2018/7/15 -刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/7/15 -刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【フェザー級6回戦】
飯見 嵐(ワタナベ) vs スントーン・パンホーム(タイ)

飯見 嵐 6戦5勝(5KO)1敗
スントーン・パンホーム 4戦2勝(1KO)2敗
 

試合開始前、青コーナーに現れたパンホームの大きさに驚く。
「噛ませタイ人」と言われる性質の試合なら、対格下の選手を相手にすることの方が多い。
そういった性質の試合でないことはゴングが鳴る前にはっきりした。
 

1R、左を丁寧に撃ち込むパンホーム。
飯見は機敏に鋭く打ち込むが、パンホームはしっかりガードで対処。

ラウンド中盤、ガードの外からフックをねじ込み始める飯見。
さらにパンホームの右に合わせてボディをえぐる。
パンホームはもらってこそいるがダメージを見せない。
 

2R、スピードもパワーも圧倒的に上回る飯見だが…。
丁寧に戦う飯見、ディフェンスへの意識も高く安全圏から踏み込んで上下へ撃ち込んでいく。
パンホームが時折踏み込んで、アッパーで飯見の顔面を捉えるシーンも。
 

3R、先に強烈に撃ち込んでいる飯見だが、打ち終わりに右ストレートを被弾し、一瞬フリーズ。
パンホーンがジャブの数を増やし、飯見の打ち終わりに右の打ち下ろしを頻繁にヒットさせ始める。
 

4R、下から上に撃ち込んでいく飯見。
ポイントは獲っているだろうが、ヒヤリとする場面が散見される。
リーチのあるパンホームに対して、距離を潰して頭を付けてのファイトに持ち込む飯見。
ラウンド中盤以降、飯見は徹底的にパンホームのボディを叩いていく。
相当効いてきたか、声が漏れ始める。
 

5R、ガードの外側からねじ込む右フック、さらにアッパーで突き上げて顔面を襲う。
しかしパンホームも飯見の撃ち終わりを狙い、飯見の顔面に強烈に拳を叩き付ける。
後半、飯見が一方的に攻め、パンホームの手が出なくなったところで、レフリーが割って入って試合が終了。
 

手が出なくなった時点でストップは仕方ないと思えるが…。
当人のパンホームは激怒していた様子。
まだ余裕はあったように思える。
ムエタイと国際式の感覚の差だろうか…、後から知ったがムエタイ100戦以上の選手だったらしい。

飯見としては倒されない限り勝ちは確定的な状況だったように思う。
効かされる危ない場面もあり、ヒヤヒヤした場面もあったが、
落ち着いてしっかり勝ち切ったことは凄いと思う。

これでA級昇格…バチバチの生存競争に挑んで行くのだろう。
これからの戦いを楽しみにしていたい。
 
 

【59.42kg契約8回戦】
森 武蔵(薬師寺) vs アラン・バレスピン(比)

森 武蔵 6戦6勝(5KO)
アラン・バレスピン 14戦12勝(9KO)2敗
 
 

1Rから頻繁にジャブを突いていく森。
距離のある所から右を刺し込んでいく。
ヒリ着く緊張感の中、ラウンド終盤、パレスピンがジャブの打ち終わりに急襲。
被弾する森だったが、強烈に左ストレートを撃ち込んで応酬。
 

2R、丁寧にバレスピンの攻撃を防ぎながら、近づいたタイミングでは左をボディに突き刺す森。
左を撃つ回数は極端に少ないが、切って落とすのを狙うかのように強烈に相手を捉える。
しっかり右を突いていく森、距離をしっかり維持。
バレスピンが振り回すパンチは紙一重で回避…当たれば危険な代物。
 

3R、バレスピンが踏み込んだタイミングで、激しく鋭いパンチの交換が発生。
ある程度距離のあるところから、お互いに踏み込み、パンチを交換しては離れる。
ボクシングが瞬間スポーツであることを意識させられる場面。
 

4R、お互いディフェンス能力も高く、致命的な被弾が産まれない中、
バレスピンの鋭利なパンチで森のアゴがえぐられる。
冷やりとさせる場面だが、森はダメージを見せず、
頭を付けたタイミングで森は右ボディを突き刺す。
 

5R開始直後、左ストレートを強烈に打ち込んだ森、
さらに、次の接触の場面でも強烈にバレスピンの顔面が跳ね上がる。
しかし、序盤機能していたはずの森のジャブが減り、打ち終わりに強烈な被弾が増え始める。
密着した場面で強烈に腹を叩いていく森。
 

6R、森が右ボディで襲い掛かったところ、バレスピンの左右フックを被弾。
効かされて足元がおぼつかなくなり、クリンチに逃げようとするが、力が入らないか、ままならず。
バレスピンの強引な左右フックを何度ももらう中、左ストレートを撃ち込んで見せる。
 

7R、攻勢を強めるバレスピン、撃たれればしっかり撃ち返して挽回する森だが、
効かされたと思えるタイミングは1度や2度ではない。

密着したシーンが増え始める中、クリンチする森…。
しかしそれが緩ければバレスピンはうまく腕をたたんで森の顔面を襲う。
 

8R、距離を取る森。
前に出て来るバレスピンを捌いていく。
タイムアップまで攻勢を緩めないバレスピン。
森は被弾を最小限に抑えてタイムアップのゴングに逃げ込む。
 
 

マイジャッジ、77-76 森。
 
 

77-76、77-76、77-77
 

判定は2-0で森。
 
 

バレスピンはやはり強かった。
ただ…思う存分にその荒々しいパンチを振るえたか…となると、
森は効かされ、大ピンチに陥ったものの、最低限に封じたと思える。

この試合、勇敢に戦ったのはピノイだったと思う。
しかし、勝ったのは間違いなく森だった。
 

カッコよく、すべての試合で圧倒して、世界の頂まで上り詰めれれば最高だろう。
ただ…そんな選手が歴史上何人いるというのだろうか。
そんな甘い世界なら、きっと僕はこれほどボクシングに没頭していない。

効かされた場面、バレスピンにしがみついた森は、勝利に縋りついたように見えた。
それでいいと思う。

勝ちに行くという強さ…また一つ、森の強さが見えた。
OPBFランカーを倒し、これで東洋太平洋のランクも手に入るだろう。
ここから先は、綺麗ごと抜きの世界。

それは森が18歳だろうが関係ない。
一つの敗北が数年の遠回りになることも茶飯事だ。
 

中身は苦戦…だが、森の未来を信じさせるには格好の試合だったように思う。
何より、苦戦して勝つことほど幸運なことはない。
元々の強さに加えて、勝負への執着心を証明した森。

強くなる未来、勝っていく未来。
本当に…世界まで行ってしまうかもしれない。
そんな期待感が現実味という色を含み始めた。
 
 
 

試合後、いろんな人たちと談笑。
帰りがけの内田 勇気(KG大和)を見つけて握手をねだる。
腱鞘炎のテーピングが見つかり、素性がバレる。
テーピングの仕方が解らなくて、ツイッターにアップして情報を求めていたため…。

負けたボクサーにかける言葉は、どんな良かれと思う言葉でも相手の心をえぐることがある。
だから、あまり自分からは声をかけないようにしているが…
東の選手と言葉を交わせる機会は、その場でしかないかもしれない。
そんな思いだった…ふと横を見ると困り顔の会長、片渕 剛太
KG大和も応援してます!と伝える。

ちょっと厚かましい感じのやり取りを繰り出してしまった後、飲み屋さんに向かう。
若手トレーナー二人とエアボクサー一人、いつもお世話になっているマニア一人。

いろんな話をしたけど、帰り際のハイライト。
 

トレーナー二人と、エアボクサーがワンツーの撃ち方をあーだこーだやってる姿。
本当に楽しそうにやるもんだから…凄く素敵な気分になった。
自分が好きなボクシングはこんなに素敵なものなんだなぁ…って。

プロもアマもオヤジファイターもエアボクサーもキッズも…。
彼らの愛するボクシングが、これから先もずっと素敵なものであって欲しい。
 

ボクシング界に対する不満はいっぱいある。
でも、その終着地点は…ボクシングを愛する彼らのような人たちの為に…。
ボクシングがずっとそこにあってほしい。

詰まるところ、そこなんだと思う。
 
 

 
 
 

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