2024/3/31 -愛知・名古屋国際会議場- 第4試合(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

【228ポンド契約8回戦】
アレキサンドル・ジュル(ルーマニア)　vs　但馬ブランドンミツロ(KWORLD3)

長いジャブを飛ばしてくるジュル。
ジャブを飛ばし詰めて行きながら強烈なボディを突き刺す但馬。
ガードを固めながら時折ストレートを返すジュル。
但馬はボディから上へストレートを撃ち込む場面も見せる。

2R、ボディを中心に叩いていく但馬。
しかし…ジャブにクロスを合わされると、ジュルは手ごたえがあったか
一気に攻め立てると強烈な右アッパーで但馬がダウン。

立ち上がってクリンチに行こうとするがパワーで振りほどくと滅多打ち状態。
ここで、但馬は起死回生の左ボディ。
KOチャンスに攻めて来ていたジュルの動きが止まる。

一旦休んではジュルがラッシュで但馬を襲うが、その度に強烈なボディで但馬がジュルを止める。

3R、詰めてボディを繰り返す但馬だが、一旦流れが切れた場面で強烈な被弾。
強打を一発もらうたびに足元をグラつかせる但馬。
ラウンド後半にはボディ攻めも見せれず、濃厚なダメージを露にしたままラウンド終了。

4R開始直後、ジャブの刺し合いから右を捻じ込んだ但馬。
明らかに効いたジュルだったが、ここはしっかりクリンチ。
但馬のグローブをしっかりとホールドして流れを切る。

ダメージで足も鈍っている但馬、リーチで上回るジュル。
駆け引きでも上回られ、強打を幾度も浴びて行く但馬。

5R、一発被弾するとそのまま後続打を浴びてしまう但馬。
効かせるボディは撃ち込めているが、その数は少ない。
強打を撃ち込んでもその後をクリンチで阻まれる。

6R、ボディジャブを差し込んで行く但馬だが、
ジュルの長いリーチのジャブをもらってなかなか入れない。
強引に入れば鋭利なアッパーが待ち構える。
この試合有効に作用していた左ボディを撃ち込める距離にも入れない。
八方ふさがりに…。

7R、左目がふさがっている但馬。
ジャブを貰いながら、近付こうとはするがなかなか距離は詰まらず。
強引に行けばジュルの強打に掴まってしまう。

8R、いきなり右のオーバーハンドをぶつけた但馬。
後続打はクリンチで遮るジュル。
飛び込みながらの一撃を繰り返すが、その度にクリンチになり時間は刻々と過ぎて行く。

ラウンド後半には飛び込むしかない但馬を狙い撃つようなジュルの強打。
展開を打開できないまま試合終了のゴング。

マイジャッジ　79-72　ジュル

公式ジャッジ
79-72×3

世界ランキングに入る強豪に但馬が弾き返された。
重量級では日本人は通用しないのか…。
戦後のボクシングから延々と日本人が挑むことさえままならなかった重量級。

しかし、スペック負けはしていなかったように思える。
体の小さな日本人が、骨格から違う黒人や白人に弾き返されたわけではない。

離れ際の緊張感が緩む場面での強烈な被弾。
撃たれた後、その場にとどまっていいようにパンチを浴びる場面。
自分がクリンチしたい場面で、相手を抑えきれないクリンチワーク。

ピンチでの経験値が圧倒的に低すぎた。
ただし、そんな局面で相手を止めた左ボディ。
足も回らない、クリンチもできない…絶体絶命の場面で経験もない。
そこで但馬は最適解とも思える選択をしている。
これを才能と言わずして何と言おうか。

但馬は天才だ。

この試合が2RKOで終わらなかったことがそれを示している。
足りないピースを埋めて欲しい。
頭のいい選手だと思うからこそ、
どうするべきかは本人が解を持っているはずだと思っている。

アレキサンドル・ジュル　26戦21勝(8KO)5敗
但馬ブランドンミツロ　11戦10勝(7KO)1敗

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