互いのパンチを浴び合い、効かせ合う最終ラウンドの撃ち合い。

技術ある二人が、泥臭い撃ち合いで雌雄を決しにかかる。
体で押し合い、フォームを崩しながら、ボクシングから殴り合いへ。
激しいまま試合終了のゴングへ。

マイジャッジは76-76のドロー

公式ジャッジ
74-78 能嶋
77-75×2 デビッド

2-1 勝者:デビッド

東京五輪代表、アマチュアの国内トップに立ち、
さらにアフリカという広大な地域の各国の代表たちと対戦。
そのうえで勝ち残って得る代表の栄冠。
アマチュア○冠の肩書では手に入らない称号。

中日本にもアマエリートはいるが、ここまでのエリートは稀有。
さらには既にプロのリングを4戦踏んで日本に渡って来たデビッド。

逆に言えば、これだけのホープに接戦を演じた能嶋もまた、その力を示したように思う。
テンポの早さに後半の運動量は落ちてしまったが、技術負けすることはなく、
デビッドが詰めたところを鋭利に襲い続けていた。

選手数が枯渇しがちな中量級だが、
中日本内でしのぎを削り合える戦いができることはプラスに思える。
いずれまた、東京や関西で勝負を仕掛けることもあるだろう能嶋。
日本王座に届かなかった力を、さらに伸ばす必要もある。
この戦いが、また新たに能嶋に力を与えてくれることを願いたい。

そして、中日本中量級の新たなエースが刈谷のリングに爆誕。
今後、ウガンダコミュニティの陽気な応援団も刈谷の会場に華を添えてくれるだろうと思う。
国は違えど、中日本で戦う選手として、強く強く応援して行きたい。

能嶋 宏弥 15戦11勝(5KO)3敗1分
セムジュ・デビッド 5戦5勝(3KO)

 

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