約半年ぶりの試合観戦。
コロナウイルス肺炎の流行を受けて、3月から国内ボクシングの時は止まった。
その間、先行きの予想が付かない中、ボクシング関係者は各々が必死の努力で生き残りをかける。
興行が打てる状況になった場合の即再開を考えるプロモーターは、
組んでは白紙、組んでは白紙の試合の延期を繰り返す。
試合がやりたくてもやれない。
選手も裏方も鬱々とした時間を過ごしていく。
大手ジムでさえ経営的に窮地に陥り、クラウドファンディングを使用して支援を募る。
出版業界など、他業界では数年前から有用な手法として利用されて来たものではあるが
ボクシング界では新たな動きに対する風当たりは強い。
当初、この動きに対する批判的な言葉も耳にしたが、
社会全体が窮地に陥り、変貌を求められる中、資金が集まるにつれてそういった声は小さくなっていき
やがてそれは、これまで打開したくても打開できずに来た様々な問題に対する変革への期待へと変わる。
A-Sineが8月に行われる興行に対し「無観客興行で収益化できるのか?」というテーマを打ち出し、
Youtube配信などの、新しいシステムに注目が集まり、
様々な人たちがクラウドファンディングにも挑戦していく。
7月に入り、ようやく無観客で試合が再開。
再開後最初の興行は刈谷あいおいホールで行われた中日本新人王戦だった。
これ以上遅れれば、70年の歴史を持つ新人王戦が途絶えてしまう。
ギリギリ間に合った形だった。
棄権や辞退選手が多数出たことでトーナメント表自体が小さくなったことも功を奏した。
運だけで成立したわけではないことは明らかだった。
裏側では沢山の調整が行われ、新人王の歴史は何とか繋ぎ止められた。
かくして中日本新人王戦から再開された国内ボクシング。
同月、一刻も早いボクシング興行再開を目指し、度重なる延期を繰り返して来た緑ジムの興行が打たれる。
延期のダメージは選手だけではない、興行側も、それを観戦しに行く予定を組んだ観客にも降りかかる。
また、「やりたい」ですぐすぐやれるものではない。
難局を耐えに耐え、興行再開から1か月未満で制限付きではあるものの観客動員ありの興行を成立させた。
コロナウイルスの流行は終わったわけではない。
観客を入れれる数は制限されている。
過去にデータがあるわけではなく、果たして客席数が足りるのか、それともほとんど客入りがないのか。
確実は予想が立てられるような状況ではない。
それでも、1日も早くボクシングを届けようとする彼らは、その興行を実現させる。
8月に入るとA-Signが無観客興行に向けたプロモーションの中で作成した、
選手紹介動画が爆発的な視聴数を集め、投銭システム等、画期的な新手法に注目が集まる。
A-Signの無観客興行は大成功を収め、各関係者や選手たちは業界の変貌に期待をかける。
選手数の減少や、ボクシングビジネスの市場の縮小。
様々な問題の中で、変革を期する思いは強かった。
各選手たちは各々Youtubeでの配信を行い、
ボクシングチケット.comでは「投銭システム」を利用した選手への支援金のシステムを確立させる。
「動画配信時代」
新たな時代への変革期の真っ只中、この日の興行が行われる。
コロナウイルスの流行が終わったわけではない。
それでも、ボクシング会場からクラスタを出さないよう、各関係者は努力を重ねている。
そこを信じて…約半年ぶりのボクシング観戦に向かう。
こんなにリュックサック重かったっけ。
中日本の大好きなボクサー同士の対決。
どちらかの応援に偏ったTシャツは避けたい。
そうだ…。
東日本で行われた4回戦ボーイの試合をプリントしたTシャツ。
「4回戦にも価値はしっかりある」
そんなメッセージが込められたようにも感じるお気に入りのTシャツ。
久々すぎて違和感満載の中、いざ、刈谷あいおいホールへ…。
さて、ここでいつもの
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
そして、TVで観戦するのとは違い、1つの角度しか見れず、スロー再生もない。
レフリーで隠れたタイミングでパンチが入っても気付けない。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識したうえで、読み進めていただきたい。
会場に着くと、いつものバルコニーには上がれない。
リングサイドに座っていると、見慣れた顔が通りかかる。
いつもバルコニーにいる自分が、リングサイドにいるのは珍しいらしく…笑われている。
久々の再会に嬉しくなる。
いろんな方々と会話を交わす。
景色がいつもと違い、戻って来た…感覚はあまりない。
どことなく、いつもと違う場所にいる感じ。
いつもならせり出しているひな壇もたたまれている。
リングアナウンサーが、コロナウイルス感染拡大防止のための諸注意を説明。
大声が禁じられる中、入場曲だけが響く中で第一試合の選手が入場。
経験したことのない感覚の中、第一試合のゴングが鳴らされた。
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