2019/08/24 -愛知・武田テバオーシャンアリーナ- セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【51.2kg契約10回戦】
畑中 建人(畑中) vs ジェイセベー・アブシード(比)
OPBF東洋太平洋フライ級12位/WBOアジア太平洋フライ級2位/日本フライ級5位/WBC世界ライトフライ級ユース王者
畑中 建人 9戦9勝(9KO)
ジェイセベー・アブシード 27戦19勝(12KO)8敗
WBC 世界ライトフライ級11位
1R、お互いにパンチが届かない位置に立ちながら、左を出して距離を測る畑中。
じっくりと見るアブシード…序盤、まずは畑中が素早い踏み込みで右ストレートを突き刺して先制。
しかし直後、今度は左ボディを撃った畑中に、アブシードが左フックを突き刺す。
見ている時間の長いアブシードに対し頻繁にボディを叩く畑中。
中盤にジャブを当て始めると、ダイレクトの右ストレートもヒットさせる。
終盤に入ると圧力を強めるアブシードだが、しっかりと距離を保ちながら
撃っては離れを繰り返す畑中にパンチをヒットさせる場面はわずか。
しかし…空振りにはパンチの威力を感じさせる。
2R序盤、畑中の右ストレートの空振りが流れたところに左右フックを叩きつけたアブシード。
ここはすぐさま畑中が距離を取る…。
ジャブを突いていく畑中だが、踏み込んだ所や、ダッキングしたところに
アブシードはスリークォーター気味の左アッパーを撃ち込む。
さらに、徐々に圧力を強めたアブシードが畑中のボディを叩き始めたところ…。
アブシードをロープに押し付けた畑中が、右ストレート、右アッパーとヒットさせてやり返す。
終盤に入る頃、撃ち合いになる両者は、お互いに腹を削り合う。
ラウンド終了直前、畑中がアブシードの大きな右フックに右アッパーを合わせて強烈に捉える。
3R、静かな序盤、距離が遠い中、アブシードが左のオーバーハンドを
撃ち込んで入り込み左ボディを強烈に突き刺す。
さらにお互いが奥の手のストレートを同時に撃ち込み躱し合ったところ、
頭が衝突するも、ものともせず、アブシードは左ボディを撃ち込む。
さらに左右フックでアブシードが捉えた場面から、
アブシードがスピードと威力のあるパンチで畑中の顔面を襲っていく。
しかし、この攻撃を左ボディで止めた畑中…
ロープに押し付けられた状態から体を入れ替えると、
アブシードをコーナーに詰めて、右ボディから右ストレートで
ガードごとなぎ倒すようにダウンを奪う。
再開後、ダメージはそれほど無さそうに見えるアブシード。
畑中も無理に詰めることはせず、落ち着いて出入りしながら、
左ストレートカウンターで突き刺す。
しかしラウンド終盤、近い距離で畑中が足を止めると、
アブシードが左右フックを連続で叩き付け畑中の顔面を襲っていく。
この攻撃がひと段落したところ、畑中は左フックと右アッパーのコンビネーションでやり返す。
その後も、アブシードの右アッパーと畑中の左フック、
畑中の右アッパーと、アブシードの左フックが相打ちするなどスリリングなシーンが産まれる。
4R、左ストレートを撃ち込みながら入って来るアブシードに右ボディから右フックを叩きつける畑名。
ジャブとボディで手数の出ないアブシードから主導権を握るかと思えた中盤…
アブシードが右フック一発で畑中を揺らすと、さらに左ストレートで追撃。
一気に襲い掛かったアブシード…パンチを返す畑中だが、ビクともせずに撃ち続ける中
左アッパーから右フックがカウンターで突き刺さり、畑中が痛烈なダウン。
再開後、左右ボディから顔面へ返して襲い掛かるアブシードだが、
ダメージを残すはずの畑中が、ファイトの中でアブシードの右アッパーに合わせた
強烈な左フックを立て続けに三つぶつける。
一旦体が絡み合ってブレイクとなると、再開後、今度はアブシードが左ストレートを三連続でぶつけ…
倒されたことで、本来なら捨ててもいいラウンド…
畑中が凄まじい気の強さを見せる。
5R、激しかった前のラウンドから、試合が落ち着きを取り戻す中、
中盤に畑中がダイレクトの右を連続でヒットさせる。
さらに、アブシードの左ストレートを被弾しながら右ストレートを突き刺すと
連続で右ストレートを叩きつけながら、アブシードをロープに押し付け、
アブシードがクリンチに逃れる。
終盤には右ボディを何度か叩き付け、ラウンド終了直前には
アブシードをロープに押し付けて、ラッシュで顔面を捉える。
6R、畑中が先手でジャブと右ストレートを突き刺していく展開。
手が出なくなったアブシードに対し、足を使いながらヒットを奪っていく。
時折ボディを返す以外にヒットを奪えないアブシード…
終盤、畑中の撃ち終わりに右アッパーを撃ち込み、
その後ようやく手が出始めるアブシードだが、畑中はしっかりと躱し続け、
アブシードは空振りを繰り返す。
7R、お互いにフェイントをかけ合う中、コーナーに詰まった畑中。
ダッキングしたところに、アブシードの強烈な右アッパーが突き刺さり、
コーナーを脱出しようとする畑中に、さらにもう一撃、右アッパーが炸裂する。
さらに右ストレート、左フックと、このラウンドはアブシードが先手で畑中を襲う。
そんな中、バッティングで畑中が左目上から出血。
かなりの量の血が出ているように見えるが、それほど深くないか…
ドクターチェックの末に続行。
ここから足を使ってアブシードの攻撃を躱し続ける畑中。
血が目に入っているか…中盤には右ストレートを連続でぶつけた畑中だったが、
チャンスとして出てくるアブシードの左ストレートを被弾すると、
大きな左右フックも立て続けに被弾する。
終盤に入ると距離を潰して時間を稼ぐ場面も作り、このラウンドを乗り切る。
8R開始と共に、スリリングに撃ち合う二人。
回転も的確性もアブシードが上回ったように見えたこの局面だったが
畑中が右ボディを撃ち込むと、アブシードの勢いは止まる。
いったん落ち着いた後も、アブシードはじわじわと詰めて左ストレートをヒット。
畑中は左フックをひっかけてロープに詰まった体を入れ替える。
中盤、右ボディから左フック、右アッパー、左フックと四連打を叩きつけた畑中。
以降、またしっかりと畑中が足を使い始めるとまた、畑中が先手を奪う展開に。
終盤、アブシードの右フックが畑中の顔面を捉えると、
またも畑中は気の強さを見せ、足を止めて撃ち合い始めるが…
この場面ではボディを織り交ぜながら先手先手でアブシードを捉え、畑中が上回る。
9R序盤、足を使いながら強烈にボディを襲った畑中。
中盤、激しく撃ち合い始めた二人…回転よくアブシードが撃ち込んで上回る。
さらにアブシードは徹底的に畑中のボディを襲いながら、時折上にも強烈に返す。
畑中もボディへパンチを返して、スタミナの苦しくなる終盤に、二人はボディの削り合い…
アブシードが数でもヒットでも明確に上回る。
10R、ガードを固めて頭を振りながら詰めるアブシード。
足を使ってジャブを突く畑中が、コンビネーションを叩きつける。
サイドに変則的にステップを踏みながら詰めようとするアブシード。
ジャブをしっかり突きながら先手でパンチを差し込み、ボクシングで空転させる畑中。
終盤、撃ち合いの局面でハラハラする被弾はありながらも、
最後の最後に回転で勝った畑中が撃ち合いも制して、試合終了のゴング。
マイジャッジ 96-92 畑中
公式ジャッジ
95-93、96-93、96-92
3-0 畑中
畑中が大勝負を見事に制した。
相手は日本トップランカーの世界ランク獲りを退けたばかりの強豪。
4Rにダウンを奪ったシーンからも、その強さははっきりとしたものだった。
窮地に陥った4R、激しい気の強さを見せた畑中だったが、
次の5Rには、冷静にボクシングをして、痛烈なダウンから立ち直った。
このクラスの相手とは初めて対峙するにもかかわらず、
こういった試合を何試合も重ねて来たような冷静な試合運び…
このリングに至るまで、どれだけ日頃の練習で揉まれてきたのだろうか。
選手は試合で強くなるわけではない…試合に向けた日々の中で強くなる。
試合の度に逞しさを増してきた畑中が、力をはっきりと証明した試合。
今後、畑中の照準がどこへ向くのか…。
冷静な陣営が満を持して用意した大勝負…それに答えた畑中。
デビュー戦から見ていた愛着もあり、今回の試合には不安ばかり感じた…。
しかし、もう幼き畑中の姿は忘れた方が良さそうだと感じた。
この先、日本史上初の親子世界王者を目指す限り、さらなる大勝負が必要となる。
中日本の誇る、強豪選手としてプリンス畑中に膨らむ期待は大きくなるばかりだ。
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