南アフリカでの崔冠劇 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑪ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/05

南アフリカでの崔冠劇 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑪ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/05
 
 
 

ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、11日目。
 
 
 

前回は166cmのカウイがライトヘビー級から階級を変えクルーザー級に挑んでいくところ。
懐疑的な目を向けられながらも、マイケル・グリーア(米)との熱戦を制し、
世界挑戦のチャンスを手に入れたところまで。
 

挑んだ相手はWBA世界クルーザー級王者のピエト・クルス(南ア)
 

地元南アフリカで連戦連勝、WBA世界クルーザー級初代王者の
オジー・オカシオ(プエルトリコ)を南アフリカへ呼び寄せて王座を獲得。

24戦23勝1分で王座を獲得しながら、今日ほど情報があふれていない時代、
ベールに包まれたアフリカの白人世界王者。
敵地南アフリカへ乗り込んでの世界挑戦。
 

足を止めてジャブを刺し合うオープニング。
リーチ差もあり、丁寧にカウイのジャブを外して左を撃ち込むクルス。
カウイが入ってくるとアッパーで迎撃。
しかし、カウイが右から入ると強烈な一撃を喰ってしまう。
それでも、カウイの攻撃を単発で食い止め、数多くのジャブを撃ち込んでいく。

フットワークを駆使するわけではないことから、アウトボクサーには見えないクルス。
頭一つ分も小さいカウイのプレッシャーに下がらされながらの戦い。
ぐっと踏み込んで撃ち込むカウイの強打をいくつか被弾。
それでも丁寧に数多くのジャブを撃ち込むクルスが優位に見える。

軽打を積み重ねながら、カウイの入り際にはしっかり強打を合わせるクルス。
しかし、カウイの一撃はクルスの力を込めたパンチが比べ者にならないほどの威力。

クルスの顔面が何度も跳ね上がる…。
クルスの手数か、カウイの一撃か…。
3Rあたりから、ボディの比重を強めるカウイ。
 

4Rに入ると、丁寧にジャブから組み立て直すカウイ。
飛び込んでの強打を控え、ロングレンジで抵抗。
しかしクルスのテンポのいい手数は相変わらずカウイを圧倒している。

しかし、5R後半、カウイが飛び込んでの強打をヒットさせ始める。
一旦クルスがぐらつくと、その後何度も強打をヒット。
ヒット数には開きがあり、このラウンドもクルスに獲られていそうですが…。
それでも逆転KOの匂いが漂い始めます。

カウイのジャブが強烈にクルスを捉えるのに比例して
クルスのジャブがさらに軽くなる。
タッチするようなジャブやショートの連打でカウイの突進を防ぎながら、
そのパンチは的確さを増していく…。

うるさいクルスの細かい連打に対して、カウイはボディへの比重を強めていく。
あまりにも軽いクルスの連打に、カウイは被弾を気にせずに向かう…。
その分、クルスのヒット数は数を増していく。

カウイからしてみれば元々敵地での試合、判定を狙う気などないか…
圧力を強めて強打を狙うカウイ。
クルスにコントロールされながら、隙あらば叩き込む強打でクルスにダメージを与えていく。
 

9R、突然試合の展開が急変する。
疲れからか手数が減り始めたクルス。
カウイがロープ際まで押し込んだラウンド中盤、クルスのジャブに合わせた右クロス。
強烈な一撃に、カウイを遠ざけようともう一度出した苦し紛れのクルスのジャブに、さらにもう一度カウイの右クロス。
一瞬意識を飛ばし、視線うつろにふらつくクルス。
攻め入るカウイですが、意識を取り戻したクルスは丁寧にカウイのパンチをガードして乗り切る。
勢いにのるカウイは飛び込みざまの左フックなど強打を重ねるも、
終盤はクルスが触るような連打を重ねてカウイの接近戦を拒否。
 

10Rからはダメージを蓄積したクルスに、カウイのジャブがヒットし始める。
やはり細かいジャブはうるさいものの、カウイが押し込む展開。
クルスのタッチをヒットとしてとれば、試合を通じてクルスが支配されていると見えてもおかしくない。
しかし、蓄積されたダメージは明らかにクルスを消耗させている。
 

11R、ラウンド開始早々からクルスに圧力をかけて強打を振るっていくカウイ。
右のカウンターがクルスに炸裂すると、背中を向けてクルスが後退。
追いかけて撃っていくカウイ…捌ききれないクルス。
コーナーに追いつめられて何度も右フックを突きたてられ…崩れ落ちるようにダウン。

立ちあがったものの、再開後はロープ付近まで追いつめられての撃ち合い。
カウイの右ストレート、右アッパーがカウンターで刺さり、クルスは前のめりに2度目のダウン。

あまりに深過ぎるダメージに、ここでレフリーが試合をストップ。
ここまでの公式採点はクルスの2Pリードが1名、ドローが2名。

クルスの細かいパンチをどう採点するかによっては、大きく見解が異なりそうな試合。
追いつめられたカウイが、強烈なプレッシャーで劣勢の試合をもぎ取った…そんな試合。
 

懐疑的な目を覆し、敵地での試合をもぎ取って2階級制覇。
カウイの株がまた上がる…。

これから不人気階級、クルーザー級の人気を引き上げる活躍を見せるカウイ。
次回はカウイと言えばこの試合…

彼のベストバウトを迎えます。

 

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