2024/8/11 -愛知・刈谷あいおいホール – 第4試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■2024年度中日本フェザー級新人王決勝
【フェザー級4回戦】
鈴木 蒼平(とよはし) vs 木附 大己(LUSH緑)
慎重に前の手を叩き合う、右対左の対決。
ボディへストレートを伸ばす木附に撃ち終わりを狙うサウスポーの鈴木。
ラウンド中盤、豪快に左フックを突き刺し始めた木附。
そのまま右フックにもつなげる。
鈴木は左ストレートで反撃、木附をロープに詰めてラウンドが終了。
2R、勢いを増して撃ち合いを仕掛けた鈴木に対し、
応じる木附の右ストレートがカウンターで突き刺さりダメージ甚大のダウン。
立ち上がった鈴木、なんとかクリンチで逃れようとするが、
最後は木附が右ショートで2度目の痛烈なダウンを奪ってレフリーストップ。
TKOタイムは2R 1分9秒
木附の強打に果敢に立ち向かった鈴木、
KOされる直前まで、木附の顔面を強烈に捉える場面も見せていた。
しかし、鈴木の連打の合間を縫うように突き刺された木附の右。
パンチがしっかり見えていたからこそのタイミングにも思えた。
この勝利で中日本新人王MVPを受賞。
1年前はもっと荒々しい選手だったように思える。
トーナメント中にも力を伸ばし、綺麗なKO勝ちでの中日本新人王奪取。
全国的にも注目されてきている。
ランカークラスがごろごろひしめくLUSH緑。
木附がどこまで上り詰めるか、楽しみで仕方ない。
鈴木 蒼平 2戦1勝(1KO)1敗
木附 大己 6戦4勝(3KO)2分
■2024年度中日本ライト級新人王決勝
【ライト級4回戦】
バンザイ・リオン(天熊丸木) vs 田中 友介(西遠)
ジャブを刺し合いながらのファーストコンタクト。
密着したところで右を振り抜いた田中がなぎ倒すようにダウン奪取。
再開後、サイドに周りながら強打を撃ち込み撃ち終わりにパンチをまとめた田中だが
徐々にエンジンがかかってきたか、
リオンが強烈に左ストレートをぶつける場面が目立ち始める。
1R終了後、西遠陣営がレフリーに続行不能のジェスチャー。
2Rのゴングはならされるが、試合は進行されず。
ドクターのチェックを挟み、改めて試合終了の判断。
記録としては2R負傷ドロー
負傷ドローの場合、東日本新人王戦では怪我をしていない方が勝ち抜け。
中日本の場合はそこまでの優勢点で勝ち抜けを決める。
中日本の新人王ルールにより、優勢点で田中が中日本新人王となった。
ダウンを奪われはしたものの、リオンとしてはここからというところ。
消化不良の中でのトーナメント敗退となった。
この試合で腐ることなく、次を目指して欲しいと感じる。
ダウンを奪っている以上、優勢だったのは田中。
トラブルで続行不能となった試合で、田中の勝ち上がりに異論はないが、
中日本新人王は、秋には西部日本新人王との対戦が控えている。
この怪我の回復が間に合うのかどうか…。
暗雲立ち込める田中の新人王獲得。
今年のトーナメントでキャリアが終わるわけではない。
今後を見据えた判断を願いたいところ。
そして、はっきりと決着のつかなかったドローの試合。
これが伏線となって、より面白いボクシングが展開されることにも期待したい。
バンザイ・リオン 2戦1勝(1KO)1分
田中 友介 4戦3勝(2KO)1分
【バンタム級4回戦】
佐治 大輝(タイガーウイング) vs 山城 勇希(天熊丸木)
まずはいきなり山城が左フックで先制。
佐治はジャブを飛ばしながら、固さが抜けて来たか
左ストレートを続々と飛ばしていく。
山城が左を伸ばしながら詰めた場面では右をかぶせてサイドへまわる。
デビュー戦から種類多くパンチを飛ばしていく。
山城も右ストレートを突き刺して応戦し、
ラウンド終了直前には右アッパーで捉えてみせる。
2R、より攻勢を強めてコーナーを飛び出した山城。
右を出した山城に佐治の右ストレートが刺さって痛烈なダウン。
天熊丸木陣営からタオルが投げ込まれ試合は終了。
その前にテンカウントが入ったということか、公式記録ではTKOではなくKOとなっていた。
KOタイムは2R 28秒
佐治 大輝 1戦1勝(1KO)
山城 勇希 3戦1勝2敗
終了直後、コーナーで身振り手振りで何が起こったかを山城に説明する丸木会長。
いったいどんな気持ちだったんだろうか…本人が一番悔しい。
でも、本人の努力を見て来た人間もやっぱり悔しい。
「心痛めずタオルを入れれるセコンドはいない」なんて言葉も聞いたことがある。
危ないと思えばタオルを投げ入れるのはコーナーの役割だ。
ただ、このタオルは選手の命だけを守る物には思えなかった。
山城の「次」を守りに行った…そんなタオルに見えた。
ボクサー人生を全うして欲しい…そういう思いで山城を見ている人達が沢山いる。
山城の次を見たいと思っている人達が沢山いる。
叶うことなら、またリングに上がって来て欲しい。
そして、この試合が4戦目となる選手相手に、
デビュー戦から鮮烈なKOシーンを見せた佐治。
なかなか高いハードルを颯爽と越えたようにも見えた。
来年の新人王へのエントリーはあるだろうか。
期待値の高い選手が、また中日本のリングに登場したと思えた。
【バンタム級6回戦】
樫谷 樹歌(タイガーウイング) vs 酒井 大成(宇部BS)
左の刺し合いで始まった試合。
密着した場面での酒井のショートが痛烈に刺さる。
ラウンド後半に進むにつれ、樫谷のジャブが増えて行く。
終盤には酒井が入っていったところに樫谷がコンビネーションを浴びせてラウンド終了。
2R、密着した場面で強烈にボディを撃ち込む酒井。
ジャブを数多く突き刺す樫谷に、密着した場面での
ショートアッパーや左ボディで印象的なヒットを奪う酒井。
3R、至近距離での攻防が増え、酒井が撃ち勝つ場面が目立つ。
樫谷が左フックをヒットさせて酒井が尻餅をつく場面もあったが、ここは足が絡まってのモノ。
近付けば酒井優位だが、その近付くまでには樫谷が切れにジャブで捉えてく樫谷。
4R、樫谷が撃ち合いの時間を増やし、試合は激しさを増す。
はっきりと撃ち合いに舵を切った樫谷は互角以上の撃ち合いを展開。
少し酒井の動きが落ちたようにも見える中、ヒッティングで酒井がカット。
5R、体で押し合いながらのファイト。
右フックから左フックで捉えた酒井、入って来るところをコンビネーションで捉えた樫谷。
後半に進むにつれ、クリーンヒットが乱れ飛び、試合は壮絶になっていく。
6R、拮抗した展開の中、二人が頭を付けての撃ち合い。
どちらも押し負けず、力のこもったパンチで捉え合う。
回転では酒井が勝るか…二人は最後まで撃ち合って試合終了のゴング。
マイジャッジは57-57でドロー
公式ジャッジ
58-56 酒井
58-56 樫谷
57-57 ドロー
1-1 ドロー
前半、長い距離では樫谷のジャブが、至近距離では酒井が上回っていた。
後半、樫谷が姿勢を完全に撃ち合いにシフトすると試合は壮絶なものとなった。
どちらが勝っていてもおかしくなかった試合。
拮抗していたことがそのまま採点に落とし込まれたように、三者三様のドローとなった。
印象的なヒットは酒井だったが、ジャブで稼いだヒットでは樫谷。
触るようなジャブでは評価されないことも多い。
しっかりとジャブを評価させてポイントに反映させたことは今後の期待値を上げる要素だと感じる。
何より、この日の酒井は強かった。
このドローで酒井はA級昇格。
A級戦線を戦っていく力も証明しての昇格劇だったようにも思う。
樫谷に勝ちがついて来なかったことは残念だが、まだまだここから力を伸ばしていく選手。
現時点でも刈谷の人気ボクサーの一人、そして将来の刈谷のスター候補。
成長過程の中の一つの試合…こういった試合を勝ち抜く力がつく未来を待ちたいと思う。
樫谷 樹歌 7戦5勝(1KO)2敗1分
酒井 大成 13戦5勝(2KO)6敗2分
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