2024/3/16 -愛知・ポートメッセ名古屋・第3展示館- ファイナル(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

アキレス腱断裂からの復帰戦。
スタイルチェンジを口にしていた矢吹。
この日、やはりフットワークはそれほど見られずだったが、
詰めて来る相手のパンチをいなしながら、カウンターで迎え撃つ。

獲物が入って来るのをジッと待ちながら、間合いをことごとく制していくかのような戦いぶり。
相手が効いたと見るや、一気に襲い掛かる姿はこれまでのKOシーンと変わらず。
3Rにはカウンターを皮切りに襲い掛かり、一気にダウンを奪い取った。

再開後、矢吹がじりじりと詰めると下がるビバスはスルスルとコーナーへ。
最小限の足運びでビバスをコントロール。

3Rは耐えきったビバス。
4Rには攻防をことごとく制され、強烈な被弾を繰り返す。
強烈なワンツーを突き刺してみせるも、お返しに右ストレートを被弾。
ラウンド終了に向けて攻勢を強めて行く矢吹。

ラウンド終盤、コーナーに詰まったビバスに右を叩きつけて2度目のダウン奪取。
ここでレフリーが試合をストップ。

TKOタイムは4R 2分41秒。

ハードパンチャーである矢吹の拳をカウンターで浴びながら、トライを繰り返したビバス。
下がったのは効かされた場面ばかりで、強烈な被弾を受けても攻めの姿勢を崩さなかった。

相対的に相手が強ければ、もう一方は弱く見えてしまうもの。
この日、拳を交換し合う場面でことごとく、矢吹に制されたビバスだったが、
パンチの交換で繰り広げられる、瞬時の駆け引きはハイクオリティ。
臆することなく闘い、そして強打に散った。

この相手を圧倒したところに、矢吹が世界戦線トップクラスであることが示されたように思う。
フットワークを抑えても、自分の射程を完全に把握し、
相手の動きに応じて空いた場所を強打で撃ち抜いていく。

本人は50%との自己評価だが、戦慄しかなかった。
待ち受ける形へのスタイルチェンジをしても充分すぎる程に強い。
ここからさらにこの形も磨かれているようにも思える。

待てば世界挑戦権はまわってくることが見えているIBF2位のランキング。
しかし、その前には次期挑戦者のクリスチャン・アラネタ(比)がいる。
アラネタの次の指名戦を待つとなると、1年以上は覚悟か…。
体重的にも、チャンス的にも早めのフライ級転向が視野に入る。

元々はフライ級主戦場からライトフライ級に落とした経緯もある為、
階級が上がることへの懸念はそれほど大きくないように思える。
兄弟世界王者へ向けて虎視眈々…チャンスがあれば即飛び掛かる態勢は出来ている。

矢吹正道　20戦16勝(15KO)4敗
ケビン・ビバス　9戦7勝(2KO)2敗

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