2017/5/20 武田テバオーシャンアリーナ-4試合目、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
この日、4試合目となるカードで日本ランカーが登場。
【54.5Kg契約8回戦】
田中 裕士(畑中) vs シーラユット・シットサイトーン(タイ)
・田中 裕士 24戦19勝(13KO)2敗3分 日本5位 元WBCバンタム級ユース王者
・シーラユット・シットサイトーン 16戦11勝(4KO)4敗1分
チャンピオンカーニバルで赤穂 亮(横浜光)との日本スーパーバンタム級王座決定戦に敗北した田中。
大きな試合に敗れた後のモチベーションが気になるところ。
対するシーラユットは16戦中対戦相手が解っているのは日本で敗れた2試合のみ。
相手は7月に世界挑戦の決まっている帝里 木下(千里馬神戸)と、
昨年の西部日本新人王の平島 祐樹(三松)。
胸にがっつりと刺青を入れたシーラユット。
タトゥーと言うより、そのまま刺青…と言ったノリ。
ゴングが鳴ると、足の運びが完全にムエタイのシーラユット。
もしかすると並行してムエタイの方も現役なのかもしれない。
フレームにはっきりと差のある二人。
田中の長いボディアッパーが、シーラユットのガードの下から何度も潜り込む。
シーラユットは田中が頭を下げたタイミングを狙って鋭い左フックで対抗。
さらに飛び込んでオーバーハンドも多用。
飛び込むタイミングも良く…やる気満々。
シーラユットの上のガードは固く、ラウンド終盤に入ると、田中はボディを多用する。
2R、ボディを含めたコンビネーションを多用し始めた田中に対し
シーラユットは単発での反撃が精いっぱい。
中盤までボディを多用した田中だが、コーナーに追い込んだところで、
右ストレートを顔面に突き刺し、シーラユットは膝を突くダウン。
再開後、シーラユットがオーバーハンドを空振りしたところを、田中がラッシュで襲いかかる。
痛烈に左ボディを効かされたシーラユット。
脱出しては襲われの繰り返しで、ラウンド終盤まではなんとか持ちこたえたが、最後はまたも左ボディ。
崩れ落ちたシーラユットをレフリーがストップ。
KOタイムは2R 2:45。
シーラユットはもう少し絞った姿が見てみたい。
フレーム差が解消されれば、強さを発揮する選手に見えた。
田中はとりあえず、順調に再起したことにほっとする。
上が固いと見るやボディを狙っていく柔軟さは落ち着きの証拠。
しっかりと力量差を見せてくれた。
今後もう一度チャンスをつかむまで、しっかり見ていきたいと感じる。
ここでセミファイナル前に長い休憩が入る。
テレビ中継に合わせる為、時間調整。
このゆったり感は、普段の興行を見慣れていると少し異例だが、僕は嫌いじゃない。
世界戦ならではだし、この時間で前座の興行をゆっくり振り返ることができる。
この日、チケットを押さえてくれた年の離れた友人と話し込む。
かつて全日本新人王を獲得し、中日本を盛り上げた元日本ランカー。
ボクサーをアイドルとして見てしまう自分にとって、
現役選手とこれほど距離を縮めてしまうのは珍しい。
自分が世界戦の前座として試合に出たときの話…。
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦うとしたら…そんな意地悪な問いにきっぱりと答える。
「一撃のカウンターを狙う。負けると思ったら、もうそれしかない。」
戦いたいですか?
「強い相手と戦いたいという気持ちがなくなったら、その時は終わり。」
激戦を戦い抜いてきたその目は本気だ。
多分、現実にロマチェンコと対峙することになったら、喜んでリングに上がるだろう。
それほど、この男は強くなることに一途だ…。
腹の底から…震えが来る。
この日は某ジムでトレーナーを務めていた方からも色々と話が聞けた。
経験のないニワカファンの自分にとって、学ぶことはとにかく多い。
トレーナーや選手の内面を知る術は限られている。
そんなこんなで、時間はあっという間に消化。
15:15を迎え、セミファイナルの6回戦が開始される。
【スーパーフライ級6回戦】
畑中 建人(畑中) vs ワチャラポン・シットサイトーン(タイ)
・畑中 建人 2戦2勝(2KO)
・ワチャラポン・シットサイトーン 12戦7勝(2KO)3敗2分
どういうことだろう…ワチャラポンはBoxRecでは5敗したことになっている。
JBCのHPにある試合結果を見てみると、ワッチャラポン・ギャットプラパット(タイ)となっている。
ワッチャラポン・ギャットプラパットとワチャラポン・シットサイトーンは別名?
タイ人のリングネームはワチャラポンがリングネーム、後ろにつくのがスポンサー等の名前になる為
同一人物だと思っていたが…。
サッカー選手にもワチャラポンというのはいるようで、もしかするとよくある名前なのかもしれない。
畑中 健人は第13代WBC世界スーパーバンタム級王者 畑中 清詞(松田)の息子であり、高校時代には国体3位の実績を誇る。
中日本の誇る、スーパーホープの一人。
畑中は初の6回戦となったこの試合。
オープニングヒットはワチャラポンのアッパーにバックステップしながら合わせた畑中のジャブ。
しかし、その後の様子見の時間帯、畑中の撃ち出しに合わせてワチャラポンがパンチを差し込む。
スリリングなパンチではないが…このタイ人、なかなか目も反応もいい。
会場に「ハーフ!」の声が響いた1:30秒過ぎ…
ここから畑中がギアを一段上げる。
撃ち出しを捉えていたワチャラポンの拳より先に畑中の拳が届き始める。
右ボディから左フックでいきなりグラつかせる。
その後も、バックステップや腕を使ったディフェンス、ガードで柔らかくいなしながら、
強烈な左フックやワンツーを効かせる場面が訪れる。
ワチャラポンは畑中のジャブ越しにクロスを一撃入れる場面はあったものの、
ダメージにはなっていないように見える。
2R、畑中は武器である、強いジャブを突き刺していく。
さらに強烈な右も含め、3分間に渡ってダメージングブローを突き刺す。
一方的な展開。
3R、このラウンドも畑中が一方的。
ロープに詰めると、積み重ねたダメージもあったか、
仕留めにかかった畑中の強烈な右を浴びてワチャラポンはダウン。
立ち上がったが、再開後はすぐさまラッシュを浴びてレフリーがストップ。
課題だった攻めていくときにもらってしまう悪癖はわずかながら顔を出したが…
3Rまで戦ったことで、ジャブとは違うもう一つの武器を確認できた。
それが…柔らかさ。
最近複数のホープが出てきている中日本だが…
畑中はかなり期待できると感じている。
少なくとも、タイトルを賭けて戦う姿は、想像できる。
今後にワクワクさせてくれる…。
ここでまた、休憩が入り…
TV中継に合わせた、午後4時…世界タイトルマッチのゴングが鳴らされる。
次回は中日本ボクシング観戦記、初の世界戦をレポート。
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