2024/8/12 -愛知・名古屋国際会議場- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2024/8/12 -愛知・名古屋国際会議場- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【54kg契約6回戦】
大城 雄都(トコナメ) vs 犬塚 音也(松田)

静かな立ち上がりの中、入ってくる大城に右を捻じ込んだ犬塚。
鋭くジャブを突き、入って来れば右アッパーを叩き込む。
大城の攻撃は高いガードで受け止める。

ラウンド終盤は頭を付けてのファイトでも丁寧なガードで被弾許さず、強烈なボディを叩き込む。
接触は少なくとも、はっきりと制し、完璧な立ち上がりを見せた犬塚。

2R、入り込んで左フックから右アッパーをヒットさせ、ようやく捉えた大城だが
頭を付けての撃ち合いの中では、犬塚が種類豊富なパンチでヒットを奪っていく。
距離の無いところで右フックをヒットさせる大城だったが、
ラウンド終了間際、犬塚が左アッパーから右フックを叩き込んでダウン奪取。

3R、まだダメージが抜けていないようにも見える大城。
犬塚はいきなりコンビネーションを纏めてみせる。
グラつきなんとかダウンをこらえたところ、
犬塚が左ボディから右アッパーをヒットさせた場面でレフリーが試合をストップ。

TKOタイムは 3R 48秒

ファイターの大城に対し、ファイトで完全に上回った。
どの距離でも犬塚が制した圧倒劇…その強さを叩きつけて、
A級戦線を戦うにふさわしい力をアピールした。

本来A級昇格の権利を持ちながら、B級でもう1試合のテストとなった試合。
アピールとしては充分すぎる結果だったように思う。

対して、大城…「絶対にやめておけ」と言われた相手に挑み、完敗を喫した。
どんなボクサーもいつまで続けられるかわからない現役生活。
強い相手と戦ってこそ…、完敗ではあったものの、犬塚に挑んだ勇敢さには鳥肌がたった。
同じ中日本で戦っている選手同士、その実力は百も承知だったはずだ。

何もできなかった…だけど自慢の一戦。
キャリアを終えた後、そういった試合を誇る元ボクサーは多くいる。
この日の大城の勇敢さは、きっと犬塚が証明してくれるはずだ。

大城 雄都 9戦5勝(2KO)4敗
犬塚 音也 9戦8勝(4KO)1分

 

■WBOアジア太平洋フライ級タイトルマッチ
【フライ級12回戦】
畑中 建人(畑中) vs タナンチャイ・チャルンパック(タイ)

オープニングヒットはタナンチャイ。
畑中のジャブの撃ち終わりに、右アッパーから左フックに繋げて顔面を襲う。
お互いにパンチを躱し合ったあと、返しの左フックを突き刺して反撃した畑中。
踏み込むタイミングを探り合う中、畑中が入ったところを襲うタナンチャイ。
撃ち終わりだけでなく、自分からも撃ち出していくタナンチャイ。
最初の3分間で世界ランカーに相応しい実力を見せつける。

2Rのオープニングは畑中がジャブを突き刺して先制。
タナンチャイの左フックをかいくぐって右フックを突き刺した畑中。
キワキワのタイミングでカウンターを撃ち出してくるタナンチャイにも怯まず
畑中はジャブの刺し合いから右ストレートと突き刺す。

飛び込みながら巧みにアッパーを突き刺してくるも、
その離れ際に右をオーバーハンド気味に捉えて畑中が反撃。
一進一退の展開、試合としては抜群に面白い内容。

3R、畑中のジャブの撃ち終わり、しきりに右を狙うタナンチャイだが
それでもタイミングよく、畑中がジャブを突き刺していく。
少し深く入りすぎればタナンチャイが左アッパーで捉える場面を作る。
逆にタナンチャイのボディの撃ち終わりに、畑中が右フックを撃ち込む。

4R、自分から仕掛ける場面を増やしてきたタナンチャイ。
畑中は撃たれても撃ち返し、完全には主導権を譲らない。
畑中の右ストレートを被弾しても、即座にパンチを返してみせるタナンチャイ。

タナンチャイが踏み込んだ所に畑中が右ストレートを深く差し込んでも
効いた素振りを見せないタナンチャイ。
畑中の右に、大砲の右を合わせるカウンターも見せる。
ハンドスピードも凄まじく…強い、本当に強い世界ランカー。

5R、お互い見合う中、畑中の撃ち終わりにカウンターで捉えるタナンチャイ。
畑中は細かくジャブを飛ばしてヒットを奪っていく。
ラウンド中盤には先手で仕掛けたタナンチャイが、
右アッパーからのコンビネーションで畑中の顔面を襲う。

畑中がタナンチャイを捉えた場面でも、撃たれながら手を返すタフさも見せるタナンチャイ。
ジャブを重ねる畑中だが、積極性を増したタナンチャイが印象的なヒットを奪っていく。
畑中の強烈な右ストレートのビッグヒットにも、タナンチャイは止まらず。

6R、畑中が前に出て撃ち合いに挑んで行く。
タナンチャイの撃ち終わりをコンビネーションで捉える。
しかし、タナンチャイは撃たれながらもそのままパンチを返し、戦局を五分へと引き戻す。

7R、見合う中、タナンチャイの右が先制。畑中は潜り込んで左右ボディを叩く。
上下へコンビネーションを撃ち込んで来るタナンチャイ。
ジャブを鋭く突き合いながら、ガードを高く上げて詰めていく畑中。

8R、ジャブを突いていく畑中に対して、タナンチャイは潜り込んでボディを削る。
お互いに腹を叩き合う展開へとなるなか、試合は激しい撃ち合いへと発展。
押し合いながらの密着戦では、タナンチャイの腕を折りたたんだ
鋭いショートアッパーが畑中の顔面を何度も跳ね上げる。

9R、ボディを削りに来るタナンチャイをジャブで捉えて行く畑中。
体で押し合いながらの撃ち合いになるとタナンチャイがコンパクトに畑中の顔面を弾く。
撃ち合いの中、より手が出てくるのはタナンチャイ。

10R、離れた場所から飛び込んでコンビネーションを浴びせた畑中だが、
タナンチャイも強烈な右ストレートを浴びせて反撃。
至近距離でタナンチャイがまとめる場面が目立つ。
ラウンド中盤以降、一方的にタナンチャイが撃ち勝っていく。

11R、手数の落ちた畑中をタナンチャイがコンビネーションで襲っていく。
時折カウンターで捉える畑中だが、タナンチャイは止まらない。
自分から踏み込んで、ボディから顔面へと襲っていく。

12R、鋭く鋭くジャブを突き刺すタナンチャイ。
逃げ切りの体制か、無理しては入って来ず、
それでもコンビネーションを浴びせる場面を作って優勢をアピール。

終盤、お互いに強烈にカウンターをとり合うが
戦局を変えるには至らず、試合終了のゴング。

マイジャッジは116-112 タナンチャイ

114-114
116-112 タナンチャイ
115-113 タナンチャイ

2-0 タナンチャイ

敵地戴冠に大喜びのタナンチャイ陣営。

世界ランカーにもグレードがある。
世界ランキングに名を連ねて、しばらくすると消えて行くランカーもいれば、
世界王者より強いとさえ思えるランカーも潜んでいる。

タナンチャイは少なくとも、世界挑戦の場に顔を出しておかしくない力に見えた。
統一戦嗜好が強くなっている現在の世界戦線、指名戦等もあり、
簡単にはチャンスがまわってこない状況。

この殊勲の星をあげたアジア王者に、
近辺の階級にいる日本人世界王者がチャンスを与えてくれればと感じる。


対して畑中にまず感じるのは、ベルトを巻く者として立派な姿だったと思うこと。
WBO-AP王者として強い強い挑戦者を迎え、そして陥落した。
強いランカーにチャンスを与えるのは王者の役目。
その役目をまっとうに努めた結果だった。

そして、世界ランカー対決となったこの試合、このクラスの相手にはまだ届かなかった。
まだ…。

ボクシングは結果が全ての世界でもある。
ただ、この敗戦は畑中の途中経過で出た結果でもある。
まだ成長過程…本当の結果はリングを去るときに決まるもの。

この敗戦を踏まえて、畑中がどうなっていくのか。
負けてからがボクシング、敗戦を踏むことでボクサーはよりその味わいを深くする。

ここからが本当の勝負になる。
強くなってくれ、そして世界を…。

畑中 建人 16戦15勝(10KO)1敗
タナンチャイ・チャルンパック 25戦24勝(15KO)2敗

 

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