2021/05/30 -三重・メッセウィングみえ- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【58.0㎏契約4回戦】
中村 龍明(市野) vs タートル 西田(塚原京都)
中村 龍明 5戦3勝(1KO)1敗1分
タートル 西田 18戦6勝(1KO)10敗(2KO)2分
お互いにジャブを刺し合う立ち上がり、右までつなげるのは中村の方。
しっかり距離を維持して長い距離を制す。
ラウンド終盤、西田がゴリゴリっと詰めるとボディを攻めて上にもつなげる。
2R、ラウンド開始から接近戦を仕掛けていく西田。
距離を潰してボディから顔面へとつなげていく。
西田の土俵…中村としては不利な距離での勝負となるが
お互いにしっかり捉え合う。
お互いにボディは少し低めに入ることが多いか、
レフリーから度々ローブローの注意が入る。
3R、中村が距離を潰される展開の中、手が出るのは西田の方。
的中率は中村の方が高く見えるが、見栄えは前に出る西田か…。
判定の割れそうな展開…大幅負け越しのベテラン4回戦が期待の若手を苦しめる。
4R、開始から詰めてガムシャラなラッシュを仕掛ける西田。
撃ち合いとなる中、中盤に中村の左ボディが突き刺さる。
僅かな時間ペースが落るも、果敢に詰めて至近距離での撃ち合いを挑んで行く。
押し合う展開、中村も抵抗するが西田の回転には及ばず。
最終ラウンドは大きく手数の差を広げて終了のゴング。
マイジャッジ 38-38
判定は1-0 ドロー
39-38
38-38 ×2
ドロー判定にも驚きの声。
西田への採点にも驚きの声。
仮に中村への判定だったとしても驚きの声は出たのではと感じる。
拮抗した試合というのはそういうもの。
最終的にはジャッジ席に誰が座っているかの運で決まる。
そもそも運が絡まない勝負事など存在しない。
常に詰め続け、12分間で出し切るようなファイトをした西田。
中村が自分がやりたい距離でやれた時間はほとんどなかったのではないかと思う。
「経験」はボクシングに置いて、かなり重要な要素の一つだと感じる。
いくつも負けながら積み重ねた西田の経験が、期待値の高い選手を苦しめた。
そんな構図の試合…西田を褒めるべき試合だったと感じる。
逆にこの展開で、完全に飲み込まれてしまうことのなかった中村。
西田がロープ際でまとめてくるシーンでは、しっかりサイドにエスケープしていた。
これで3勝2分…B級昇格条件の4勝は、
引分けを0.5勝換算とする為、B級昇格の権利を手にすることとなった。
苦しんで苦しんで手に入れたB級昇格。
目指すべきところはもっと先にある選手。
この日の苦闘がきっといい方向に向いてくれるだろうと思っている。
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【スーパーフェザー級8回戦】
菅原 秀馬(市野) vs 飯見 嵐(ワタナベ)
菅原 秀馬 8戦6勝(4KO)2敗 サウスポー
飯見 嵐 10戦7勝(7KO)3敗
軽くステップを踏みながら菅原を見据える飯見。
その周りをまわりながら、タイミングを測る菅原。
静かにスタートしたメインイベント。
時折踏み込んで左ボディストレートを突き刺した菅原と
ほとんど手を出さずに様子見に徹した飯見。
まずは菅原が先取する形で1Rが終了。
2Rも踏み込んで拳をヒットさせるのは菅原の方。
中盤に入ってようやく、飯見が踏み込んでの右ボディストレート。
終盤にはジャブがカウンターで入って菅原の顔面を跳ね上げるが、
菅原も押し合いの離れ際で強引に右フックを叩きつける場面を作る。
このラウンドも飯見の手数はほとんどなく、
菅原が時折ヒットを奪う展開は変わらず。
3R、変わらず緊張感の高い展開の中、
中盤に菅原のボディストレートに合わせて飯見の右フックがヒット。
終盤には逆に、飯見のボディストレートに菅原が右フックを合わせる。
対極は変わらず、菅原がヒットを奪う。
4R中盤、飯見が潜り込んでボディから顔面へコンビネーションを撃ち込む。
これまで単発の撃ち合いだった試合、展開が変わるかに思えたが
この場面で両者の頭が衝突しドクターチェック。
再開後、これまでよりグッと距離が縮まり撃ち合う場面。
両者反応よくお互いのパンチを交わし合う中で、菅原の左ストレートのヒットが目立つ。
いったんお互いの手数が収まっても、距離はこれまでより近い…
フェイントをかけ合う中で、飯見の強烈な右のオーバーハンドがヒット。
背筋がヒヤリとする…両者とも非力な選手ではない。
一発で終わる可能性も充分にある。
ここまで、マイジャッジは40-36で菅原。
飯見が残り全てのラウンドを制してもドロー。
ここから飯見がどう出るか…。
5R序盤、フェイントの掛け合いから菅原の左ストレートが強烈にヒット。
ロープ際でパンチをまとめる菅原だが、ここは飯見がクリンチに逃れる。
その後、攻撃の姿勢を強める飯見に、菅原がショートで迎え撃つ展開。
ヒットは菅原だが、飯見の右がカウンターで炸裂すると菅原の腰が落ちる場面も。
6R、開始から飯見がファイトを仕掛けると、強烈な右フックをヒット。
ここをなんとかクリンチで逃れる菅原。
見合う場面から飯見が踏み込んで強打を振るう数が増えていく。
菅原を後手に回らせる姿に、ようやく飯見が帰って来たように感じる。
7R、ここに来てお互いにフェイントをかけ合うリズムがあがっていく。
小刻みに頭を振り始めた飯見に、菅原の左ストレートが空を切る場面が増えるとともに
飯見の側から仕掛ける場面が増えていく。
お互いにボディを鋭くえぐりながら、スリリングなパンチをかわし合う。
8R、ワンツー主体のヒットアンドアウェイで飯見を捉える菅原。
飯見が潜り込んだ場面で強烈にアッパーを突き上げるが、
飯見は顔面を跳ね上げられながら右フックを叩きつける。
一発、一発力のこもったパンチをぶつけ合う二人…。
アドレナリンの放出は最高潮か、菅原がしきりに「来いよ」と飯見を呼び込む。
倒さなければ勝ちのない飯見…その一撃を叩きこむタイミングを探る中
菅原がワンツーを撃ち込んでいき、試合は終了のゴングへ。
マイジャッジ 78-74 菅原
公式ジャッジも78-74×3で菅原の勝利。
飯見が帰って来た。
まずはそれが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
ただし…もっと飯見は強いはず。
そんな思いを感じずにはいられなかった。
飯見 嵐は嵐たれ。
まだまだ彼のボクサーズロードは続いていく。
だからこそ、もっともっと強いはずの飯見を、客席から見られる日を楽しみにしていたい。
コロナの影響や仕事の都合もあり、2年ぶりの試合となった菅原。
ようやくリングに帰って来てくれた。
それも、堂々たるメインイベンターとして。
4回戦時代の佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)戦、
ボクシングマガジンの熱戦譜で二人の試合は絶賛されていた。
書いたのは長く中日本のボクシングを書いて来た記者。
敵地に乗り込んでは、名のある猛者を相手に熱闘を繰り広げて名を上げる佐伯。
三重のリングでメインイベンターとしてその力を見せつけた菅原。
あの記事を思い返しながら、「流石だな…」と口に出る。
二人ともボクサーとして大きくなった。
そしてまだまだここからも…。
リングを降りて引き上げる菅原。
2年前の敗戦時、何て声をかけていいかわからなかった自分に、悔しさでいっぱいだろう中
「自分が負けたのはせきちゃんが自分からチケットを買ってくれなかったせい」と
笑って話しかけてくれた姿を思い出す。
試合が終わった直後でも、自分より周りに意識が向く、優しい男なんだと感じた。
イケメンで、奥さんが美人で、一流企業勤務、ボクシングも強くて優しい。
神様は菅原にどんだけ与えるつもりなんだ…なんて冗談を飛ばしながら、
また菅原という男の魅力にハマっていく自分を感じる。
叶うことなら、来年は日本ランカーとしての肩書を持ってリングに上がる菅原が見たい。
そんな思いに駆られている。
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