2018/7/29 -刈谷あいおいホール- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
この日は西から乗り込んでくる男たちが多数。
前座ではよく似た背景の選手たちがぶつかり合う好カードが連発。
2015年の中日本新人王vs2017年の中日本新人王や
大型ホープのデビュー戦も組み込まれ…。
さらに、メインでは日本ユース王座ができて以降初めて、中日本同士のタイトルマッチ。
ホープたちの潰し合いとなる激烈カードに火をつけた日本ユース王座。
その歴史に新たな一ページが刻まれる。
【スーパーバンタム級4回戦】
溝越 斗夢(緑) vs 鶴海 高士(寝屋川石田)
溝越 斗夢 2戦1勝(1KO)1分
デビュー戦、ノーガードの1RKO勝利でその才能をアピールした溝越。
新人王にエントリーしたが、立ちはだかったのは格別の才能…。
今年の中日本新人王の目玉選手、英 洸貴(カシミ)。
大注目の好カード、不利予想の中で引分けに持ち込んで周囲を驚かせた。
規定による優勢点で新人王トーナメントは敗退となったが…来年の新人王に向けて、
どんな試合を魅せるのか…試合の結果如何では、来年の全日本新人王を期待してしまう選手。
鶴海 高士 3戦2勝(1KO)1敗
今年、西日本新人王トーナメントで猛威を振るっている寝屋川石田ジムからの刺客。
近年レベルがえげつなく上昇した高校ボクシングで全国3位の実績。
ホープと呼ばれて然るべき選手。
新人王戦は1回戦で敗れてしまったが…、新人王を逃した者同士、
そして期待値の高い選手同士の中日本vs西日本の構図。
地域対抗の力比べのようで、見ている方も燃えさせてくれそうだ。
【スーパーフライ級4回戦】
角本 陽平(結花) vs 安西 蓮(岡崎)
角本 陽平 1戦1勝 サウスポー
デビュー戦を中日本で飾った角本が、2戦目もまた中日本のリングに登場する。
スピード豊かなサウスポーで、同じくデビュー戦だった大林 鮎真(三河)をフルマークで破っている。
鳥取のジムからやって来た男が再びその存在を敵地に叩き付けるか…。
右のロングアッパーから入る変則的なワンツーが魅力的。
安西 蓮 2戦1勝(1KO)1敗
危険な距離に位置して1RKOされたデビュー戦。
踏まえて遠いところから仕留めた2戦目。
失敗を糧にした2戦目には伸びていく選手のシルエットを感じた。
こちらも中日本vs西日本の構図。
スピード豊かで変則的なサウスポー。
「やりにくさ」のキーワードを羅列したようなスタイルの角本。
今時点の安西が攻略できるのか、弄られるのか…二人に対する期待値が明確に決まりそうな試合。
これもまた、面白いカード。
【56kg契約4回戦】
三輪 珠輝(松田) vs 谷口 政治(結花)
三輪 珠輝 7戦3勝(1KO)4敗
干場 悟(タイガーウイング)、伊藤 記道(市野)などと激戦を産み出してきたファイター。
突貫型と言うよりは鋭いパンチをエグり込んで行くようなファイトを魅せる。
負け越してはいるが、負け試合でも過激な魅力を放ってきた。
怪我による長期離脱からの復帰2戦目は、勝てばB級昇格の権利が手に入る試合。
谷口 政治 5戦1勝4敗
デビュー4連敗から今年ようやく初勝利。
デビューから2試合を中日本で戦ったこともあって僕にとっては愛着のある選手。
倉敷で偶然見ることができた谷口の初勝利のシーンには感動させられた。
低く入っていき、圧力と手数でダウンを奪って押し切った試合。
ファイター同士の試合となる。
負け越し同士…だけど決して弱いわけではない二人。
また三輪が名勝負を産み出しそうな予感が漂う。
刃物か…鈍器か…。
【56kg契約4回戦】
阿部 史也(タキザワ) vs 高田 雅人(とよはし)
・阿部 史也 1戦1敗
デビュー戦は北海道からやって来た東 祐也(北海道畠山)との熱戦。
相手をダウン寸前まで追い込みながら、接戦をモノにすることはできず。
マイジャッジは阿部だったが、判定が割れてのデビュー戦敗北。
当て感の良さが光った。
・高田 雅人 1戦1分
今年の中日本新人王戦でデビューし、佐藤 康平(薬師寺)と対戦。
結果はドローで優勢点でのトーナメント敗退。
佐藤の土俵である密着戦に引きずり込まれたようにも見えた。
この選手のはっきりとした特徴を、僕はまだつかめていない。
この試合でしっかり確認できればと思う。
この試合もまた、シルエットの似た二人。
お互いにデビュー戦では善戦しながらも結果が残せなかった選手。
初勝利に対する渇望はきっと強いだろう。
男の意地を煽るカードに感じる。
【51.5kg契約6回戦】
矢島 大樹(松田) vs 松浦 克貴(岡崎)
・矢島 大樹 18戦8勝(3KO)7敗3分 日本ライトフライ級14位
デビュー4連敗から2015年の中日本ライトフライ級新人王に輝く。
中日本・西部日本新人王対応戦は引分けの敗者扱いで涙を飲むも、その後は敵地連戦で4戦2勝2分。
A級ボクサーとなって凱旋してのランカー挑戦で、接戦を制して日本ランカーに。
「デビュー4連敗から日本ランカー」の道のりは衝撃的だったが…その後はランカー対決2連敗。
さらに上のレベルで勝負するためにも、ここから挽回したい状況。
・松浦 克貴 7戦5勝(1KO)2敗
抜群の輝きを見せた4回戦…中日本新人王を勝ち取り技能賞に選出。
全日本新人王決定戦の舞台まで全勝で上り詰めた。
接戦を落として、大チャンスを逃した松浦…中日本に戻っての試合は、
同年の中日本新人王敢闘賞の近藤 冬真(蟹江)。
お互いに全日本新人王を逃し、再起戦として挑んだ中日本新人王三賞対決…。
先にダウンを奪った松浦だったが…ボディを効かされ…ズルズルに疲弊しての敗北。
「先に進むもの」を決めるシビアな試合に敗れる形となった。
デビュー4連敗からスタートした矢島と、デビューから連勝を重ねて注目された松浦。
対照的な二人は現在連敗中…負ければ3連敗となる崖っぷち同士の試合。
この試合は2017年の中日本新人王の中で抜群の輝きを放った松浦が、
2015年の中日本新人王に挑む世代間抗争の要素を含む。
多分に要素を含み、どの角度から見ても面白過ぎるカード。
【フェザー級6回戦】
竹嶋 宏心(松田) vs ヨハニス・タトゥール(インドネシア)
・竹嶋 宏心 デビュー戦
ついにこの大型ルーキーがデビューする。
拓殖大学主将を務めた竹嶋がプロ転向…行われた公開プロテストでは
坂 晃典(仲里)を相手に渡り合い、その強さを見せつけた。
・ヨハニス・タトゥール(インドネシア) 4戦3勝(2KO)1敗
現時点でBoxRecで確認すると、この日のメインイベンター水野 拓哉(松田)がかつて破った
ジュンドラー・M・ファウザン(インドネシア)と同一人物となっているが、これは違いそう。
もしかすると戦歴が割れてしまっている可能性もあるが…。
1人の戦績が2人の戦績として分かれて記録されてしまうのもよくあるパターンだったりする。
戦績は確認出来る限り。実際には違う可能性も高い。
状況ははっきりつかめないが、好試合を繰り広げるインドネシア人が増えてきたのも事実。
未知数選手ほど油断できない。
竹嶋がプロの長いラウンドにどうアジャストするか…。
竹嶋のデビュー時点で確認したい部分はそこだけのように思える。
既に日本ランカークラスの力を持った完成された素材に見える。
プロの最初のリングでどんな戦いを見せてくれるのか。
…タトゥールが食い下がる展開もあり得るか。
【日本スーパーバンタム級ユースタイトルマッチ】
【スーパーバンタム級8回戦】
水野 拓哉(松田) vs 伊藤 仁也(三河)
・水野 拓哉 16戦14勝(12KO)1敗1分
日本スーパーバンタム級ユース王者/日本スーパーバンタム級7位/OPBF東洋太平洋バンタム級5位
この男の試合はゴングが聞こえない。
数百人の応援団が送る大声援に包まれる。
今の中日本で田中 恒成(畑中)の次に客席を埋める男。
強烈なボディブローから顔面を撃ち抜いてKOを量産。
解っていてもガードを下げてしまう相手が多数。
一時期、狙い過ぎな面が垣間見えたが、前戦ではKOパターンが蘇った。
ユース王座は23歳までのもの…ちょうど23歳を迎えた水野。
王座を守り抜き、さらに上のグレードへ勝負をかけるか…。
ホープたちの激突を量産するユース王座、簡単な道のりではないはず。
・伊藤 仁也 11戦7勝(2KO)3敗1分
全国的にはまだ無名…しかし、特別な存在感を放つ一人になってきている「三河の紫カマキリ」。
懐が深く、L字ガードを使うこともある。
無敗で4回戦をクリアした後、6回戦では3連敗。
相手は中村 祐斗(市野)、諏訪 亮(真正)、定常 育郎(T&T)。
いずれも将来を期待される選手たち。
強敵への連敗を重ねながら、そこを乗り越えてA級ボクサーに昇格した伊藤。
ホープとしては中日本のトップを走る男に挑むチャンスを手に入れた。
ユース王座が中日本の選手同士で争われることは初めてのこと。
前評判でも、人気でも、実績でも、圧倒的に水野が支持されるだろうが…。
伊藤 仁也は特別な選手…僕はよくそんなことを言う。
伊藤が対戦相手と知ってまず思ったのは…水野は懐の深い相手とどう戦うのか…という疑問。
伊藤ほど極端に懐の深い相手との試合はなかったはずだ。
僕はこの試合…伊藤が中日本の中心の一人に躍り出るチャンスをはらんでいると思う。
裏を返せば、水野にとっても次のグレードに進むうえで、様々なものを証明できる試合になるはず。
このカード、激烈楽しみだ。
よく似た背景の選手たちがぶつかり合う4回戦。
そして対照的な二人が拳を合わせる、矢島vs松浦。
ついにデビュー戦を迎えた大型ホープの竹嶋。
日本ユース王座史上初めての中日本決戦。
他地域でも心惹かれるカードが頻発する日。
中日本でも対抗するかのごとく、多数の心奪われるカードが組まれている。
会場に響き渡るファンたちの「WE ARE THE CHAMP」の大合唱。
刈谷でしか見れない熱さが、この日のリングに渦巻くはずだ。
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