2025/11/16 -石川・石川県産業展示館- 第1試合~第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フェザー級4回戦】
直田 侑大(カシミ) vs 木地本 竣太(湘南龍拳)
△4R判定 1-1(39-37、38-38、37-39)
フレームの大きな木地本が直田の入り際を叩いていく立ち上がり。
ガードで受け止めながら、ときにもらいながらグイグイと詰めた直田。
木地本が足を止めて応戦すると直田の左右フックが突き刺さる。
3Rは撃ち合った木地本、最終ラウンドは大きく足を使った木地本。
直田の入り際を強烈に叩くも、直田も終盤に向けて木地本を捉える場面を増やしていく。
拮抗した試合、マイジャッジは39-37で直田。
公式ジャッジは割れて1-1のドローとなった。
12分間、落ちることなく追いかけ続けた直田。
腹を決めたようにグイグイと突進していったファイターぶりは見事だった。
デビュー戦らしい粗削りさもあり。
ここから強くなっていく臭いが立ち込めているように思えた。
対して木地本もまた、ここからが楽しみな選手に思えた。
ロープに背中が近い場所で撃ち合うことが多かったり、
見栄えの部分で損をしたところもあったようにも思える。
しかし、そこは経験値が効くところだとも感じた。
いいデビュー戦対決を見た。
未来が楽しみになる二人の一戦がオープニングカードとなった。
直田 侑大 1戦1分
木地本 竣太 1戦1分
【48.5㎏契約4回戦】
手取 雄太(カシミ) vs 岡田 駿也(西遠)
3RTKO 勝者:岡田
詰めながらワンツーを突き刺していく手取。
撃ち終わりを捉えるサウスポーの岡田。
2Rには押し合いの中で岡田が右を強烈に当てると一気に優勢に。
詰める手取が、至近距離での攻防へ持ち込むも、岡田はその距離で拳を当てさせず。
丁寧に丁寧に頭を振って外して、ビッグヒットを叩きこむ。
3Rには手取の連打の嵐の中、狙いすましたように右フックを叩きこんでダウンを奪う。
再開後、強打をまとめてTKOへと持ち込んだ。
ハンドスピード、手を出し続ける体力、前へ出続けるハート。
沢山のものを持ち合わせているように見えた手取。
例えばデビュー戦対決であれば、あの手数の中で
相手が手を返せずに手取が圧倒していくといったような絵も浮かんだ。
今回の相手は既に3戦の経験値のある相手。
力のある相手に挑んだからこその敗戦だったように思う。
これで4戦目の初勝利となった岡田。
派手なダウンシーンを演出したが、そこにつなげたのは頭を振る動き。
地味ながらも相手にとって嫌なこと…防御をKOにつなげる。
まさに「西遠」といったボクシング。
たまたま勝ったわけではない。
確固たる強さを見せての勝利に思えた。
価値ある初勝利と見えた。
手取 雄太 1戦1敗
岡田 駿也 4戦1勝(1KO)2敗1分
【スーパーフェザー級4回戦】
中村 永遠(トヤマ) vs 中尾 公信(市野)
2RTKO 勝者:中村
頭を着けてのファイトで始まった試合。
手数もヒットも無敗の中村を負け越しの中尾が上回る。
中尾が撃ち勝ちグイグイ攻め込んでいく中…
2R、攻め立てられていた中村がショートの右で中尾を捉える。
前のめりに手を着いた中村…。
それほどダメージも感じられなかったが、
勝負所と踏んだ中村が一気に手数を出して捉えていく。
レフリーが割って入ってTKO勝利。
これまで劣勢をひっくり返してばかりの中村。
さも当たり前かのようにこの試合を右一発でひっくりかえした。
いつもギリギリの試合、まさかの無敗でB級昇格。
「富山の千両役者」
格別の面白さを持って次のステージへと挑んでいく。
そして、B級に昇格するような選手に対してそれを上回る展開を創れる中尾。
スタミナに不安のある選手でもなく、あの一撃さえなければ中村を上回っていた可能性もある。
もちろん勝負事、中村が強かったのは間違いはないが、
勝負が決する瞬間までそれに拮抗する力を見せたとも思える。
スピードもなかった、パンチの数も少なかった。
あの中尾がここまで来ている…。
B級戦線でも勝負できそうな選手と見えるだけに。
ここからの巻き返しを期待したい。
その力があることはこの映像に残っている。
中村 永遠 5戦4勝(3KO)1分
中尾 公信 9戦2勝(1KO)6敗1分
【フェザー級4回戦】
硲 翔大(カシミ) vs 吉田 真虎(西遠)
2RTKO 勝者:吉田
好戦的でキビキビしたファイトで始まった試合。
押し込みながら戦う吉田に対し、硲が下がりながらも左フックを叩きつける。
吉田の左ボディに合わせて飛んでくる硲の左…痛烈に被弾する吉田だが、
左ボディをパンチの選択から外すことはなく、リスクを犯しても撃ち続ける。
撃ち合いになる2R、お互いが捉え合う中、右を効かせた吉田。
クリンチに逃れようとする硲だが、吉田はそれをさせず、
インファイトの中のコンパクトな連打でレフリーストップを呼び込んだ。
インファイトでコンパクトに叩きこんで手数とヒットで上回る。
そんな吉田のボクシングだったが、ここに明確に強弱が加わった。
さらに、リスクを犯しても左ボディを撃ち続けたことによって
決定打となった右が突き刺さったようにも思える。
少しずつ少しずつ構築してきたものが、ここに来て結果として出たように思える。
決して近道をせず、目先の結果以上に、
そのボクシングを磨くことに重きを置いたからこそ手に入れた強さ。
まさに飛躍と言えるこの日の吉田の戦いぶりだったように思える。
そして、硲の敗戦に関しては、もう仕方ないとさえ思えた。
選手が突然その実力を飛躍させる試合がある。
その試合に立ち会ってしまった…。
恐らく、映像で確認していたこれまでの吉田とは比較にならなかったように思う。
ただ、硲のことを僕は未完の大器だと何度も言ってきた。
心の底からそう信じている。
この日、吉田が見せたような「飛躍」を何度も繰り返していく選手だと思っている。
今は目先の勝ち負けじゃなくていい。
この負けを「強くなるための負け」に変えることが重要だと思っている。
勝負所はこの試合のリング上ではない。
ダメージが抜け、ジムワークを再開して以降の日々こそがきっと硲にとっての勝負所。
強さを増して次のリングに上がって来る硲に期待している。
硲 翔大 4戦2勝(2KO)2敗
吉田 真虎 4戦3勝(2KO)1敗
【スーパーフェザー級6回戦】
新田 晃生(カシミ) vs チャン・デヨプ(韓)
4RTKO
この試合の最初の撃ち合い、スリリングな拳が交換する中、
チャンの強烈な左フックが綺麗に入って新田がダウン。
固さも見られた立ち上がり、新田にいきなり暗雲が立ち込める。
以降をしっかりと落ち着いて建て直した新田。
細かく出入りしながらヒットを奪っていく。
ラフに頭から入る場面を増やしたチャンにも冷静に対応。
自分から仕掛けつつも、チャンが入るところにはしっかりと合わせていく。
新田が完全に主導権を握ったかに思える中、突如チャンの右目が腫れ始める。
4Rに入ると、試合が止まる前にと勝負に出るチャン。
襲い掛かるチャンを撃ち合いで押し返す新田。
新田が撃ち勝っていく中でも、撃ち合いに挑んでくるチャンだったが
いったん試合が落ちついたタイミングでレフリーがドクターチェック。
試合はそのままストップされた。
はっきりと主導権を奪い、どの局面でも上回っていた中でのストップ。
ダウンポイントがあった分、ここまでのマイジャッジはドローだったが、
試合展開としてははっきりと新田が制していたように思える。
韓国から勝利を奪いに来た勇敢な選手だったチャン。
撃ち負けても勝利に向けて挑んできた強豪。
新田が大ピンチを切りぬけてはじき返した。
これでA級昇格…やっと新田がここまで来た。
A級戦線、どのような道のりを歩むか…。
勝ち抜けてきた選手しかいないグレード。
更なる厳しい戦いが待ち受けるだろうが…
この選手が他のホープたちに負けず劣らず、
その名を全国にとどろかせる瞬間が楽しみでならない。
新田 晃生 10戦7勝(5KO)3敗
チャン・デヨプ 9戦4勝(3KO)4敗1分
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